ここ最近、昆虫食の話題が多くなっています。一部コンビニでのコオロギスナックの販売や、無印良品でのコオロギせんべいの販売など……世界の食糧危機対策として様々な昆虫食の試みが増えている中、昆虫食が手軽に買える自動販売機も増えてきています。
いつか機会があったら試してみたいな、と思っていたところ、秋葉原にも昆虫食自販機「MOGBUG(モグバグ)」というものが置かれているそうなので、行ってみました。
昆虫食自販機「MOGBUG(モグバグ)」は、高田馬場に本店があるジビエ(というか普段食べられないような珍獣肉)料理がメニューに並ぶお店「米とサーカス」がプロデュースしたもの。中でも「米とサーカス」の渋谷PARCO店と錦糸町ダービー通り店は、名前に「鳥獣虫」と入っていて、昆虫を素材にしたメニューも食べられます。
「MOGBUG(モグバグ)」は「米とサーカス」高田馬場本店の店頭と、秋葉原の居酒屋店頭に設置。秋葉原の方は住所でいうと東京都千代田区神田佐久間町2-14-7、EIWAビルの正面から見て右手にあります。1000円札とコインのみの対応になっているので、1000円札を準備してから行くと良いと思います。
■初心者でも買いやすい、自販機とパッケージ
早速、自販機の様子を見てみましょう。「MOGBUG(モグバグ)」は女子向けのラインなんだそうで、見た目はポップな色使いで、秋葉原に似合っているというか楽しそう。とても昆虫を売ってるとは思えないですね。
見本として陳列されているパッケージも、一見サプリメントみたいなデザインになっていて、手に取りやすい感じになっています。虫の種類によっては、味付けも違うものがあるようです。
■どれを食べよう……?
どれも買いやすいパッケージなので、どれを買おうか悩んでしまいます。そんな中まず目に付いたのは、オケラ(1000円)。実家の畑にたくさん居たなぁ……と思いつつ、茶色い姿は佃煮にしたイナゴに似ているし、見慣れているので食べやすいかも、と購入することに決定。あとは、普段見慣れていないもの且つ、昆虫食らしいものを選ぼうとスーパーワーム(1000円)をチョイス。
ここでいう「スーパーワーム」とは、鳥や小動物の生餌としてポピュラーな「ミールワーム」と総称される、カブトムシに近い仲間(甲虫類)の幼虫を指しているそうで、今回はゴミムシダマシの幼虫とのことです。この2つを買おうと思います。
■びっくり、鉛入りのボトルに入った商品
早速自販機で購入します。すると「ベゴンッ」というもの凄い音。取り出し口を見ると、重りの入った樹脂のボトルが落ちてきていました。商品が軽いので、うまく取り出し口まで落下するように工夫されているようです。さすがに昆虫食専用の自販機は開発されていないようで、通常の飲料用自販機を流用しているせいかもしれません。
ボトルと重りは返却するように書かれていたので、中身を取り出したら指定の回収ボックスに戻します。
パッケージを見ると、見本にあった通りの可愛らしいデザインで「未来を救うネクストフード」と記載されていました。世界の食糧危機対策としての昆虫食、値段はまだ高めですが、素晴らしい考えだと思います。
■持ち帰り、自宅で確認
秋葉原を歩きながら虫を食べるのは少々シュールなので、落ち着いて食べられるよう自宅まで持ち帰ることに。帰宅して早速細かくパッケージを確認します。まずは、オケラの確認から……。
表面はピンクでかわいいパッケージになっています。そして裏面には商品説明が。商品名は「MoleCrickets 15g」と書かれています。
調べてみるとMolecricketはケラ(オケラ)の英語表記。直訳すると「モグラコオロギ」という意味になります。……なるほどコオロギの仲間(コオロギ上科ケラ科)だから鳴くんだな、と新たな知識も入手してしまいました。さらには、こんな記載が。
・「no added colours or preservatives(着色料、防腐剤未使用)」
・「Microwave Dried,Not Fried(電子レンジでの乾燥、ノンフライ)」
・「自然のタンパク質」
・「グルテンフリー(小麦不使用)」
・「塩フレーバー」
油等は使用してないし、自然のままの食べ物ということで、健康に気をつかっているのが素晴らしいと思います。
パッケージを振ってみるとカラカラと乾いた音がします。裏に記載されている原材料も確認してみると、オケラと塩のみになっているようです。
注意書きとして、甲殻類アレルギー持ちの方は食べないで欲しいと書かれています。昆虫は大きな分類でいうと節足動物の一種で、同じ陸に生息するクモやサソリよりもカニやエビに近い存在だそうですから、エビ・カニアレルギー持ちの方は食べない方が良さそうです。
続いて黄色とオレンジのパッケージが素敵なスーパーワーム。商品名は「SuperWorms 15g」で、記載されていたのは以下の特徴。
・「no added colours or preservatives(着色料、防腐剤未使用)」
・「Boiled & Dehydrated, Not Fried(茹でと脱水を行なった調理、ノンフライ)」
・「NoMSG(グルタミン酸ナトリウム不使用)」
・「自然のタンパク質」
・「グルテンフリー(小麦不使用)」
・「塩フレーバー」
やはり健康に意識を向けているのが伝わります。グルタミン酸ナトリウムは俗にいう「うま味調味料」なので、ノンフライというのも含めて、なんだかラーメンの「無化調(うま味調味料不使用)」を思い出します。
パッケージを振ってみると、オケラと同じくカラカラと音がしますが、ちょっと軽めの音ですね。材料はスーパーワームと塩のみとシンプル。オケラと同様に甲殻類(エビ・カニ)アレルギーの方は食べないように書かれているので、注意してください。
オケラもスーパーワームも、原産国はタイになっています。先日別の記事で紹介した「タガメサイダー」も、材料のタイワンタガメはタイやラオスでポピュラーな食材だそうですから、東南アジアは昆虫食の先進国なんですね。
■おケラ実食
まずはオケラの方から食べてみようと思います。パッケージを開けてみると、ふわっと嗅いだ記憶のある香りがしました。
土の香り……いや、違うな。うーん……あ!「熱帯魚の乾燥ペレット餌」の香りだ!「金魚用の薄い紙状の餌」にも似ている!と思いました。微妙に香ばしさを感じるところが、本当にそっくりな気がします。
見た目は、日本で見るオケラと殆ど同じでした。ぱっと見、前足が少し小さいかなと感じました。
そして口にいれると……食感は全体的にサクッとしてて、味は頭と前足の部分はエビの尻尾のようで、少し香ばしい感じがしました。お腹の部分もエビの尻尾のような味はするものの、フレーバーとして入っている塩気の方が強い感じ。パッケージのうち数匹、お腹部分に苦味成分(ここは焼魚を食べた時と似てますね)があったので、個体差も多少あると思います。
食べ方としては、そのまま食べても多少の香ばしい風味がありますが、そのままだと味はとても薄いので、すり鉢で粉にしてタコ焼きやお好み焼きを作る時に一緒に混ぜ込んでしまうのが良いかなと感じました。フライパンに油を引かず、軽く炒ってみたところ、香ばしさが増したので、その調理方法が良いかなと思います。
■スーパーワーム実食
続いて、スーパーワームの方を食べてみます。パッケージを開けたところ、ローストした様な油っぽい匂いがありました。オケラが電子レンジで乾燥させただけなのに対し、わざわざ一度茹でているのは、この油っぽい感じを軽減する意味があるんでしょうか。そして、表面がとても堅い仕上がりです。
見た目は恐いですが、食べてみます。うん、表面はサクッとしていて……中は口の中の水分を吸って、とても濃い水飴を食べたように口の中に後味が残ります。揮発性の物質が内臓に含まれているのか、のどが熱くなり、1時間経った状態でも喉に水飴状になった脂と、のどが熱くなったあとのイガイガした感じが続きました。
味としては、表面は香ばしさがある軽い食感なんですが、中身は全体的にえぐみが強いですね。油分が多い植物の種を食べたような、焙煎したコーヒー豆をそのまま囓ったような、サクランボの種の中にある柔らかい部分を濃縮して食べた感じというか……とにかく刺激としつこさが残ります。えぐみが苦手な人は厳しいかもしれません。
味の表現として、ナッツと表現される事が多いスーパーワーム。油分が多いので、確かにそれも近いと思います。ただ、個体差が激しく、味が薄いものと濃いものがあり、食べたものによるのかなと感じました。
スーパーワームはオケラと違い、そのままでも味はするので、そのまま食べてもいいと思います。味が薄いなと感じたら、塩胡椒を軽くふって食べるか、マヨネーズで味付けしてもいいかなと思いました。炒めて、さらにカラカラにしても良いかもしれません。
■試食してみて
今回は、オケラとスーパーワームを食べてみました。見た目の抵抗感はあると思いますが、味はオケラは慣れ親しんだ(?)味、スーパーワームは独特のエグ味が暫く残りました。初心者はオケラから挑戦してみると良いと思います。
■昆虫食自販機「MOGBUG(モグバグ)」
・東京都千代田区神田佐久間町2-14-7 EIWAビル
・東京都新宿区高田馬場2-19-8「米とサーカス」店頭
(戦魂)