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日鉄エンジニアリング株式会社(代表取締役社長:石倭行人、本社:東京都品川区、以下NSE)と大阪ガス株式会社(代表取締役社長:藤原正隆、本社:大阪市中央区、以下OG)が共同出資※1するNS-OG Energy Solutions (Thailand) Ltd.(社長:木下達哉、以下NSET)は、信越化学工業株式会社(代表取締役社長:斉藤恭彦、本社:東京都千代田区、以下 信越化学)のグループ会社でタイ国東部ラヨーン県においてシリコーン製品などの製造を行うShin-Etsu Silicones (Thailand) Limited(以下SEST)、Asia Silicones Monomer Limited(以下ASM)、Shin-Etsu New Materials (Thailand) Limited (以下SENT)の3社に対する、バイオマスコージェネレーションシステム(以下「本設備」)による再生可能エネルギー供給事業(以下「本事業」)の事業化が決定しましたのでお知らせいたします。
本事業は、NSETが本設備(発電量平均5.0MW、蒸気供給量平均40t/h)をASM敷地内に設置し、タイ国内で産出された木質チップ※2を燃料として製造した再生可能エネルギー(電力・蒸気)を、SEST・ASM・SENTの3社に供給するものです。NSETが本設備の設置、保有、燃料調達、操業管理、メンテナンスまでワンストップサービスで提供する※3ため、お客さまは本設備にかかる初期投資や設備の操業・メンテナンスの手間をかけることなく安定した再生可能エネルギーの供給を受けることができます。
本事業の実現に向けては、NSE・NSETと信越化学工業グループが、協働して同グループのタイ国におけるカーボンニュートラル化の推進について検討してまいりました。NSEとDaigasグループが日本国内で培ってきた廃棄物処理発電やバイオマス燃料に関する最新の技術・ノウハウを活用したコージェネによる「エネルギー地産地消」のモデルを、天然ガスコージェネ導入や地産地消型PPAへの参加などを通じてカーボンニュートラルへの取組みを強力に推進している信越化学工業グループのタイ国内の製造拠点向けに展開することで、合計で年間約4.8万tのCO2排出量削減に貢献する見込みです。
なお本事業は、環境省の令和6年度 「二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism: JCM)資金支援事業のうち設備補助事業」※4に採択され、タイ国産のバイオマス燃料を活用したコージェネで再生可能エネルギーを供給する「エネルギー地産地消」モデルを構築したものです。これは自家消費ではなく顧客施設に対する事業として、タイ国産の木質チップを燃料とする再生可能エネルギーを供給するという点で、タイ国との二国間クレジット制度(Joint Crediting Mechanism: JCM)資金支援事業では初めての取り組みとなります。
NSEとNSETは、これまで各種エネルギープラントの建設・操業を通じて培ってきたエンジニアリング技術と小売電気事業者としての長年にわたる運用知見を融合し、日本国内外におけるカーボンニュートラルへの取り組みを通じて持続可能な社会の発展に貢献してまいります。
Daigasグループは、2021年1月に「カーボンニュートラルビジョン」を、2023年3月に「エネルギートランジション2030」を発表し、グループ全体で脱炭素社会に貢献する技術・サービスの開発に取り組み、気候変動をはじめとする社会課題の解決に努めています。ガス販売、エネルギー供給で培った知見を活用し、タイならびに日本のCO2排出量削減に貢献してまいります。
※1 OG は、100%子会社の「Osaka Gas Singapore Pte. Ltd.」(社長:辻村秀臣)を通して出資。
※2 ゴムノキを主燃料として予定。タイ国は世界トップ3に入る天然ゴムの生産量を誇りますが、約15年毎に必要となる大規模な植え替えのたびに大量の廃材が発生しています(参照:日本科学未来館ホームぺージ)。本事業は、これまで利用用途が限られていた大量のゴムノキ廃材のバイオマス資源としての有効活用を推進しているタイ国の重要な国策にも合致しています。
※3 NSETは、タイ国において日系企業の工場向けにエネルギー供給設備の計画検討、設計・調達・建設(EPC)から設備保有・燃料調達・操業・保守(O&M)までをワンストップサービスで提供しており、現在5件の設備を操業中です。また、(一財)コージェネレーション・エネルギー高度利用センターから「コージェネ大賞2018 理事長賞」を海外企業として初受賞するなど、高効率で安定的なコージェネ設備の操業管理技術について高い評価を得ています。
※4 優れた脱炭素技術などを活用し、途上国などにおける温室効果ガス排出量を削減する事業を実施し、測定・報告・検証(MRV)を行う事業。途上国などにおける温室効果ガスの削減とともに、JCMを通じて我が国及びパートナー国の温室効果ガスの排出削減目標の達成に資することを目的としています。優れた脱炭素技術などに対する初期投資費用の2分の1を上限として補助を行っています。なお、本事業はタイ国政府と日本政府の協力の下で実施されています。
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【本事業スキームのイメージ】