戦力の近代化を進めるクウェート空軍は、現在運用しているF/A-18C/Dの後継として、F/A-18E/Fとユーロファイターを導入。このうちユーロファイターのパイロット要員は、イタリア空軍に留学して教育を受けています。

 クウェート空軍では現用のF/A-18C/Dの後継として、F/A-18E/Fとユーロファイターの導入を決定し、それぞれ28機ずつを発注しています。F/A-18E/FはこれまでのC/D型の延長線上にあるものですが、ユーロファイターは初めて取り扱う機種。ノウハウがクウェート空軍にありません。

 このため、すでにユーロファイターを運用している国に留学し、パイロット育成を行う方法をクウェート空軍は採用しました。2015年にイタリアとクウェートの間で締結された、ユーロファイター調達に関する合意に基づき、クウェート空軍のパイロットはイタリア空軍でユーロファイターの運用を学ぶことになったのです。

 訓練が行われるのは、トスカーナ州南部にあるグロッセート空軍基地(グロッセート空港)。ここの第4航空団第20任務転換飛行隊にクウェートからのパイロットが留学し、約1年間にわたってユーロファイターの運用を身につけます。

 2020年1月20日(現地時間)、新しい訓練課程が始まり、クウェート空軍からやってきた5人のパイロットが参加しました。うち2名は機種転換訓練となるF/A-18C/Dパイロット。パイロット候補生だった3名は、この前段階として航空英語訓練センターでの英語教育や、第61航空団での航空機操縦訓練課程を経てパイロット資格(ウイングマーク)を取得しています。

 まずはユーロファイターEF2000についての座学から。戦闘部隊司令部の司令官フランチェスコ・ヴェスティート少将から激励を受けます。


 このように、戦闘機パイロットの訓練生が外国の空軍に留学するケースは各国で行われており、日本の航空自衛隊でも一部の訓練生がアメリカ空軍に留学し、T-38による操縦課程を受講しています。現在JAXAの宇宙飛行士である油井亀美也さんも、アメリカ空軍でのT-38操縦過程を経てF-15パイロットとなり、テストパイロットの道へと進んでいます。

 中東地域ではクウェートが28機(単座機22/複座機6)導入のほか、サウジアラビアとオマーンがすでにユーロファイターを運用中。さらにカタールでもイギリスから24機を導入し、2022年の運用開始を予定しています。

 カタールでもクウェートと同様に、イギリス空軍の第12飛行隊にパイロット要員らが留学してユーロファイターの運用を学ぶ予定。中東において、ユーロファイターのユーザーは徐々に広がりを見せています。

<出典・引用>
イタリア空軍 ニュースリリース
Image:イタリア空軍/Eurofighter Jagdflugzeug GmbH

(咲村珠樹)