新型コロナウイルスの影響で人々の移動や大人数での集会が制限され、企業でも会議や記者会見をネット経由のバーチャルで実施する例が増えています。韓国に駐留するアメリカ第7空軍も、2020年6月12日の司令官交代式典を初めてバーチャルで開催しました。
通常、司令官の交代式典では、新旧の司令官と上官にあたる司令官が出席して開催されます。今回の場合は、第7空軍司令官のケネス・S・ウィルスバッハ中将と新任のスコット・L・プリュス中将、そして太平洋空軍司令官のチャールズ・Q・ブラウン(愛称:CQブラウン)大将と、在韓アメリカ軍司令官ロバート・エイブラムス陸軍大将が出席する予定でした。
しかし新型コロナウイルス感染拡大による渡航制限で、CQブラウン大将(次期空軍参謀総長)はハワイの太平洋空軍司令部から韓国への渡航ができません。また、新任のプリュス中将もハワイの太平洋空軍司令部(航空・サイバースペース部門指揮官)におり、両国を行き来するには感染拡大を防止するため一定期間の隔離措置が必要なので、韓国で新旧の司令官が同席することが不可能な状態。
そこで太平洋空軍司令部の2か所(CQブラウン司令官執務室と隔離中のプリュス中将がいる部屋)、そしてアメリカ第7空軍司令部のある烏山(オサン)空軍基地とをネットで結び、電子会議システムを活用したバーチャルでの司令官交代式典を開催することになりました。
新しく第7空軍司令官となるプリュス中将は、これが通算3回目の韓国赴任となります。最初はF-16のパイロットとして群山(クンサン)空軍基地に前方配備され、次いで群山(クンサン)空軍基地の第8戦闘航空団司令官も務めました。
式典でCQブラウン太平洋空軍司令官は「プリュス中将は第7空軍司令官として最適な人物です。F-16やF-35での豊富な経験に裏打ちされた素晴らしい指揮官であり、特に刻々と変化する朝鮮半島情勢と、韓国との協力関係を熟知しています」とプリュス中将を紹介し、変化する朝鮮半島情勢で有事の際にも的確にリーダーシップを発揮するだろうと語っています。
また、在韓アメリカ軍司令官のエイブラムス陸軍大将は、退任するウィルスバッハ中将を評し「ウィルスバッハ中将の在任中における功績は、その堅実なリーダーシップなしにはあり得ませんでした。これまでの在韓アメリカ軍、特に米韓の協力関係に対する尽力に感謝します」と語りました。
第7空軍司令官を退任したウィルスバッハ中将は、新任のプリュス中将と入れ代わりに、ハワイの太平洋空軍司令部で航空・サイバースペース部門の指揮官となります。
新しく第7空軍司令官となるプリュス中将は「第7空軍の諸君や在韓アメリカ軍、そして韓国における我々の同盟軍と働けることを楽しみにしています。朝鮮半島情勢に対し、強固な連帯とともに、相手の攻撃を阻止するため毎日24時間、この同盟を砕こうとする敵を粉砕し韓国を防衛する臨戦体制を維持しなければなりません。我々の確固たる取り組みは、両国に深く永続的な友情をもたらし、戦士としての絆を形作ります」と、就任に際しての抱負を式典で述べました。
この様子はネットを通じて第7空軍の将兵のほか、韓国空軍の幹部も見ており、バーチャルな式典ならでは様子も見受けられました。烏山(オサン)空軍基地では、第51戦闘航空団司令官のゴンザレス大佐とヴィジ先任曹長とが夫妻で様子を見守ります。
また、格納庫では整備員が新しい第7空軍司令官に敬礼する姿も。
プリュス中将は、現在の赴任に際して実施されている隔離期間が終了後、任地である韓国に移動します。入れ代わりに韓国を離れるウィルスバッハ中将は、今後ハワイでの隔離期間に入る予定です。
<出典・引用>
アメリカインド太平洋軍 ニュースリリース
Image:USAF
(咲村珠樹)