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日本マイクロソフト、デル・テクノジーズのプロジェクトにおいて、在宅医療のAI業務改革に成功

update:
株式会社日本AIコンサルティング
~ エッジAI活用基盤と現場起点の生成AIソリューションが業務負荷を大幅軽減 ~

当社、株式会社 日本AIコンサルティング(本社:大阪府吹田市、代表取締役:香月 章宏)が開発したエッジAI活用基盤『IB-Link(アイビーリンク)』を採用したヘルスケア向けAIアプリケーション『D-Medical』によって、在宅医療現場の業務改革が実現しました。本プロジェクトは日本マイクロソフト株式会社およびデル・テクノロジーズ株式会社が推進する共創プログラム「Project+」において実現したもので、『IB-Link』と『D-Medical』を搭載したCopilot+ PC(Dell Latitude 7455)の活用により、宮崎県宮崎市の船塚クリニック様における在宅医療の業務負荷を軽減することに成功しました。

■プロジェクトの背景

宮崎県宮崎市の船塚クリニック様では、1日10~20件の訪問診療と予約制の外来診療を少人数(医師2名・看護師4名体制)で支えるクリニックです。
その中で、以下の業務に大きな負荷と課題がありました。
- 訪問スケジュール計画業務
- 診療記録作成業務
- 在宅療養計画書の作成業務

こうした課題解決に向けて、船塚クリニックの日高先生は日本マイクロソフト株式会社およびデル・テクノロジーズ株式会社が推進する共創プログラム「Project+」に参画し、ヘルスケア向けAIアプリケーション『D-Medical』の開発が始まりました。
これらの背景やプロジェクトにかける船塚クリニック様や関係者の想いについて、ITmedia様がインタビューされ、記事にされています。
【ITmedia NEWS】
訪問診療ルート策定に丸1日、療養計画は180人分――宮崎の病院がやったAI導入が“現場の課題”を吹き飛ばす

【参考リンク】
当社ブログ:【ITmedia掲載とGenAI/SUMのセミファイナリストに】当社AIソリューションが実現した業務改革の全貌 - 日本マイクロソフト、デル・テクノロジーズとの協業で切り拓くエッジAI活用【IB-Link】
▼開発されたヘルスケアAIアプリ『D-Medical』
『D-Medical』は日高先生が実際に直面した課題に対応すべく、「訪問ポインタ」「訪問記録」「在宅療養計画」という3つの機能から構成されています。
○ 訪問ポインタ(スケジューリング支援)
地図上での経路表示やカテゴリー分類による可視化が可能となり、属人化していた計画業務の透明化・標準化に寄与しました。従来は丸1日かかっていた1カ月分の訪問ルート作成が数分で完了し、担当者への過度な依存が大きく削減されます。
○ 訪問記録(リアルタイム文字起こし+生成AI整形)
訪問診療時は電子カルテ用PCとCopilot+ PCの2台体制で臨み、患者様の同意の下、音声文字起こし機能により診療中の会話をリアルタイムにテキスト化します。さらに生成AIがそのテキストをSOAP形式に自動整形し、カルテ記録に適した形式にまとめます。この仕組みにより「患者様の状態観察や投薬副作用の確認、コミュニケーションに専念」できるようになります。
○ 在宅療養計画(AIによる下書き生成)
当月の訪問記録をもとに、患者様ごとの在宅療養計画書の下書きをAIが自動生成します。従来は医師が月末に全患者分(約180名)のカルテを読み返し、「今月行った内容」を一人ひとり文章化していたため大きな負担となっていましたが、本取り組みによりAIが下書きを提示し医師が最終チェックする運用に切り替えたことで、作成工数の大幅削減と文書品質の平準化を実現しています。
▼当社のエッジAI基盤『IB-Link』の提供
医療記録や個人情報を扱う『D-Medical』では、クラウドAIではなくオフライン環境において端末単体で処理を完結できるエッジAI型端末「Copilot+ PC」が採用されました。中でもデル・テクノロジーズ社製の「Dell Latitude 7455」はQualcomm Snapdragon X+を搭載しNPU(Neural Processing Unit)によるAI処理に対応しています。ただ、今回のAIモデル選定にあたっては「日本語に強い」かつ「エッジ端末で動作可能な小型モデル」が求められましたが、プロジェクト開始時点ではエッジAI型端末上で複数のモデルの試用・比較できる環境がありませんでした。

その当時、弊社がリリースを予定していた『IB-Link』は複数の言語モデルをボタン1つでダウンロード・実行できるため、いくつかのモデルを実際に試行しながら最適なモデルを選定することが可能でした。そこで当社は日高先生のプロジェクトと『D-Medical』に対し、このNPU上で動作するAI実行基盤『IB-Link』を提供し、『D-Medical』に必要な生成AIの選定と各種機能の実装を端末内で実現させました。

■エッジAIにかける想い

当社では2023年より、ローカル(エッジ)環境で稼働する生成AIを活用した業務改革をテーマに開発を続けてきました。AIソリューションを現場に実装し業務改革まで結びつけることで、ユーザー企業が「本当にやりたいこと」の実現を支援することが当社のミッションです。『IB-Link』をはじめとする当社AIソリューションが目指すのは、普段の仕事や作業において、生成AIがユーザーに寄り添い、サポートする実用的なAIソリューションの提供であり、『AIと人とのパートナーシップ』の構築です。 そういった意味で、今回の『D-Medical』との協業にあたっては、『D-Medical』と『IB-Link』のコラボレーションが、患者様とのコミュニケーションを大切にされる日高先生の「想い」を支える力となるよう注力してきました。その中で、生成AIが人の「想い」をサポートし、最適なAIオペレーション・エクセレンスを獲得するために必要な能力は何かを考え、その実装と調整を行いました。「想いをAIと共に実現する」――この立場・関係こそが、IB-Linkや当社のAIプロダクトの根底にあるコンセプトです。」

まさに今回の船塚クリニック様での事例のような、『IB-Link』を活用したエッジAIプラットフォームを様々な業種・業務領域へ展開していくことが当社の目標です。今後も各種情報発信や開発セミナー等を通じ、国内企業の生産性向上に寄与できるよう尽力してまいります。

【参考リンク】 モデル調査:LLMにSQL100本ノックをやらせて定量的に評価してみた
▼エッジAI基盤『IB-Link』とは
『IB-Link』を一言で表すなら、「ノートPCで、様々な生成AI機能を安全かつ簡単に利用するための、包括的なAIプラットフォーム」です。私たちが目指すのは、「いつものPCに、頼れるAIパートナーを」というビジョンの実現であり、『IB-Link』は、NPU・CPU・GPUといったハードウェア構成を問わず、ノートPC・デスクトップPC・サーバーに至るまで幅広い端末で利用できるエッジAI実行基盤として構築されています。ユーザーは『IB-Link』を通じてLLM(大規模言語モデル)の推論やRAG(Retrieval-Augmented Generation)、音声文字起こしなどのAI機能を自社のアプリケーションに容易に組み込むことができるようになります。
完全オフライン動作
最大の特長は、AIモデルの推論処理をすべてユーザーのPC内部、もしくは社内に設置したサーバーで完結させられる点です。いかなるデータもクラウドに送信しないため、情報漏えいのリスクを原理的にゼロにできます。これにより、金融、医療、公共といった、これまでクラウドAIの導入が難しかったコンプライアンス要件の厳しい業界でも、安心してAIを活用することが可能になります。
OpenAI互換APIで簡単な連携
開発者にとって、これは非常に強力なメリットです。IB-Linkは、OpenAI社のAPIと互換性のあるインターフェースを備えています。これは、既存の社内アプリケーションや業務スクリプトで、ChatGPTのAPIを呼び出している箇所を、IB-Linkが提供するローカルのエンドポイントURLに書き換えるだけで、処理の裏側をクラウドAIからセキュアなローカルAIへとシームレスに差し替えられることを意味します。これにより、既存のソフトウェア資産を有効活用しながら、最小限のコード変更でローカルAIへの移行を実現でき、導入のハードルを劇的に下げます。
Hugging Faceモデルのワンクリック導入
AI活用の現場では、「新しいオープンソースのモデルを試したいが、モデルごとに異なる複雑な環境構築が手間で、なかなか実験できない」という声がよく聞かれます。IB-Linkは、この課題を解決します。世界最大のAIモデルリポジトリであるHugging Face上で公開されている膨大なモデル群を、IB-LinkのGUI上から検索し、文字通りワンクリックでダウンロード、即座に利用を開始できる機能を備えています。これにより、高度な専門知識がなくとも、様々なAIモデルを手軽に試すことが可能になり、企業内でのAI活用の民主化を力強く促進します。
多様なAI機能を統合提供
IB-Linkは、単なるLLM実行環境ではありません。音声認識、社内文書検索と組み合わせたRAG(Retrieval-Augmented Generation)、チャットなど、業務で即戦力となる多様なAI機能が、統一されたAPIを通じて提供されます。これにより、IB-Linkは、既存の社内システムにAIという「頭脳」を後付けするための、まさに「AIプラットフォーム」として機能するのです。
このように、IB-Linkは「導入の手軽さ」と「鉄壁のセキュリティ」を両立させ、企業の「攻め(生産性向上)」と「守り(ガバナンス強化)」を同時に支える、次世代の技術基盤です。

【参考リンク】
製品サイト『IB-Link』: https://j-aic.com/product/ib-link

■今後の展開

当社では今後も『IB-Link』の提供機能拡充を継続し、NPU対応AIモデルのさらなる増強と利活用を推進していきます。また、『IB-Link』上で動作するAIアプリケーションの開発も進行中であり、営業支援や店舗運営支援、翻訳サポートなどの新アプリを順次リリースしていく予定です。さらに、当社製品であるPC操作ログ分析ツール『AKT』によって得られた「ユーザーがPC上で何を・どのように業務しているか」という知見を融合し、“エッジAIならでは”の機能を搭載した業務アプリ開発にも取り組んでまいります。
(参考)GenAI/SUM 2025 セミファイナリスト
本年度の「GenAI/SUM 2025」(日本経済新聞社主催)にエントリーし、セミファイナリストとして、2025年10月7日に開催されるスタートアップSHOWCASEにおいて、『IB-Link』を軸に「Copilot+PCと国産LLMでAIアプリをつくりませんか?」と題したピッチ登壇を予定しています。ピッチでは、次のポイントについて紹介する予定です。
- 広がるエッジAI・AI-PC市場: Gartner社の予測によると、2026年にはAI対応PC(Copilot+ PC)がPC市場の55%を占めるとのことです。これを日本市場に当てはめると約600万台に上る計算になり、今後PCの主流がAI対応へ急速に移行していくことが示唆されています。
- AI-PCの課題: 市場の拡大が見込まれる一方で、現状ではAI-PCの特徴を活かしたアプリケーションが不足しています。その背景として、PCメーカーごとにNPU等の仕様が異なり対応アプリの開発難易度が高いことが挙げられます。これを解決するのがIB-Linkです。
- IB-Linkを通じた目標: 今回の船塚クリニック様での事例のように、IB-Linkを活用したエッジAIプラットフォームを様々な業種・業務領域へ展開していくことが当社の目標です。今後も各種情報発信や開発セミナー等を通じ、国内企業の生産性向上に寄与できるよう尽力してまいります。

なお、AI-PCの課題は、開発難易度以外にも「対応するAIモデルの拡充」や、「エッジAIならではの機能追求」といった課題も存在します。
当社では創業以来、PCログ解析プラットフォーム『AKT』でユーザーの実業務を可視化してきました。この知見を活かし、「エッジAIならでは」の機能を備えた新たな業務アプリ開発にも取り組んでいます。
【参考リンク】
製品サイト『AKT』: https://j-aic.com/product/AKT

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