おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

子供の頃の疑問を解決したくて「ポケモンマップ」をジオラマで再現

 1996年に発売されたロールプレイングゲーム「ポケットモンスター」。「ポケモン」の呼び名で親しまれていますが、「モンスターを集めて育てて戦う」という画期的なシステムも相まって世界中で広く愛されています。

 そのポケモンの原点といえる「ポケモン初代」のマップ図、「ポケモンマップ」をジオラマで再現した投稿がTwitterで話題となっています。

  •  「あ゛ー朝方まで作業してしまった…マサラタウンとの高低差遂に10センチに到達しました。これとんでもない物に手をつけてしまったんじゃないかと少しずつ後悔し始めてきましたw #UMAのクラフトチャンネル #pokemon #ポケマス #ジオラマ」

     会社員のUMAさんが、そんなつぶやきとともに自身のTwitterに投稿したのは、パソコンデスク3台分はあろうかという巨大なジオラマ。そこには、家屋に道路に森林などと、何やらとある街を再現したかのようになっています。

     これは、「初代ポケモン」に登場した、主人公の故郷の“はじまりのまち”「マサラタウン」から隣町の「トキワシティ」に加え、「トキワシティ」を抜けた先にある「トキワの森」や「22番道路」も合わせて再現したジオラマ。

     よくよく見てみると、何やら段差のようなものがあり、並べてみると、約10センチメートルほどの高低差が。

     さらに、「トキワシティ」から「22番道路」に通じるエリアには巨大な壁面のようなジオラマも見受けられます。

     実はこちらは、ゲームを再現したもの。ポケモンでは、こうした段差や壁面マップはいわゆる「定番」でもあり、筆者もウネウネと迂回しながらプレイしていたもの。当時を思い出させる精巧な作り込みには、筆者を含めた往年の「ポケモン初代プレイヤー」がニヤリとするものとなっています。

     ただ、「ポケモン初代」のゲームハード(機種)は初代ゲームボーイだったため、「ドット絵」での表現となっていました。そのため、頭では理解できても、イマイチピンと来なかったプレイヤーの方も多かったのではないでしょうか。

     UMAさんもそんな「初代プレイヤー」だったひとり。当時6歳だったUMA少年は、登れないということはそれなりの高さがあると仮説し、それならゲーム画面で“平面”に見えるところも坂道なのではないか?と推測しながらプレイしていたそうです。

     「元々工作などで物を作ることが好きで、いつか自分で作ってみたいという思いがあったんです」と語るUMAさんは、現在もプラモデルの改造や塗装といった造形活動が趣味。「いつか作ってみたい」という長年の思いがあったそうなのですが、大人になってからは仕事が忙しく中々まとまった時間がとれなかったそう。

     しかし、昨今のコロナ禍の影響により「おうち時間」が増えたことで、「答え合わせ」も兼ねて制作に取り掛かったそうです。

     まず“下地”となる「マップ図」については、厚めの画用紙を使用。さらに寸分の狂いがないよう、1マス1センチ計算で方眼ノートに設計図を書きながら、時折起動している「ポケモン」のゲーム画面を見ながら細部を確認していきます。

     そして「段差」については、細かくカットした画用紙で高さをつけながら、方眼紙を重ね合わせて「表現」。段差の断面や草むらなどは、色違いの画用紙を使用し、最後に下地に使用したスチレンボードに重ね合わせるようにして出来上がった道路。思った以上に険しい道のりになっています。初っ端から主人公の道のりは大変だったんだなあ……。

     「道路」ができたら、お次は外周を囲う丸太の柵に、木や草むらといった「装飾」の制作です。こちらも画用紙を使用。丸太に関してはクリーム色の画用紙を丸めて作成し、木に関しては再現度を高めるため、予め用意した茶色や緑色の画用紙をクシャクシャにすることで、よりリアル感を持たせています。

     そして、ポケモンマップでは代表的な「マップ図」である「草むら」に関しても、お寿司や弁当に挟まれている、「バラン」と呼ばれる緑色のシート状のものを作成。ここでも濃淡2色の緑の画用紙を組み合わせることにより、実際にモンスターに遭遇するかのような作りに。名場面の「ライバルとのポケモンバトルシーン」の再現も見応え十分です。

     「装飾」だけでも、こだわり感満載のUMAさん。しかしながら、特筆すべきところは、圧倒的な「数」。全てのマップで等しく使用するため、その数は膨大なものになります。

     これだけでも、インパクト絶大のジオラマなんですが、UMAさんの真骨頂はむしろこれから。街の建造物等の「建築」についても、様々なこだわりが散りばめられています。

     家についてはゲーム同様、赤や青に色分けした屋根に、上手く組み込めるようにサイズ調整した外壁部分を白の画用紙で用意。さらに、窓やドアについては手書きでデザインしながら、屋根や外壁の細かい塗装部分も鉛筆を使って表現。これにより、「ポケモンセンター」や「ジム」が、はっきり見分けがつけるくらいのリアル感を生み出しています。

     また、主人公(アニメ版では「サトシ」)の家に関しては、特徴的な形状に加え、ポストや白のバルコニーの柵といったものまで「設置」し、「オリジナル感」を完全再現。

     さらに建物の「内装」部分では、主人公の家の構造や、最初のポケモンを選ぶ際に立ち寄る、「オーキド研究所」についても作り込みがなされています。お恥ずかしながら筆者、もはや「すごい」という言葉以外に形容できなくなってしまいました。「当時のプレイヤーの方にも楽しんでいただけたら」という思いを込め、制作し続けているUMAさんに、ただただ尊敬の念を抱くばかりです。

     そんなUMAさんの“冒険譚”ですが、実はまだこれは序章。最新の投稿では、最初のポケモンジムのある「ニビシティ」が完成間近だそうです。「UMAのクラフトチャンネル」というYouTubeチャンネルにて制作風景も都度更新されていますので、筆者も今後の動向に注視してまいりたいと思います。

    <記事化協力>
    UMA(うま)さん(@UMA_RABBIT)

    (向山純平)

    あわせて読みたい関連記事
  • プラモデルの箱を突き破って抜錨!迫力たっぷりの「宇宙戦艦ヤマト」ジオラマ
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    プラモデルの箱を突き破って抜錨!迫力たっぷりの「宇宙戦艦ヤマト」ジオラマ

  • 弁当箱から自作 こだわりが凄すぎる「8番出口弁当」に圧倒
    ゲーム, ニュース・話題

    弁当箱から自作 こだわりが凄すぎる「8番出口弁当」に圧倒

  • ポケモン公式が“逆転”現象に謝罪 やはり「メガカラマネロ」の仕業……だった?
    ゲーム, ニュース・話題

    ポケモン公式が“逆転”現象に謝罪 やはり「メガカラマネロ」の仕業……だった?

  • ポケモン公式Xで「逆転」現象 「メガカラマネロ」登場の匂わせ?
    ゲーム, ニュース・話題

    ポケモン公式Xで「逆転」現象 「メガカラマネロ」登場の匂わせ?

  • ゼニガメ希望のはずがピカチュウ!? 手作りケーキに起きた“育児あるある事件”
    インターネット, おもしろ

    ゼニガメ希望のはずがピカチュウ!? 手作りケーキに起きた“育児あるある事件”

  • 「魔法みたい」額縁の中で走り続ける電車 精巧なジオラマに10万いいね
    インターネット, おもしろ

    「魔法みたい」額縁の中で走り続ける電車 精巧なジオラマに10万いいね

  • 子どものためにクレヨンで描いたイーブイ 妻が気に入りまさかの額装
    インターネット, おもしろ

    子どものためにクレヨンで描いたイーブイ 妻が気に入りまさかの額装

  • 「推し愛」で生まれた海の化身 ナス製カイオーガ精霊馬が24万いいね
    ゲーム, ニュース・話題

    「推し愛」で生まれた海の化身 ナス製カイオーガ精霊馬が24万いいね

  • マクドナルドのポケカ騒動 期間中の店舗を訪れた記者が感じた“異様な雰囲気”
    社会, 経済

    マクドナルドのポケカ騒動 期間中の店舗で感じた“異様な雰囲気”

  • マクドナルド、メルカリと連携し転売対策強化 ポケモン付きハッピーセット発売にあわせ
    インターネット, 社会・物議

    マクドナルド、メルカリと連携し転売対策強化 ポケモン付きハッピーセット発売にあわ…

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)
    商品・物販, 経済

    ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」…

  • キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化
    商品・物販, 経済

    キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

  • 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言
    社会, 経済

    時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

  • ゴロっとチキンのカレーナポ
    商品・物販, 経済

    パンチョ初の人気投票1位「カレーナポ」が進化 期間限定で復刻登場

  • 山崎賢人さんと坂口憲二さん(※山崎賢人さんの崎の字は正しくは「たつさき」です)
    イベント・キャンペーン, 経済

    サントリー生ビール新CMメイキング公開 山崎賢人ら“生ひげ”姿で掛け合い

  • なか卯に「黒トリュフ薫る きのこ親子丼」が期間限定で発売
    商品・物販, 経済

    なか卯に「黒トリュフ薫る きのこ親子丼」が期間限定で発売

  • トピックス

    1. 丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が10月6日から、人気ラーメン漫画「ラーメン大好き小泉さん」とコラボした「らーめん缶」を、東…
    2. これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は

      これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は

      親に怒られてしまった子どもが、その後に取る態度はさまざまです。落ち込む子もいれば、しっかり反省する子…
    3. 警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      インターネットを使っていると、ふとした瞬間に現れる「警告ポップアップ」。 近ごろでは「サポート詐欺」…

    編集部おすすめ

    1. 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)

      ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」を発売

      マクセルイズミ株式会社は、ストッキングやタイツなどの繊細な衣類にも対応する毛玉取り器の新モデル、「毛玉とるとる Pro(KC-NW825)」…
    2. キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンが、バンダイの「ガシャポン」とコラボレーション。歴代のカメラとレンズをミニチュア化した「Canon ミニチュアカメラコレクション」を…
    3. 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信社は10月9日、自民党本部での取材中に「支持率下げてやる」などと発言した本社映像センター写真部の男性カメラマンを厳重注意したと発表し…
    4. 「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      言わずと知れた人気コンテンツ「ちいかわ」。かわいくもハードなあの作品世界に入っていきたいと願う人は多いはず。筆者もその1人です。しかし二頭身…
    5. ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      キーボードに差し込まれたトランプのジョーカーと、その裏に書かれた「げぇむすたあと」の文字。Xユーザーの「たーけ」さんが、たまたま入ったネット…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト