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イギリス空軍ロジーマス基地運用再開 タイフーンはロシア機にスクランブル

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 滑走路改修工事のため、一時的に運用が停止されていたイギリス、スコットランドのロジーマス空軍基地。このたび改修工事が完了し、移動していたユーロファイター・タイフーンと、これが初めてとなるポセイドンMRA哨戒機が新しい滑走路に着陸しました。タイフーンは移転中にも、ロシア軍機に対しスクランブルを実施しています。

  •  スコットランド北部にあるロジーマス空軍基地は、イギリスにとって北からの脅威に備える最前線の基地です。基地では2020年1月から、老朽化していた滑走路の舗装を新しくする工事を実施することになり、運用機を移動する措置を取っていました。

     ロジーマス基地で運用される予定だった新しい哨戒機、ポセイドンMRA(ボーイングP-8A)は、2020年2月にイギリスへやってきましたが、ロジーマスが工事中のため、同じスコットランドにある旧キンロス空軍基地を一時的に復活させ、そちらで訓練をすることに。また、ユーロファイター・タイフーンは旧ルーカーズ空軍基地(現:ルーカーズ・ステーション)で、スクランブルに備える体制をとっていました。

     工事は2本ある滑走路と、付随する誘導路全ての舗装をし直すことになり、7500万ポンド(約102億円)の予算が組まれました。新型コロナウイルス禍に見舞われたものの、工事は順調に進み、当初の予定通り2020年10月に終了。10月13日(現地時間)、ロジーマス基地は再び飛行場としての運用が再開されました。

     ポセイドンMRAにとっては、ようやくホームであるロジーマス基地への着陸。先陣を切ったのは「シティ・オブ・エルジン」の名前がつけられた、受領2号機にあたるZP802でした。

     スコットランドの基地らしく、ポセイドンMRAのエアステアでは、バグパイプが演奏されました。ポセイドンMRAは、ここロジーマス基地で9機が乗員育成訓練と海洋哨戒任務に就く予定です。


     また、防空任務を担うユーロファイター・タイフーンも、久々にロジーマス基地の滑走路を踏みしめます。施設の規模による制限から、スクランブルに備えた待機任務(QRA)と、通常の訓練を異なる飛行場で実施していましたが、ようやく通常通りの体制に戻ろうとしています。

     全機がロジーマス基地に戻りきらぬ10月14日(現地時間)、ルーカーズ・ステーションに残っていたユーロファイター・タイフーンは、北方から接近するロシア軍のTu-160爆撃機2機に対しスクランブルを実施しました。このTu-160は、イギリスに接近する以前にノルウェー空軍のF-16からもスクランブルを受けており、イギリス空軍はその追跡(エスコート)を引き継ぐ形になりました。

     2機のTu-160は、その後北へと進路を変え、引き返す形に。イギリス空軍のタイフーンは再びノルウェー空軍のF-16に追跡を引き継ぎ、今度は離陸したルーカーズ・ステーションではなく、新しくなったロジーマス基地へ帰還しました。

     部隊の引越しの最中にスクランブル事案が発生したため、出撃した場所と帰還した場所が違うという珍しい経験をしたパイロットは「周辺の部隊と緊密に連携をとり、イギリスとNATOの防空を成功させることができました。スキャンプトン基地の要撃管制により、ノルウェーからTu-160の追跡を引き継げるよう最適なルートを飛行し、ボイジャーからの空中給油を受けながら、2機のブラックジャック(Tu-160)が空域外に出るまで追跡を実施しました」と語っています。

     滑走路と誘導を一新し、再び航空機を迎えたロジーマス基地は、これからも北からの脅威に備え、空(ユーロファイター・タイフーン)と海(ポセイドンMRA)を守る最前線として機能することになります。

    <出典・引用>
    イギリス空軍 ニュースリリース(その1その2
    Image:Crown Copyright

    (咲村珠樹)

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