韓国では最近、政府の図書検閲機構「刊行物倫理委員会」が、日本のワニマガジン社が発行している成人向け漫画2冊(原書)に対し、販売許可の審議決定を下したことが話題になっている。
【関連:総製作費50億の『ブレイドアンドソウル』日本展開前にアニメ化決定―声優は悠木碧・雨宮天ら】
韓国ではこれまで、日本の成人漫画(現地でいう「19禁」)の販売が禁止されてきた。
ところが今年1月、ワニマガジン社が発行する成人漫画『少女のトゲ』(原作:Hisasi)及び、『恋愛サンプル』(原作:ホムンクルス)の原書2冊に対し、刊行物倫理委員会が販売許可を決定。現地ではこの異例の事態に「規制緩和」の期待が高まっている。
今回の件について、現地メディアのsubculture.co.krが、刊行物倫理委員会に電話取材を申し込んだところ、2冊の審議申請を行ったのは、韓国オンライン書店大手だったことがわかったという。
そして通過した理由については「乱交、性的暴行の内容がなかったため」としているが、「今回の件はあくまで異例」ともし、「現に今月20日頃に審議を予定している同じオンライン書店からの審議申請書籍については有害刊行物(販売禁止)となる確率が高い」との説明もあったという。
なお、「日本の成人漫画は国内販売が禁止されているが法が変わったのか?」という質問については、「必ずしもそうではなく、この2作品ともにギリギリの判断ではあったが、成人向け作品でも純愛物に見えるなら問題ないと判断したため通過した。時代の流れにそって審議規定も緩和しつつある」と、日本成人漫画の規制緩和を求める韓国ファンらにとって期待とも取れる回答も。
ただし、「今回もし日本語の原書ではなく韓国語翻訳版だったら審議を通過したか」という質問については、「原書であるからこそ読者(需要)が限られていると判断し基準を下げた部分でもあった。もし同じ本が韓国語で正式発売される場合には、対象は全国民となるため影響を鑑み、不可能という判断になる。日本で全年齢が読める本が韓国で19禁になる事例があるのもこのためだ」という従来の姿勢を崩さない考えも示したという。
今回の件について、審議を通過した両作品の発行元であるワニマガジン社に電話取材を行ったところ「審議を弊社から出したことはなく、状況を初めて知った」と驚きを隠せない様子だった。
どうも今回の件は、ワニマガジン社も知らぬ間に、同社の発行物が韓国書籍輸入業界で異例の事例を作ってしまっていたようだ。
なお、発売が許可された『少女のトゲ』(原作:Hisasi)及び、『恋愛サンプル』(原作:ホムンクルス)についてだが、発売開始直後からオンライン書店には注文が殺到。日本語書籍ランキングでは1、2位を占めたという。
(情報提供:韓国・subculture.co.kr)
※初期掲載時、記事末文にて「発売開始直後約2千冊の予約があった」としておりましたが、情報提供のsubculture.co.krから正確ではなかったという報告があったため表現を改めています。(2013年2月22日16時19分)