アイスランドのレイキャビクに本拠を置く格安航空会社「WOW air(WOWエア)」が2019年3月28日(現地時間)、突然事業停止を発表しました。この発表とともにすべての便がキャンセルとなり、搭乗を予定していた乗客は各地の空港で事態が把握できず、混乱しています。
アイスランドで通信関係の事業などで成功したスクリ・モゲンセン氏によって、2011年11月に設立されたWOW air。翌2012年、レイキャビク~パリ線を皮切りに運航を始め、現在はヨーロッパ各地と、大西洋を挟んだアメリカ、カナダ各地、そしてイスラエルのテルアビブを結ぶ路線を開設していました。
2019年3月28日、WOW air公式サイトで発表された「WOW airの業務終了について」と題されたステートメントによると、冒頭に「WOW airは業務を停止しました。すべてのWOW air便はキャンセルとなりました」という、WOW air便を利用して旅行中の人にとっては、突然の最後通告。
「予定していた目的地へ向かいたいお客様は、他社便があるかチェックすることをお勧めします。いくつかの航空会社では『救済運賃』という特別料金で、お客様を予定していた目的地までの便を用意する可能性があります」という、とにかく自力で何とかしてくれという形になっています。
もちろん、WOW airが就航していた場所では、WOW airを利用する予定だった搭乗客がパニック状態に。この事態を救済すべく、同じアイスランドのアイスランド航空は、2019年3月28日~2019年4月11日の期間に出発するWOW airの航空券を持っている旅客を対象に、60ドル~160ドルを下限とする差額で予定していた目的地へ行けるよう、特別措置を発表しています。
同じく、イギリスのEasyjetでは、WOW airと同じ路線について、同じく救済運賃によるWOW air利用予定客の運送を受託すると発表しています。こちらは2019年4月14日までの予約が対象で、4月7日までにロンドンのガトウィック空港かルートン空港、またはアイスランドのレイキャビク空港で、当該の航空券を持参して手続することが必要です。
ノルウェー航空では、WOW airと重複する6路線(ロンドン・ガトウィック~ボストン、ロンドン・ガトウィック~ニューヨーク・JFK、パリ・シャルルドゴール~ボストン、パリ・シャルルドゴール~ニューヨーク・JFK、アムステルダム・スキポール~ニューヨーク・JFK、コペンハーゲン~ニューヨーク・JFK)において、通常のエコノミー料金の25%割引の救済運賃でWOW airの利用予定客を運送すると発表しています。
ハンガリーのWizz Airは、WOW airと同じレイキャビク、ロンドン・ルートン、ワルシャワを結ぶ路線で、5月10日までのWOW air便利用予定客に対し、特別救済料金を適用すると発表しています。こちらは4月7日までに手続きが必要です。
フランスのXLエアウェイズは、ニューヨーク~パリ線でWOW air利用予定客に対して救済措置を行います。4月6日から4月10日までの対象便については130ドル(100ユーロ)の料金で利用可能。そして2019年5月1日から6月28日までは、通常料金から30%引きの特別料金が適用されるとのことです。
また、WOW airを利用するツアー客に対しては、ツアー約款により、トラブルがあった際に出発地に送還する特約が適用されるとのこと。ただし、予約時の搭乗クラスが適用されるかはケースバイケースとなります。
今後もWOW airの利用予定客に対する救済措置が各社から発表されると考えられます。事態を重く見たアイスランド運輸局では、WOW airの利用予定客に対して情報提供を行っているので、参照することをお勧めします。
参考:WOW air「End of Operation of WOW AIR」/アイスランド運輸局「WOW air乗客へのお知らせ」
Image:WOW air
(咲村珠樹)