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武庫川女子大学、共学化発表に波紋 在学生・卒業生らが中止求め署名

 兵庫県西宮市に本部を置く武庫川女子大学が、2027年度(令和9年度)から大学を共学化し、名称を「武庫川大学」に変更する方針を6月17日に発表しました。

 この決定に対し、在学生や卒業生らが反対の声を上げ、オンライン署名サイト「Change.org」で中止・延期を求めるプロジェクトが立ち上がっています。

  • ■ 「皆学」への転換を打ち出した大学側

     武庫川女子大学は1939年に創設され、現在は13学部21学科、大学院8研究科14専攻を擁し、約1万人の学生が学ぶ全国最大規模の女子総合大学です。薬剤師、看護師、社会福祉士、一級建築士など国家資格を目指す学科も多く、長らく「女性のキャリア育成」の拠点として発展してきました。

     大学側は今回の方針転換について、「(武庫川女子大学の)優れた環境、教育、学術研究を女性に限定せず、広く性別、年齢にかかわらず開くべき」との観点から共学化に舵を切ると説明。その上で、単なる「共学」ではなく、多様性を重視する意味を込めて「皆学(かいがく)」という新たな概念を提示しました。

     発表文では在学生・保護者の戸惑いに理解を示しつつも、「皆学を機に、本学の教育・研究をさらに充実、発展させるとともに、安心して学業が続けられる教育環境づくりに全力を挙げて取り組みます」としています。また、附属の中学校・高等学校については女子校としての継続を明言しました。詳細な方針は7月28日に予定される理事会で正式決定される見通しです。

    ■ 「一方的な決定」に学生らが抗議の声

     一方で、この発表に対し在学生や卒業生、保護者の一部から強い反発の声が上がっています。現在、オンライン署名サイト「Change.org」では、共学化の中止または延期を求める署名活動が始まっており、短期間で多くの賛同が寄せられています。

     署名活動の主旨では、「方針決定の透明性を求めるとともに、拙速な実施に対する見直し・再検討を求めることを目的」として、大学側の意思決定の透明性や学生への説明責任を問う声が上げられています。

     発起人らは、学生・保護者・卒業生を交えた説明会や意見交換会の実施、受験生や在学生へのアンケート調査とその公表、さらには2025年度入学生が卒業するまでの間、女子大学としての体制を維持する移行期間の設置などを要望しています。

     また、他の女子大学(津田塾大学や日本女子大学など)では、共学化の導入にあたり学生との協議や十分な移行期間の確保が行われたことを例に挙げ、「武庫川女子大学の対応は“急すぎる”」と指摘しています。

    ■ 「女子大だからこそ安心できた」学生の本音

     署名ページには、当事者である学生の声も掲載されています。その中には、「共学の学校で男子と関わることにストレスを感じてきました。だからこそ、女子大で安心して学べる環境を求めて進学を決めたのに、たった1年で環境が変わってしまうことにショックを受けています」との率直なコメントも見られます。

     共学化は教育の多様性や社会的責務という観点から一定の意義を持つ一方、大学を選ぶ際に「女子大学であること」に価値を見出していた学生にとって、今回の決定は生活環境や学びへの信頼を揺るがすものとも受け取られています。

     署名は2025年7月17日を締切とし、7月20日に理事会へ提出される予定。発起人らは「学生の学ぶ権利と安心できる環境を守る一助となってください」「ご賛同いただける方は、どうかご署名・拡散をお願いいたします」と呼びかけています。

    <参考・引用>
    武庫川女子大学「武庫川女子大学の共学化について」(6月17日発表)
    Change.org「武庫川女子大学の共学化の決定:反対と一時停止を求めます」(6月17日開始)

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