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日本から移民船ではるばる海を渡ってきた比嘉勇と、灼熱の大地で育った移民二世の南雲トキオ。ブラジルの入植地・弥栄村で同い年の彼らは出会い、親友となります。ふたりは共に祖国に戻り、日本軍兵士として祖国に尽くしたいという志を抱くのですが、連合国に加わったブラジルを離れることできない状態に。そして迎えた第二次世界大戦の終戦。フェイクニュースから祖国大勝利を信じる「勝ち組」と正しい情報を得て敗北を認識する「負け組」の対立が始まります。そう、日本人移民の間で巻き起こったいわゆる「勝ち負け抗争」が、親友を引き裂いたのです。分断、憎悪。遠き異国で日本人が同胞に向ける銃口。ふたりの青年の運命が再び交わったとき、悲劇が生まれます。
著者は実際に起こった勝ち負け抗争からこの物語を作り上げるために大量の資料を読み、ブラジル取材を敢行しました。舞台は遠きブラジルの地ですが、日本人が集住していた「殖民地」は現地人を排除した上でかたちづくられており、それぞれがいわば「小日本」でした。そうした意味から、23人もの死者と多数の負傷者を出した壮絶な勝ち負け抗争は我々に縁遠い話ではなく、日本近代史の一部といえるのです。
読書界から絶賛を浴び、渡辺淳一文学賞に輝いた圧巻の群像劇。解説は、杉江松恋さん。この長編の意義を深く読み取ってくださいました。
■書籍内容紹介文
日本からはるばる海を渡ってきた比嘉勇と現地で育った移民二世の南雲トキオ。ブラジルの入植地で彼らは出会い、親友となった。そして迎えた終戦。祖国大勝利を信じる「勝ち組」と敗北を知る「負け組」の間で巻き起こった抗争が、二人を引き裂いた。分断、憎悪。遠き異国で日本人が同胞に向ける銃口。ふたりの青年の運命が交わったとき。絶賛を浴び、渡辺淳一文学賞に輝いた、圧巻の群像劇。
■著者紹介 :葉真中顕(はまなか・あき)
1976(昭和51)年、東京都生れ。2013(平成25)年『ロスト・ケア』で日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、作家デビュー。‘19年『凍てつく太陽』で大藪春彦賞および日本推理作家協会賞を受賞。’22(令和4)年、『灼熱』で渡辺淳一文学賞を受賞する。他の著書に『絶叫』『コクーン』『Blue』『そして、海の泡になる』『ロング・アフタヌーン』『鼓動』などがある。
■書籍データ
【タイトル】『灼熱』
【著者名】葉真中顕
【発売日】2月28日
【造本】文庫版
【定価】 1,265円(税込)
【ISBN】978-4-10-105681-4
【URL】https://www.shinchosha.co.jp/book/105681/