おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

「家族・親族による介護」は子世代が56%望むのに対し親世代は26%と低め ダスキンヘルスレントが調査結果を発表

 ダスキンヘルスレントが、2022年に親世代と子世代を対象に「親のいま」に関する親子2世代の意識調査を実施。その結果をポスター化して展示する「いま、親のいまを知ろう」ポスター展を、9月7日~10日まで二子玉川 蔦屋家電で開催しています。

 開催初日には、メディア向けに「親子で向き合う介護レポート」の報告会も実施されました。

  • ■ 介護経験が無い人ほど介護のイメージをネガティブに捉えている

     介護用品や福祉用具などのレンタルや販売を行うダスキンヘルスレント。現在、「#いま親のいまを知ろう」をコミュニケーションワードに、いつか直面する介護への備えとして、今から準備することの大切さを紹介するプロジェクトを推進しています。

     報告会では、株式会社ダスキンヘルスレント事業部事業部長の草野茂樹さんが登壇し、2022年の「いま、親のいまを知ろう」プロジェクトを振り返り、今後の展開などについて説明しました。

    株式会社ダスキンヘルスレント事業部事業部長の草野茂樹さんが登壇

     2022年は「親子で試したい9のチェックリスト」や「老いに向き合う親子コミュニケーションのコツ『さしすせそ』」などを提案。

     「いま、親のいまを知ろう。」質問シートの企画では、ヘルスレントのスタッフも参加して、自分の親に「いま、私と一緒にしたいことは?」「いま、困っていることは?」など実際に質問したりしました。

     2023年は親子の対話を促すツールとして、特設サイトにデジタルメッセージカードを公開。「ありがとう」の想いをLINEやメールで素敵なイラストと一緒に伝えることができます。

    2023年は親子の対話を促すツールとして、特設サイトにデジタルメッセージカードを公開

     さらに活動の一環として行われた、意識調査の結果は「親子で向き合う介護レポート2023」として発行。草野さんは、この中の介護経験が無い人ほど介護のイメージをネガティブに捉えているという結果に触れ、ヘルスレントの事業を通じて介護や老後の「お困りごと」を解決する手助けをしていきたいと語りました。

    ■ 介護経験の有無でイメージに差

     続いて株式会社ダスキンヘルスレント事業部営業企画室室長の坂本記史さんが登壇。「親子で向き合う介護レポート2023」の調査結果を紹介しました。

     今回の調査は60代~80代の親世代1000人と20代~50代の子世代1000人の計2000人を対象に行ったそうです。

    株式会社ダスキンヘルスレント事業部営業企画室室長の坂本記史さんが登壇

     なお、事前調査では、3万人を対象に実施され、介護経験の有無について質問。介護経験ありと答えた人は21.5%。なしと答えた人は78.5%でした。男性と女性とも60代・70代・80代が多い結果になっていますが、男性70代の24.5%に対して女性70代は41.6%など、男女間で差が出る結果となっています。

     坂本さんは、今回の「親子で向き合う介護レポート2023」での調査結果のポイントは大きく分けて4つだといいます。

    「親子で向き合う介護レポート2023」での調査結果のポイントは大きく分けて4つ

     1つ目は、介護経験の有無により、介護のイメージに違いがあるということ。一般的な介護のイメージの1位は「精神的な負担が大きい」で70.8%。2位は64.3%で「肉体的な負担が大きい」など、ネガティブなイメージが強い結果となっています。

     介護経験がある人と無い人を比較すると、介護経験がある人は無い人に比べて、「親孝行」の項目では経験なしが23.5%に対して経験ありは40.6%と17.1%も差が。

     「恩返し」の項目も経験なしが14.1%、経験ありが30.1%と16%も差があり、介護経験がある人は無い人よりもポジティブなイメージを持っている人が多いようです。

     次の注目ポイントは、親世代と子世代で「望む介護方法」に違いがあるという点。ここでは親世代には「どのような方法で介護してもらいたいか」、子世代には「どのような方法で介護したいか」を聞いています。

     「外部施設・行政サービスを利用した介護」については、親世代84.5%、子世代82.2%とどちらも8割以上が望んでいます。

     しかし、「家族・親族による介護」は子世代が56.7%と半数以上が望むのに対して、親世代は26.0%という結果に。親と子の暮らし方についても、「子どもは親の暮らしをサポートすべきだと思う」と答えた子世代は66.7%で、親世代の45.3%と比べると21.4%も高くなっています。

     子どもは「家族でなんとかしなければ!」と考えますが、親は「子どもに迷惑をかけたくない」という気持ちが強いことが分かります。

    ■ 「介護」の話は親子でもできない

     3つ目は、親世代・子世代ともに将来の話やお金の話はできても、「介護」の話はなかなかできないという点。親世代も子世代も「終活」については6割以上の人が話したことがあると回答しています。

     ただし、話した内容について聞いてみると、お墓については56.8%、お金(現金や証券などの金融資産)については55.4%と半数以上が話し合っているのに、老後の世話(介護)については32.2%。やはり、介護の話はしづらいようです。

    「介護」の話は親子でもできない

     最後は「家族による介護」についての考え方に男女でズレがあるという点。「家族が介護をすることは家族愛や親孝行の表れである」という項目に、親世代の男性で「そう思う」と答えた人が60.4%。それに対して親世代の女性は47.4%と、13%も低い結果に。子世代も女性の方が低くなっています。

     「家族に介護してもらえる方がうれしい」でも、その差は顕著にあらわれています。親世代の男性は63.8%が「そう思う」と回答したのに対し、親世代の女性は35.8%と非常に低い結果に。

    ■ 介護は「専業」でなければ難しい

     「家族による介護」についての考え方に男女間でズレはあるものの、一致しているものもあります。

     それは「外部サービスに頼らず家族のみで介護をするのは、専業主婦/専業主夫でなければ難しい」、「自分に介護が必要になった場合に備えて、自分で金銭面等の準備をしておくべきだ」という考えです。

    介護は「専業」でなければ難しい

     「外部サービスに頼らず家族のみで介護をするのは、専業主婦/専業主夫でなければ難しい」については8割以上、「自分に介護が必要になった場合に備えて、自分で金銭面等の準備をしておくべきだ」に関しては約9割が、親世代も子世代も男性も女性も「そう思う」と回答しています。

     家族のみの介護は「専業」でなければ難しく、介護に備えて金銭面で準備をすることが大切ということは世代も性別も同じ認識でした。

    ■ 介護サービスや補助道具は積極的に頼るべき

     さらに「外部の介護サービスを積極的に頼るべきだと思う」についても、世代や性別関係なく約9割が「頼るべき」と同じ意見。ほとんどの人が外部の介護サービスを積極的に利用すべきと感じていることが分かります。

     坂本さんが最後に取り上げたのが、「介護を遅らせる観点から、杖やシルバーカーなど早めに使う方がよい」と「体が動くうちは極力、介護・福祉用具は極力使わない方がよい」という項目。

    介護サービスや補助道具は積極的に頼るべき

     杖やシルバーカーの使用については81.2%が「早めに使うべき」と回答しているのに対して、50.4%の人が「体が動くうちは極力、介護・福祉用具は極力使わない」と答えています。

     坂本さんは、「杖などの補助道具を積極的に使用していくことで転倒リスクを下げながら無理なく運動を続けることが大切である」と訴えていました。

    ■ 「いま、親のいまを知ろう」ポスター展を見学

     報告会の後は、「いま、親のいまを知ろう」ポスター展の見学会が行われました。ここでは合計2000人に「親のいま」について調査した結果がポスターとして展示されています。

    「いま、親のいまを知ろう」ポスター展

    合計2000人に「親のいま」について調査した結果がポスターとして展示

     記者が一番印象に残ったのは、「待ち合わせ場所にいる母の小ささにしばらく声がかけられなかった」というコピーが書かれたポスター。コロナ禍で3年以上、地元に帰省できず、久しぶりに実家に帰った時にたった3年にもかかわらず両親が小さくなったように感じました。

    「待ち合わせ場所にいる母の小ささにしばらく声がかけられなかった」というコピーが書かれたポスター

     この他にも、誰もが感じるような気持ちをあらわしたポスターが飾られています。開催日時は9月7日~10 日の11時~19時30分まで。「二子玉川 蔦屋家電」の2階にあるE-roomで開催しています。

    「二子玉川 蔦屋家電」の2階にあるE-roomで開催

    取材協力:株式会社ダスキン

    (取材・撮影:佐藤圭亮)

    あわせて読みたい関連記事
  • 介護未経験者全体の72.9%が将来に向けて「特に何も準備していない」
    社会, 経済

    仕事と介護の両立に不安85% ダスキンが「介護白書2025」で実態調査

  • ゆっくりと落ちていくコーヒー
    グルメ, 食レポ

    SNSで話題のコメダ「とろみコーヒー」初体験 発売1年でも続く注目メニュー

  • 介護について親子で話したきっかけは「親の病気や介護に迫られてから」が5割 ダスキンが調査結果を発表
    企業・サービス, 経済

    介護について親子で話したきっかけは「親の病気や介護に迫られてから」が5割 ダスキ…

  • 画像提供:みやうち沙矢(@saya_miyauchi)
    インターネット, 感動・ほのぼの

    ペットと暮らす覚悟 足腰の弱った愛犬のトイレ写真に反響

  • 「アテント かくさないパッケージ」Mサイズ(左)Lサイズ(右)
    商品・物販, 経済

    反響をよんだ大人用紙パンツの「アテント かくさないパッケージ」 1000個限定か…

  • 虐待のイメージ
    社会, 雑学

    福祉現場から見た「第三者の目」の重要性とは? 障害者施設に設置される虐待防止委員…

  • ライフ, 雑学

    老人施設とお年寄りな皆さんと私 ~あるナースが出会った人生の大先輩たち~

  • インターネット, 感動・ほのぼの

    デイサービスは「スタジオ」だぜ!認知症でもロッカー魂は不滅

  • インターネット, 社会・物議

    病気で歩行器を使っている犬はかわいそう?「今」を生きるコーギーの笑顔

  • インターネット, 感動・ほのぼの

    おばあちゃんが語る「新婚」の定義に胸キュン

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • TikTok収益トラブルはシステム不具合 公式が謝罪と対応方針を示す
    インターネット, サービス・テクノロジー

    TikTok収益トラブルはシステム不具合 公式が謝罪と対応方針を示す

  • Reactに「CVSS 10.0(最高)」の脆弱性 IPAが注意喚起
    インターネット, サービス・テクノロジー

    Reactに「CVSS 10.0(最高)」の脆弱性 IPAが注意喚起

  • ミライ人間洗濯機
    企業・サービス, 経済

    ミナミのホテルで「人間洗濯機」稼働開始 大阪・関西万博で注目の装置

  • ライバー事務所4社に公取委が注意 「移籍しづらい」契約に懸念
    社会, 経済

    ライバー事務所4社に公取委が注意 「移籍しづらい」契約に懸念

  • KADOKAWAの「PressWalker」、2026年2月25日でサービス終了を発表 開始から約4年で幕
    企業・サービス, 経済

    KADOKAWAの「PressWalker」、2026年2月25日でサービス終了…

  • YouTube Premiumアドオン、日本を含む5か国で新たに提供へ Google Oneとセットで割安に
    インターネット, サービス・テクノロジー

    YouTube Premiumアドオン、日本を含む5か国で新たに提供へ Goog…

  • トピックス

    1. ミライ人間洗濯機

      ミナミのホテルで「人間洗濯機」稼働開始 大阪・関西万博で注目の装置

      大阪・関西万博で注目を集めた「人間洗濯機」が、ついに大阪・ミナミのホテルで稼働を始めました。導入した…
    2. ティーバッグ使用時の悩みを解決「二番煎じ待機スタンド」 デザインを学ぶ大学院生が製作

      ティーバッグ使用時の悩みを解決「二番煎じ待機スタンド」 デザインを学ぶ大学院生が製作

      ティーバッグ、一度だけ使って捨てるのはもったいなくて、何度も繰り返し使ってしまいますよね。でも、浸し…
    3. 運営者の終活で老舗CGIサイトが終了へ 1995年開設「CGI RESCUE」、2026年3月に幕

      運営者の終活で老舗CGIサイトが終了へ 1995年開設「CGI RESCUE」、2026年3月に幕

      1995年から続く老舗CGI配布サイト「CGI RESCUE」が2026年3月末での終了を発表しまし…

    編集部おすすめ

    1. Reactに「CVSS 10.0(最高)」の脆弱性 IPAが注意喚起

      Reactに「CVSS 10.0(最高)」の脆弱性 IPAが注意喚起

      情報処理推進機構(IPA)は12月10日、多くのウェブサービスで使われている開発技術に重大な問題が見つかり、国内でも悪用したとみられる攻撃が…
    2. ライバー事務所4社に公取委が注意 「移籍しづらい」契約に懸念

      ライバー事務所4社に公取委が注意 「移籍しづらい」契約に懸念

      ライブ配信アプリ「Pococha(ポコチャ)」で活動するライバーをサポートしている事務所4社が、所属ライバーの“退所後の活動”を不当にしばっ…
    3. パラマウントのプレスリリース

      まるで三角関係?Netflixと“婚約発表”したワーナーにパラマウントが求婚 関係を分かりやすく解説

      アメリカの映画製作・配給会社であるパラマウントが12月8日、同じくアメリカのメディア企業ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)を1株…
    4. 「美味しい」じゃない、“非日常の食べ物”をめぐる5冊

      「美味しい」じゃない、“非日常の食べ物”をめぐる5冊

      「刑務所メシ」「くさい食べ物」「辺境メシ」「イスラム圏の飲酒」「殺し屋のダイナー」など、日常を外れた“食べ物”をテーマにした5冊を紹介します…
    5. 快活フロンティアの発表

      快活CLUB不正アクセスと“天才ハッカー美談”の危うさ──真面目な技術者を傷つける誤った称賛

      快活CLUB公式アプリへの不正アクセスで会員情報700万件超が漏えいした事件で、高校2年の男子生徒が逮捕された。ネットでは「将来有望なホワイ…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト