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データから考える「静かな退職」(Quiet Quitting)

update:
株式会社インディードリクルートパートナーズ
“気づきを与える助言”よりも“挑戦に対する支援”、“十分な報酬”よりも“経営理念への共感・学びや成長の機会”



株式会社インディードリクルートパートナーズ(本社:東京都千代田区 代表取締役社長:淺野 健、以下IRP)は、国内の就業者12,360人(うちフルタイム勤務者7,031人)における仕事に関する価値観や意識についての調査結果を利用し、静かな退職(Quiet Quitting)について分析した結果をまとめましたので、お知らせいたします。

1.静かな退職(Quiet Quitting)とは
リクルートマネジメントソリューションズが公開している用語集(※1)において「静かな退職」は以下のように説明されています(筆者抜粋、下線追加、括弧内一部追記・編集)。
(※1)人材育成・組織開発 お役立ち情報・用語集:https://www.recruit-ms.co.jp/glossary/dtl/0000000316/

[静かな退職が広まった背景(静かな退職の定義)]
静かな退職(Quiet Quitting)という現象は、従来の熱心な勤務姿勢を捨て、自分の職務に対して最低限の責任だけを果たすという働き方です。この働き方の普及は、仕事における過度なストレスや燃え尽き症候群(バーンアウト)を避けるための自己防衛手段として捉えられることが多いようです。加えて、職場環境や企業文化に対する不満が高まるなかで、自身の健康や私生活を守るためのバランスを取る方法として選ばれています。
調査機関によると、このような働き方を選ぶ人々は、業務に対する熱意を失っているわけではなく、むしろ持続可能な職業生活を望んでおり、過剰な負担から自己を守りつつ仕事を続けようとしているのです。

[静かな退職のデメリット]
静かな退職は、従業員が実際に退職するわけではないため、表面的には労働力の不足を引き起こさないように見えますが、実際には職場にとっていくつかのデメリットがあります。
まず、職場のコミュニケーションと人間関係に負の影響を与える可能性があります。静かな退職を選択した従業員は、受動的な態度を取り、能動的な協力や意見交換を避けがちです。これにより、チーム内での意見の多様性や創造的な対話が減少し、結果として職場の総合的な生産性が低下することがあります。
次に、周囲の負担が増えることも静かな退職のデメリットの1つです。最低限の仕事しかこなさない従業員が増えると、ほかのメンバーがその分の負担を負うことになり、不公平感や疲労感が増大します。これはチームワークの劣化や労働者間の摩擦を生むことにつながり、組織全体の士気に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、静かな退職が広がることで、若手や将来有望な人材が成長の機会を得られなくなることも懸念されます。新しいプロジェクトや責任ある役割が必要とされる場面で、積極的な参加を避ける傾向があるため、個人のキャリア成長だけでなく、組織の革新的な力も弱まります。

2. 分析概要
本分析は、後述の調査概要に記した仕事に対する価値観や意識に関するインターネットモニター調査の結果を利用しています。当該調査では、国内就業者12,360人のサンプルが得られており、このうちフルタイム勤務者に該当する7,031人のサンプルが分析対象となっています。当該調査には、静かな退職に関係すると考えられる以下の4つの設問が組み込まれています。これらの回答結果に応じて、サンプルを切り分けることで“静かな退職者と見なせる群”を作成し、全体との違いを観察します。

[静かな退職に関係すると考えられる設問]
以下のQ1~Q4について、グレーに色付けした選択肢を“一切”選択していないサンプルを“静かな退職者と見なせる群”として扱う(1つでもグレーに色付けした選択肢を選択したサンプルは、当群には含まれない)。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/159159/16/159159-16-5e8a10e3792d9edabb5e643d0554f5e2-1558x1736.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


3. 上司や同僚から得られる情報・支援の違い~ “気づきを与える助言”よりも“挑戦に対する支援” ~
以下では「あなたは将来のキャリアに関して、以下の情報や支援を得られていますか」という設問において上司や同僚から「情報や支援を得られている」と回答した者の割合について、“静かな退職者と見なせる群”と全体を比較しています。各項目では、情報や支援の種類を示しており、A列では“静かな退職者と見なせる群”の結果、B列では全体の結果を示しています。
顕著な違いが見られたのは「新たな挑戦を後押ししてくれるサポート」であり、当支援を得られていると回答した割合は全体では15.2%であるのに対して、静かな退職者と見なせる群では、わずか2.8%にとどまっていました。
「仕事やキャリアに関して気づきを与えてくれる助言」については、その乖離のレベルは相対的に小さく、静かな退職者と見なせる群においても、当支援を得られていると回答した割合は10%を上回っていました。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/159159/16/159159-16-75b4098ffe49c73936c57b04611d0909-1878x540.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


4. 所属企業に対する認識の違い~ “十分な報酬”よりも“経営理念への共感・学びや成長の機会” ~
以下では「現在の会社について、あなたの考え(評価)を教えてください」という設問において、各項目に「当てはまらない」と回答した者の割合について、“静かな退職者と見なせる群”と全体を比較しています。
「報酬面に対する評価」の項目では「他社と比較して十分な報酬を支払っている」「自身の働きぶりに対して十分な報酬を支払っている」ともに、乖離のレベルは相対的に小さいことがわかりました。
一方、「多くの社員が共感する経営理念を持っている」「社員に対して、学びや成長の機会を提供している」といった項目では、相対的に大きな違いが見られました。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/159159/16/159159-16-a801efcc178e56eea397af6a88b6ffe4-1876x572.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


5. さいごに
本分析では、仕事に対する価値観や意識に関するインターネットモニター調査で得られた調査結果を活用し、静かな退職に関係すると考えられる4つ設問の回答結果に応じて、サンプルを切り分け、“静かな退職者と見なせる群”を作成することで、上司や同僚から得られている情報・支援の違い、所属企業に対する認識の違いを観察しました。もっとも、本分析では交絡因子の存在・影響については触れておりません。故に、これらの乖離は必ずしも因果関係を示すわけではなく、あくまで相関を示すに過ぎません。仮に、これまで示された項目を変化させることができたとしても、それが静かな退職者の増減に直結することを示唆するわけではないため、結果の解釈には幾分慎重になる必要があると考えられます。
冒頭で紹介したリクルートマネジメントソリューションズの用語集において、静かな退職は「仕事における過度なストレスや燃え尽き症候群(バーンアウト)を避けるための自己防衛手段として捉えられる」「自身の健康や私生活を守るためのバランスを取る方法として選ばれている」と説明されている通り、静かな退職という現象自体を“悪いもの”として捉えることは適切ではないと考えられます。一方で、静かな退職者の存在は「表面的には労働力の不足を引き起こさないように見えるが、実際には職場にとっていくつかのデメリットがある」とも指摘されています。つまり、「どういった環境が静かな退職を増加させてしまうのか」「どうすれば減少させることができるのか」といった情報は、企業側・経営側にとって貴重な示唆となる可能性があると言えます。

調査概要
調査名)インディードリクルートパートナーズ・Indeed「グローバル就業意識調査2025」
調査方法)インターネットモニター調査
調査対象)アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中国、日本在住の20歳~69歳の就業者
本分析では日本のフルタイム勤務者サンプルのみ利用
     性別ごとに39歳以下/40歳以上で均等割付
デスクワークでの業務が多い層、それ以外の業務が多い層、おおむね半々の層を均等割付
有効回答数)日本の就業者全体:12,360、本分析で利用した日本のフルタイム勤務者:7,031
調査実施期間)2025年3月上旬~中旬
調査機関)インディードリクルートパートナーズ、Indeed


解説者:株式会社インディードリクルートパートナーズ 特任研究員 高田 悠矢
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/159159/16/159159-16-68d9809eadcab3c354d236dc428b10d6-230x257.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]

2010年 日本銀行入行
経済指標の推計手法設計や景気判断など、マクロ経済・金融領域における統計分析業務に携わる。
2015年 株式会社リクルート入社(統合前はリクルートキャリア所属)
経営統括室、事業開発室、人事部、広報部を兼務し、戦略策定のための分析や、リコメンドエンジンの開発、人事課題に対する統計分析の適用、自社データを活用した経済指標の作成・発信など、データ起点のさまざまな取り組みの企画・実行を担う。
2021年 Re Data Science株式会社 創業 / 株式会社リクルート特任研究員 就任
2018年より、総務省 統計改革実行推進室 研究協力者





▼インディードリクルートパートナーズについて
https://www.indeedrecruit-partners.co.jp/

▼本件に関するお問い合わせ先
https://www.indeedrecruit-partners.co.jp/support/form

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