(提供:株式会社パピレス)
その昔、学校の授業で平安時代の絵巻物(「源氏物語絵巻」とか)を習った経験のある方も多いと思いますが、この21世紀に新たな絵巻物が誕生してしまいました。しかも、ネット上に。ストーリーが途切れることなく1コマの中で展開する、凸ノ高秀さんによる全長25mのまんが「1コマの国のアリス」が2018年4月19日、株式会社パピレスの電子書籍サイト「Renta!」で公開されました。
元々「Renta!」は、スマホで読むことに特化した、個別のページをめくるのではなく、スワイプしながら縦スクロールで読み進められる「タテコミ」という独特の形式が魅力です。そのため、ページごとの区切りがなく、コマが連続して描かれるという形式はあったのですが……。
この「1コマの国のアリス」は、ご存知ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」をモチーフにした作品。主人公、ありすのスマホをウサギが持ち出してしまうことからお話が始まります。ウサギを追いかけるうち、ありすは穴に落ちてしまい、不思議な「ヒトコマの世界」に足を踏み入れてしまうのです……。
そこで展開されるのは、様々なまんがを題材にした世界。スポ根やミステリーなど、数多くのジャンルをもとにした世界を、ウサギを追って巡るありす。まんが好きなこともあって、ありすは王道なストーリー展開にツッコミを入れつつ、的確な助言によって、それぞれの世界が抱える悩みを解決していきます。はたして、スマホを取り戻して、ありすは元の世界へ帰れるのでしょうか……?
「1コマまんが」ということもあって、展開はまるで1幕物のお芝居を見ているかのよう。次から次へと場面が転換し、ストーリーはクロスフェードしながら続いていきます。ありすが穴に落ちるシーンは、読む側がスワイプする速さで落下する時間感覚が変わり、まるで「穴の深さ」が変化するような読み方も可能。
この作品、1ページごとに分けると、ちょうど平均的なまんが単行本1冊分になるとのこと。旧来の紙に描くまんがではなく、デジタル作画と縦スクロール形式でなければ、このような作品は実現しなかったんでしょうね。しかも「Renta!」の場合、作品データやユーザーごとの利用状況はクラウドに保存される形式なので、スマホのメモリを圧迫することもなく、電池切れなどになってもデバイスを変えて続きが読めるから便利です。ストーリーが1コマだから、途中で切れるとストレス溜まりますもんね。
しかし、このように技術が発達した21世紀に、まさか1000年前の絵巻物のように読めるまんがが誕生しようとは……。意外と世界初のまんがとされる「鳥獣戯画」も、横スクロールの「1コマまんが」と解釈できるかも? 「1コマの国のアリス」は、電子書籍サイト「Renta!」で公開中です。