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仕事と介護の両立に不安85% ダスキンが「介護白書2025」で実態調査

 ダスキンは同社の介護用品レンタル・販売「ヘルスレント」事業による生活者調査をまとめた「介護白書2025」を8月25日に公表した。

 9月15日の敬老の日を前に、20~50代の有職者と、60~80代の親世代・20~50代の子世代の各1000人を対象に、介護への不安や備え、仕事との両立意識などを尋ねたもので、介護未経験者の約7割が「何も準備していない」と答えた一方で、両立経験者の約7割が「仕事で培ったスキルは介護にも役立つ」と実感していることが分かった。

  • ■ 7割が備えなし、介護は“自分事化”できていない現実

     調査では、将来自分が介護を担うと予想する未経験者の不安度スコアが平均72.7%に達した。

    将来自分が介護を担うと予想する未経験者の不安度スコアは平均72.7%

     とりわけ30代・40代女性で不安が高く、にもかかわらず介護未経験者全体の72.9%が将来に向けて「特に何も準備していない」という結果が出ている。

     備えの具体策として「金銭的準備」は12.3%、「親と介護についての話し合い」は10.0%にとどまり、家族の介護経験者でも約4人に3人が「準備ができていないまま」介護が始まっていたという。

     白書には、経験者からのアドバイスとして「完璧を求めすぎない」「外部の専門職に相談を」などの声が並ぶ。

    ■ 介護への不安は仕事を上回り、精神的負担がより大きく

     仕事と介護の両立に関しては、介護未経験者の85.8%が「両立できるか不安」と回答し、83.7%が「働き方を変えざるを得ない」と感じている。

    介護が必要となった場合、83.7%が「働き方を変えざるを得ない」と回答

     不安の理由は「仕事とのバランスの取り方にイメージが持てない」(52.0%)、「介護にどれくらいの時間・負担がかかるか想像しづらい」(50.2%)が上位を占めた。

     また、未経験者に「不安の比重」を聞くと、仕事45.5%に対し介護54.5%と、介護の方が上回った。

     実際に両立を経験した人でも「精神的に追い詰められることがある」(48.3%)、「両立が時間的に難しい」「自分の休息や趣味の時間が取れない」(各45.0%)が上位に挙がり、負担の質と量の両面で介護が悩みの核になりやすい実態がうかがえる。

    ■ 仕事スキルが介護にも直結 経験者が語る“共通力”

     一方で、両立経験者の72.3%は「仕事で役立つスキルは両立に役立つ」と回答。

    両立経験者の72.3%は「仕事で役立つスキルは両立に役立つ」と回答

     白書の「仕事・介護スキルTOP10」は、仕事側では「柔軟性」や「タイムマネジメント」、介護側では「コミュニケーション力」や「共感力」が上位に挙がり、共通スキルとして“対人・調整力”が浮かび上がる。

    仕事・介護スキルTOP10

     意識の変化にも注目すべき点がある。

     介護を経験すると「介護のプロに頼ると安心」は経験前の44.4%から66.2%に、「外部介護サービスを利用すべき」は43.8%から62.9%へと大きく上昇した。

     反対に「家族の介護を他人に任せるのは罪悪感がある」は17.8%から6.1%へ低下。家庭内で抱え込む発想から、外部の専門職・サービスを前向きに活用する“アウトソーシング”志向が強まっている。

    ■ 親子の意向に深まるずれ 「家族に頼りたくない親」と「介護したい子」

     親子の意向にはギャップもある。親世代は自分の介護方法として「外部施設」68.5%、「行政サービス」64.4%を望む一方、「家族・親族」による介護は27.5%にとどまる。

     これに対し子世代は、外部活用への賛同が高い一方で「家族・親族」での介護意向が58.3%と過半数を占め、親の「家族に頼りたくない」という希望とずれが見られた。

    ■ 専門家は“介護はチーム戦”と強調 関係性を築く力が重要に

     NPO法人「となりのかいご」川内潤代表理事は、白書内のコメントで「介護も仕事と同様、一人で抱えるものではなく、専門職とのチームで進めていくもの。だからこそ、相手との関係性を築く力や、状況を調整する力が大切です」と述べる。

     また「できないことを一人で抱え込むのではなく、できる人に託すという考え方にシフトすることは大切」と呼びかけ、良好な家族関係の継続こそが“いい介護”だと強調している。

     白書は背景として、経済産業省が示す「2030年には家族介護者の約4割、約318万人が就業しながら介護する見込み」という見通しを引く。働きながらの介護が当たり前になる時代に向け、調査では「短時間で依頼できるサービス」「行政の支援」「長期的介護」の需要が高いほか、「専門家のアドバイス」や「歩行具などのアイテム」への関心が前年より上昇している。

     ダスキン・ヘルスレントは、介護を“ひとりで抱えない”ためのポイントとして、サービスの試用可否や生活との適合性、担当者の人柄・専門性を重視する姿勢を提示する。敬老の日を機に、仕事のスキルを介護に転用し、外部の力を積極的に取り入れる“備えの文化”をどう根づかせるか――白書は、親子双方の対話とチームで支える介護への移行を促している。

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