おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

怪しいバイトの誘いを「ゴリゴリの方言」で対応してみた→イラつかれながらたどり着いたのは「ブラジルのネットショップZ」

 ツイッターをやっていると、頻繁に目にする”怪しい”DM。出会い系や副業あっ旋など、その種類はさまざまですが、先日弊「おたくま経済新聞」のサブアカウントにもこうしたDMが送られてきました。

 なんでも「いつでもどこでもスマホでアルバイトが出来て、毎日8000円から50000円稼ぐことができる」のだとか。もしも本当ならこんなにおいしい話はありませんが……怪しいとはわかっていながらも、今回その誘いにわざと乗ってみることにしてみました。

  •  DMによると、アルバイトは「アマゾン事業者の売上増加とコミッションの獲得を支援する」こと。「レビューに業者提供の写真をアップし、商人をほめる」と、「Paypayでお店から送られてくるボーナスを受け取ることができる」という内容ですが……いやいや思いっきりステマやんけ!

    これ……ステマですよね?

     という、のっけからツッコミどころのあるDMですが、ひとまず末尾にあるLINEを登録し、相手と接触を図ることに。IDを検索すると表示されたのは、ツイッターで接触してきた名前とことなる「Julie」という謎の美女。とりあえず「友だち追加」すると、すぐに相手から連絡が来ました。

     次から詳しいやりとりを実際の画像交えて紹介します。が、1つ説明を。やりとりの途中に退会されてしまったので、以降掲載している画像のいくつかは退会後に撮影したものとなっています。

    ■ 方言には対応しきれない やり取りは翻訳機を使って行われている

     「はじめまして」とあいさつをすると、相手からは「悠子です」という自己紹介が。ん?Julieさんじゃないの?と疑問を感じつつも、botではなくちゃんとした受け答えは出来るようなので、以降は本番。

     「ゴリゴリの方言」で対応をしてみることに。

    やり取りは普通に行える模様

     実は以前から詐欺にひっかかりにくい条件として「方言がきつい人」というのをよく耳にすることがあります。ネットを通じた詐欺の場合は、海外からのケースが多くその際に「翻訳機」を使っているからです。翻訳は基本標準語、もしくは関西弁に対応。こってこてのゴリゴリの方言は翻訳しきれないことがほとんどです。

     今回試しに用いたのは、福岡の一部地域で使われている方言がメイン。とはいえ、方言を担当した翻訳者(編集部内スタッフ)が福岡と鹿児島のハーフのため、一部うっかり鹿児島弁も混ざっています。

    ゴリゴリの方言で対応

     「何と呼べばいいのか」と名前をきかれたので、すぐに「なんち呼んでよかよ。気にせんけん(何とでも呼んで。きにしないから)」と返事したところ、訳しきれなかったのかなぜか「悠子ちゃん」と自分の名前を言い出しました。おぉ、いきなりのエラー。

     この返事にすかさず「ないごっや?(何があった)」「なんばいいよると?(何を言ってるの)」と突っ込んだところ、やはり少し応答に困ってしまった様子。

     するとここから言い訳スタート「自分は日本人だが台湾育ちで日本語が下手」。ついには「日本語を勉強中で翻訳機を使ってやり取りをしている」という内情を明かしてくれました……。翻訳機使ってることはあっさり認めるのね。笑

    翻訳機の説明

    ■ アルバイトの話を聞くと……最初の話とは全く違う内容だった

     その後も何度かのやり取りをしましたが、アルバイトの話が一向に出てこないので、こちらから切り出してみることに。すると、相手から案内されたのは「Amazon」ではなく、「ブラジルのネットショップZ」のURL。ちなみに「ブラジルのネットショップZ」は編集部がつけた仮称。実際の名前は異なります。

    アルバイトについて

     するとしばらくして、もとの美女のアイコンがこの某ネットショップのロゴに切り替わりました。怖ッ!

    突然相手のアイコンが変化

     さらに「興味があれば教えてあげます」という突然の上から目線を取られたので、純粋な興味本位で出会い系や副業あっ旋について尋ねてみると、「意味が分からない」の一点張り。

     アルバイトの話の続きを促すと、怪しまれていると感付かれてしまったのか、「……」とだけ返信がありやりとりが途絶えてしまいました。

    やりとりが途絶えた

     翌日にはこのアカウント自体すぐ消滅したため、以降の連絡は取れず。ダメだと判断したらサッと切られたところを見ると、こうしたやり取りに慣れているのでしょう。うーん、あっちから終えられたのはなんか悔しい。

    退出

    ■ 「ブラジルのネットショップZ」でのお仕事とは?被害者の声続々

     とはいえ割と会話が出来たので、さまざまな情報を収集出来ましたが、結論「相手が海外の場合、方言はやはり強い(めんどくさがられる)」ということ。

     そして案内されたサイト「ブラジルのネットショップZ」について調べると……、少し調べただけでも被害を訴える声だらけ。サイト自体がどこまで関わっているのかは不明ですが、ネットで声をかけてきたパターンの仕事内容は「自らネットショップの商売を行ってお金を稼ぐ」というものだったもよう。

     運営に参加することをうながし、いざ参加すると注文殺到。売上金を下ろそうとすると手数料20%を入金しなければ支払わない、などの非常に悪質な手段でユーザーから金銭を巻き上げているようです。

     これだけ情報があふれる世の中ですが、そう簡単に儲かる話などない。とくにSNS利用時は、こう肝に銘じておく必要があるでしょう。

    (山口弘剛)

    あわせて読みたい関連記事
  • エレコム、モバイルバッテリーの「PSEマーク」確認を呼びかけ 特にネット購入時は注意
    インターネット, 社会・物議

    エレコム、モバイルバッテリーの「PSEマーク」確認を呼びかけ 特にネット購入時は…

  • 「カクヨム」短期間の大量投稿に注意喚起 背景にAI生成作品の急増か
    インターネット, 社会・物議

    「カクヨム」短期間の大量投稿に注意喚起 背景にAI生成作品の急増か

  • 嵐・四宮社長が偽アカウント多発に注意喚起 「来年のツアー用新アカウントの予定もなし」
    エンタメ, 芸能人

    嵐・四宮社長が偽アカウント多発で注意喚起 「来年のツアー用新アカウントの予定も現…

  • 北海道の人気アナ・斉藤こずゑさん、Xアカウントが乗っ取り被害 番組公式が注意呼びかけ
    インターネット, 社会・物議

    北海道の人気アナ・斉藤こずゑさん、Xアカウントが乗っ取り被害 番組公式が注意呼び…

  • 菊水産業「お菊社長」なりすましに接触 ウザ絡みして目的を探ってみた
    インターネット, おもしろ

    菊水産業「お菊社長」なりすましに接触 ウザ絡みして目的を探ってみた

  • 「あっ!来年ですね~」 ホテル予約の日付を1年間違えた投稿に共感と笑い
    インターネット, びっくり・驚き

    「あっ!来年ですね~」 ホテル予約の日付を1年間違えた投稿に共感と笑い

  • Xで「ブロック確認サイト」装うフィッシング投稿拡散 Twilog公式が注意喚起
    インターネット, 社会・物議

    Xで「ブロック確認サイト」装うフィッシング投稿拡散 Twilog公式が注意喚起

  • Skebがクリエイターへのチャージバック詐欺に警鐘 海外ユーザーからの前払い申し出に注意を
    インターネット, 社会・物議

    Skebがクリエイターへのチャージバック詐欺に警鐘 海外ユーザーからの前払い申し…

  • 警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠
    インターネット, サービス・テクノロジー

    警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

  • 怪しい電話を意図せず撃退してしまう?黒電話ユーザーの詐欺対応が話題
    インターネット, おもしろ

    怪しい電話を意図せず撃退してしまう?黒電話ユーザーの詐欺対応が話題

  • 山口 弘剛‌Writer

    記事一覧

    鹿児島出身・鹿児島在住。私生活では妻と共に2人の子どもを子育てしながら、地元のサッカークラブを熱烈応援中。仕事は元アパレル店長、元ゲームショップ店長を経験。現在はライター、イラストレーターとして活動。

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • アドビアプリが起動不能、告知不足にユーザーから不満の声 求められる「インフラ」としての対応
    インターネット, 社会・物議

    アドビアプリが起動不能、告知不足にユーザーから不満の声 求められる「インフラ」と…

  • 春巻きの皮で折り鶴制作 そのまま揚げる大胆アレンジにびっくり
    インターネット, おもしろ

    春巻きの皮で折り鶴制作 そのまま揚げる大胆アレンジにびっくり

  • まるで特殊詐欺現場? 「あつ森」複数台通信の光景を例えた妻の一言がもっともすぎた
    ゲーム, ニュース・話題

    まるで特殊詐欺現場? 「あつ森」複数台通信の光景を例えた妻の一言がもっともすぎた…

  • チョコクロ尽くしの「サンマルクカフェ福袋」発売 実用的×かわいいラインナップ
    商品・物販, 経済

    チョコクロ尽くしの「サンマルクカフェ福袋」発売 実用的×かわいいラインナップ

  • 「ホリデーマックフルーリー」11月19日より期間限定販売 広瀬すずさん&宮崎あおいさんの新CMも放映
    企業・サービス, 経済

    「ホリデーマックフルーリー」11月19日より期間限定販売 広瀬すずさん&宮崎あお…

  • 「犬も猫吸いをする」ほっこり瞬間 仲良しコンビの日常写真が注目
    インターネット, おもしろ

    「犬も猫吸いをする」ほっこり瞬間 仲良しコンビの日常写真が注目

  • トピックス

    1. 汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      屋内と屋外で寒暖差が大きく、着る服に悩みがちなこの季節、SNS上で「エアリズムの上にヒートテックを着…
    2. 「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

      「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

      2025年11月12日午前7時に配信された「State of Play 日本」にて、「ドラゴンクエス…
    3. アカウント1の投稿

      【前編】それでも私は、書くことを選んだ―― Temu不審アカウントに挑んだ無名記者の記録

      ある日の調査作業の過程で、SNS「X」上において、急成長中の越境EC大手「Temu」のサポート担当を…

    編集部おすすめ

    1. 「シテの花」作者が続報投稿 前担当の不備めぐり編集部と協議、認識を整理

      「シテの花」作者が続報投稿 前担当の不備めぐり編集部と協議、認識を整理

      小学館「週刊少年サンデー」で連載中の漫画「シテの花 -能楽師・葉賀琥太朗の咲き方-」の作者・壱原ちぐささんが11月18日18時、新たな投稿を…
    2. 松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み

      松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み

      俳優の松山ケンイチさんが11月17日、自身のXアカウント「松山ケンイチ(@K_Matsuyama2023)」でユーモア企画「誰も傷つけない悪…
    3. 悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ

      悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ

      小学館「週刊少年サンデー」で連載中の漫画「シテの花 -能楽師・葉賀琥太朗の咲き方-」の作者・壱原ちぐささんが11月17日、作品の掲載順に関す…
    4. 今年もやってきた“本番環境の事故録” Qiitaの「やらかしアドベントカレンダー2025」開幕

      本番環境などでの失敗談が集結 Qiitaの「やらかしアドベントカレンダー2025」開幕

      稼働中のサーバーでの作業ミスによるトラブルの顛末をつづる「本番環境などでやらかしちゃった人 Advent Calendar 2025」が12…
    5. 床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

      床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

      頭をぐりぐり動かしながら、床の上を滑っていく1匹のワンちゃん。飼い主さんが「モップ機能つき生ルンバ」と呼ぶビションフリーゼ・せとくんの動画が…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト