人気アーティストのライブやスポーツのビッグマッチにおいて、長年の課題となっている「チケットの不正転売問題」。イタチごっこが続くこの問題に対し、Jリーグの名門・鹿島アントラーズが打ち出した対策が、SNSで称賛を浴びています。
鹿島アントラーズは11月20日、公式サイトおよびXにて「【重要】不正転売された観戦チケットの無効化対応とアカウントの停止処理実施、転売チケット購入者への情報提供のお願いについて」と題したお知らせを発表しました。
■ 情報提供者のチケット無効化は行わず、ペナルティもなし
対象となったのは、11月8日の横浜FC戦と、12月6日に開催される今季ホーム最終戦・横浜F・マリノス戦の観戦チケット。クラブは、公式リセール以外での不正転売が確認されたチケットを無効化し、転売を行ったアカウントに対して「SÓCIO・ファンクラブ会員資格の無期限停止」「JリーグIDのアカウント停止」という重い処分を下しました。
これだけでも厳しい対応ですが、ネットをざわつかせているのは、その先の「購入者への対応」です。
通常、不正転売チケットと判明した場合、購入者は入場を断られ、泣き寝入りとなるケースが一般的。しかし、今回鹿島アントラーズが呼びかけたのは、なんと「情報提供と引き換えの救済措置」でした。
公式発表によると、公式リセールサービス以外でチケットを購入してしまった人に対し、売り手の情報を提供することを要請。そして、ここからがポイントです。
「不正転売を行ったアカウントの洗い出しを重視するため、情報提供を実施された方のチケットについては無効化は行わず、購入者に関するペナルティもございません」
つまり、「不正転売者を特定するための証拠を提出すれば、今回は目をつぶり、試合も観戦可能」という、まるで司法取引のようなアプローチをとったのです。
■ 不正転売者の外堀を埋める合理的戦術 効果やいかに
不正転売者にとって最も恐ろしいのは、身元がバレて会員資格(=商売道具)を永久に失うこと。今回の対応は、本来「転売屋の顧客」であるはずの購入者を、クラブ側の「情報提供者(証人)」となるよう呼びかけることで、外堀から確実に埋めていく極めて合理的な戦術と言えます。
この対応にSNSでは、「購入者を味方につけて元を断つ、素晴らしい作戦」「買った側を救済しつつ情報を吸い上げる、まさに王者の戦法」「転売ヤーからしたら一番怖いやり方だ」といった感嘆の声が続出。
また、鹿島アントラーズの親会社がメルカリであることにも触れ、「メルカリのノウハウも活かされているのでは」「自社グループ(メルカリ)であっても電子チケット転売は禁止と明記しているのが強い」といった分析も見られました。
シーズン終盤、優勝や残留がかかる重要な試合ではチケット需要が高まり、転売も横行しやすくなります。「不正転売は絶対に許さない」というクラブの強固な意志と、実利を兼ね備えた今回の“鹿島流”対策。
この発表後、チケットサイトでは早速高額転売が取り下げられる現象が見られるなど、一定の効果が表れているもよう。今後の結果にも注目が集まります。
— 鹿島アントラーズ (@atlrs_official) November 20, 2025
<参考・引用>
鹿島アントラーズ(@atlrs_official)
鹿島アントラーズ公式HP「【重要】不正転売された観戦チケットの無効化対応とアカウントの停止処理実施、転売チケット購入者への情報提供のお願いについて」
(山口弘剛)








































