イギリス空軍のF-35Bが初度作戦能力を取得。あわせてユーロファイター・タイフーンの近代化改修も終了し、現地時間の2019年1月10日にマーラム空軍基地で記念式典が行われました。

 イギリス空軍はこれまでに9機のF-35Bを取得。第二次大戦でドイツのルール渓谷にあるダムを破壊する「チャスタイズ作戦」を行ったことでも知られる第617飛行隊で運用されています。海軍の空母クイーン・エリザベスでの発着艦訓練も行い、国外派遣任務をこなすことのできる初度作戦能力(IOC)を取得しました。

 第617飛行隊があるマーラム空軍基地の格納庫で開かれた記念式典で、イギリスのウィリアムソン国防大臣は、9機のF-35Bを世界中へ派遣する準備が整ったとして「我々はここにイギリス空軍最初の100年に別れを告げ、次の100年を見据える時が来ました。我が国は新たな道へと足を踏み入れ、我が国とその同盟国の前に立ちはだかる脅威を、この空から一掃する役割を果たすことになります」と語りました。

 また「プロジェクト・センチュリオン」という名称で、3年総額4億2500万ポンドの予算のもとに進められてきた、ユーロファイター・タイフーンの近代化改修も無事終了。この近代化改修でタイフーンは、MBDA製の長距離巡航ミサイル「ストーム・シャドウ」、空対地ミサイル「ブリムストーン」のほか、有効射程が100km以上となる新型の長距離空対空ミサイル「ミーティア」の運用能力も獲得しました。当初予定していた予算と期間で改修が終了したことにより、2019年中に退役が予定されているトーネードが担っていた任務も、タイフーンが受け継ぐことが可能になります。

 式典会場となったマーラム空軍基地の格納庫には、F-35B、ユーロファイター・タイフーン、トーネードという現役作戦機のほか、2018年に開発計画が明らかにされた将来型ステルス戦闘機「テンペスト」の実物大模型も展示されました。


 「優れた能力を持つF-35が作戦に投入可能となり、近代化改修が完了したタイフーンと合わせ、我が国は2040年代にかけての航空戦力を手にし、さらに将来を展望することができます。空軍はこれまで示してきた優れた能力をさらに進化させ、我が国を新たな高みへと押し上げてくれることでしょう」とウィリアムソン国防大臣は語っています。

 イギリスの防衛産業はおよそ1万8000人の雇用を生み出し、年間60億ポンド(約8420億円)規模。そしてその製品の8割は、海外へと輸出されています。

Image:Crown Copyright 2019

(咲村珠樹)