おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

北朝鮮の核ミサイルが発射された時、君はどう生き延びる?あべりょうの「核攻撃サバイバー」がYouTubeで話題

アメリカ・ニューヨークで開催中の国連総会でも、グテーレス事務総長やアメリカのトランプ大統領、日本の安倍首相などの演説でたびたび触れられている北朝鮮の核兵器問題。2016年から記事執筆時現在(2017年9月22日)までの期間に限っても、北朝鮮が公式に認めた事例だけで核実験を3回(2016年1月・9月・2017年9月)、日本列島を飛び越す形でのミサイル発射を2回(2017年8月・9月)行うなど、脅威度と深刻度を増しています。

  • 特に2017年8月29日と9月15日のミサイル発射では、北海道から関東地方や新潟県・長野県にかけての広い範囲にJアラートによる警報が送出され、朝から不安に襲われた人も多かったでしょう。もし核ミサイルによる攻撃が行われた場合、どうしたらいいのでしょうか。アメリカやイギリスでは、冷戦時代の1950年代~1960年代に、もし核攻撃されたらどうすべきか、市民のとるべき行動を解説する様々な映画やテレビ番組が作られましたが、日本ではそのようなものをほとんど目にすることがありません。

    そんな中、TwitterやfacebookなどのSNSで「政府広報より分かりやすくて、なんか生きられる気がする」「これ普段から学校のHRで流そうぜ!なんか何とかなりそうな気がしてきたわ」というコメントとともに拡散されているYouTube動画があります。2017年5月8日に公開された「核攻撃サバイバー」というこの楽曲、2017年9月24日現在で再生数が1500万回を突破しています。

    歌っているのは、政治や世界情勢などについてリアルな歌詞を特徴とする楽曲を多数発表している正体不明のアーティスト、あべりょう。

    あべりょうアーティスト画像

    この「核攻撃サバイバー」では、ミサイル(テポドン)が東京の新宿中央公園(都庁の前に広がる公園)に着弾するまでの時間を5分と仮定して、どうすればいいかをテンポよく指示していきます。

    1分で生きると覚悟を決めろ
    2分で上着を着て水を持て
    3分で地下鉄に走り出せ
    4分であきらめずに滑り込め

    「母さん姉さん僕に構わずに走ってくれ」「迷わず地下鉄へ」という歌詞のあとに「閃光と衝撃波を地下室で避けて生き延びたサバイバー」として紹介される「野村英三さん」とは、原爆ドーム(爆心地から約200メートル)より近い、爆心地から約170メートルの地点にある燃料会館(旧大正屋呉服店新館。現:平和記念公園レストハウス)の地下室にいたことで、原爆投下時に37人いた出勤者のうち唯一の生存者となった方(被爆当時47歳・1982年死去)です。広島の原爆における生存者のうち、最も近距離で被爆した方でした。映画『この世界の片隅に』にも大正屋呉服店時代の姿が登場しているこのレストハウスですが、地下室だけは被爆当時のまま保存されており、今も見学することができます。

    地下へ、という根拠は野村英三さん生存の事実だけでなく、アメリカ国防総省が1977年にまとめた核兵器の効果に関する報告書の中でも、木造の建物の3〜8倍、壁厚4.5インチ(約12センチ)のコンクリート構造物の1.4~9倍程度、放射線を防ぐ効果が高いということが指摘されており、データに基づいたものです。

    2コーラス目で歌われている「7の法則」とは、残留放射線の累積線量は7時間ごとに10分の1ずつ減衰するというもの。歌詞の通り地下施設に2日間(49時間)退避することで、放射線量は当初の数値から100分の1に減衰し、その後地上に出ても生存率が格段に上がると考えられています。

    キャッチーなメロディと共に、核攻撃を受けた場合においての留意点が過不足なくまとめられており、非常に有効な楽曲と言えるでしょう。実際に核ミサイルで攻撃される、という事態は起こって欲しくないものですが、もしもの時に備えて、この楽曲で事前学習しておくと良いかもしれません。

    (咲村珠樹 / 画像提供・StayHungry)

    あわせて読みたい関連記事
  • 「ファースト」の前日譚 「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」がYouTubeにサイレント追加
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「ファースト」の前日譚 「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」がYouTube…

  • 拡散中の「65歳以上バス無料」は悪質なデマ 東京都などが注意喚起
    インターネット, 社会・物議

    拡散中の「65歳以上バス無料」は悪質なデマ 東京都などが注意喚起

  • YouTube、性的テーマを含む検索結果に「ぼかしサムネイル」導入をテスト中
    インターネット, サービス・テクノロジー

    YouTube、性的テーマを含む検索結果に「ぼかしサムネイル」導入をテスト中

  • バーチャル姿のままフライパンを振る!?あるVTuberが試みた画期的な料理企画
    インターネット, サービス・テクノロジー

    バーチャル姿のままフライパンを振る!?あるVTuberが試みた画期的な料理企画

  • ウルヴァリンが8時間半呼吸するだけ MARVEL公式が謎すぎる動画を公開
    エンタメ, 映画

    ウルヴァリンが8時間半呼吸するだけ MARVEL公式が謎すぎる動画を公開

  • YouTube、オンラインギャンブルの規制を強化 3月19日から新ポリシー適用
    インターネット, 社会・物議

    YouTube、オンラインギャンブルの規制を強化 3月19日から新ポリシー適用

  • 高橋陽一監修「ハジメとケンとセツ」
    企業・サービス, 経済

    相変わらずカオス 高橋陽一監修「ハジメとケンとセツ」がついに異世界へ、一建設WE…

  • 鈴木保奈美さん
    企業・サービス, 経済

    鈴木保奈美が女性特有の悩みの解決方法を学ぶ iHerbの「Dr.Wellness…

  • これが本当のばくだんおにぎり 漫画やゲームでよく見るあの爆弾を再現
    グルメ, 話題・知識

    これが本当のばくだんおにぎり 漫画やゲームでよく見るあの爆弾を再現

  • サントリー烏龍茶の過去オマージュCM第二弾が公開 阿佐ヶ谷姉妹が中国語で「ラムのラブソング」を披露
    企業・サービス, 経済

    サントリー烏龍茶の過去オマージュCM第二弾が公開 阿佐ヶ谷姉妹が中国語で「ラムの…

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え
    エンタメ, 芸能人

    松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超…

  • 「金曜ロードショー」40周年
    エンタメ, 映画

    金曜ロードショー、40周年を記念した豪華2時間SP 国民が選ぶ名場面集

  • 新商品「クリスピーピザポテト チーズチーズチーズ」
    商品・物販, 経済

    ピザポテトが進化!チーズ2倍「クリスピーピザポテト」期間限定で発売

  • 魔改造カップヌードル
    商品・物販, 経済

    日清食品「魔改造カップヌードル」4品を新発売 定番フレーバーを背徳アレンジ

  • 企業と株主対立を“見える化” ストラテジックキャピタル、ガンホー批判サイト公開
    社会, 経済

    企業と株主対立を“見える化” ストラテジックキャピタル、ガンホー批判サイト公開

  • 無料クーポンリレー
    イベント・キャンペーン, 経済

    ファミリーマート、ファミペイ新規登録者向け「無料クーポンリレー」開始へ

  • トピックス

    1. 脂肪と好奇心は人一倍!体重110キロ記者、ゆで太郎「倍盛り鍋かつ丼セット」に挑戦

      脂肪と好奇心は人一倍!体重110キロ記者、ゆで太郎「倍盛り鍋かつ丼セット」に挑戦

      ゆで太郎で期間限定提供されている「倍盛りかつ丼セット」。そばにセットでついてくるかつ丼は、丼ではなく…
    2. お笑いコンビ・アインシュタインの稲田直樹さんの公式X

      アインシュタイン稲田の“潔白”が証明された日 暴露文化とSNS拡散が残したもの

      お笑いコンビ・アインシュタインの稲田直樹さんのInstagramが不正にログインされ、卑猥なやり取り…
    3. 【体験レポ】「落とし物:黒い封筒」を開封してみた 自宅で本当に心霊現象が起きる?一夜のゾク体験

      【体験レポ】「落とし物:黒い封筒」を開封してみた 自宅で本当に心霊現象が起きる?一夜のゾク体験

      ホラーイベント「笑える事故物件 笑えない事故物件」公式グッズの体験型キット「落とし物:黒い封筒」を体…

    編集部おすすめ

    1. 松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え

      松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え

      エイベックスの松浦勝人会長は9月4日、自身のX(旧Twitter)で新たに「松浦顧問制度 シーズン1」を立ち上げたことを報告した。内容は「月…
    2. 「なんかやってる」4羽の文鳥 まるで連続写真?

      「なんかやってる」4羽の文鳥 まるで連続写真?

      「なんかやってる……」Xで飼い主さんにこうつぶやかれたのは、4羽の白文鳥さんたち。添えられた写真には、4羽が棚の上に連なって集まり、まるで連…
    3. 法事でオリジナルTシャツ!?音楽フェスのような斬新な引き出物が話題

      法事で配られた家紋&没年入りTシャツが話題 “フェス感”漂うセンスに爆笑

      法事の引き出物(お返し)といえばお菓子やカタログギフトが王道ではないでしょうか。しかしときには予想だにしない品をもらうこともあるようで……。…
    4. 災害関連死ゼロを目指す「EDAN」発足 フィリップ モリスら民間団体が連携

      災害関連死ゼロを目指す「EDAN」発足 フィリップ モリスら民間団体が連携

      フィリップ モリス ジャパン(PMJ)が、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)と共同で、避難生活に特化した支援ネットワーク…
    5. 「週刊文春」2025年9月4日号(8月28日発売)

      週刊文春、最新号表紙は「白紙」 48年続いた和田誠さんの表紙絵に幕

      総合週刊誌「週刊文春」は、2025年8月28日発売の9月4日号で48年間にわたり表紙を飾り続けたイラストレーター・和田誠さんの絵を終了し、大…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト