「プロペインターの村上圭吾氏の『水性塗料を使った塗装(村上塗り)』に出会い、それに衝撃を受けてからは、一貫してその手法を学んでいるんです」
そう語る前多ミライさん(以下、前多さん)は、プラモデル・フィギュア・ガレージキットにカスタムペイントを施す塗装モデラー。先日、Twitterに投稿した作品が反響を呼んでいます。
「良くなってきたんじゃなかろうか?」とつぶやきつつ、作品を投稿した前多さん。今回は、アニメ「超時空要塞マクロス」にて、ゼントラーディ軍が使用する架空兵器「リガード」のプラモデル「1/72 標準量産タイプ:ワンマン戦闘ポッド リガード」を使用しています。
「『マクロス』は、子供の頃に好きだったアニメなんですが、当時はプラモデルが欲しくても買ってもらえず、実際に作ることが出来ませんでした。大人になった現在も、それが売っていることを知って手に取ったんです」
リガードといえば、鳥のようなフォルムと両脚、単眼のモノアイ、その両脇に構える2門のビーム砲が特徴。
マクロス劇中では、第12話「ビッグ・エスケープ」にて、3人のパイロット(一条輝、マクシミリアン・ジーナス、柿崎速雄)とヒロイン・早瀬未沙が、ゼントラーディ軍艦隊から脱出するシーンがとりわけ印象的です。
ただ、TVアニメでのリガードの胴体の配色はブルーなのに対し、プラモデルのパッケージ絵の胴体は紺色に近い色合いと対照的。今回前多さんは、後者の箱絵を参考にしました。
「とにかく近づけることに集中したんです」と語る完成品は、まさにうり二つ。全て水性の艶消しを用いて塗装をしたとのことで、パッケージの真横には、”立体化”したリガードが写し出されています。
余談ですが、筆者は前多さんの投稿を見た当初、リガードのパッケージを描いた絵画と勘違い。でも、それだけ浮き上がってくるかのような様相なんです。しかしながら、それこそが前多さんの作品における狙い。
「例えば『光』を表現するにしても、『光る塗料』を使うのではなく、塗り方で『光っている』ように見せているんです。『立体物に絵を描く』イメージでいつも塗装をしています」
またこの手法は、自身が“師事”している村上氏の作風に影響を受けた面もあるとのことです。
なお、前多さんが本格的に塗装の勉強を始めたのは2020年5月。そこからの1年半で、メイキングされた様々なフィギュアは、より色気を身に纏ったものとなっています。ヤックデカルチャー……!
良くなってきたんじゃなかろうか? pic.twitter.com/b7KFDjhTxM
— 前多 ミライ (@fgl_mirai) December 3, 2021
※初出時タイトルに一部誤りがありました。リンガードではなく正しくは「リガード」です。訂正しお詫びいたします。
<記事化協力>
前多 ミライさん(@fgl_mirai)
(向山純平)