イギリスで2019年7月19日〜21日(現地時間)に開催された世界最大級のミリタリー・エアショウで、ブリティッシュ・エアウェイズ100周年を祝い、イギリス空軍レッドアローズとBOAC復刻塗装のB747-400が合同フライパスを行いました。
毎年夏、イギリス空軍フェアフォード基地で開催される「ロイヤル・インターナショナル・エアタトゥー(RIAT)」は、世界各国から参加機が集まる世界最大級のミリタリー・エアショウとして知られています。
2019年はイギリスを代表する航空会社、ブリティッシュ・エアウェイズの創設100周年。これを記念して、過去の歴史的塗装を再現した「レトロジェット」と、イギリス空軍を代表するエアロバティックチーム「レッドアローズ」が共演する「ベスト・オブ・ブリティッシュ」をテーマとしたフライパス(航過飛行)が7月20日に実現しました。
フライパスに使用されたのは、2019年2月に登場したレトロジェットの第1弾、BOAC(英国海外航空)時代の塗装を再現したB747-400。リチャード・アレン・ウィリアムス機長が操縦しました。
さらにB747-400には客室乗務員も搭乗。中でもジュリア・ロウズさんは、兄のダン・ロウズ大尉がレッドアローズの9番機パイロットを務めており、兄妹揃ってのフライパスが実現しました。
ジュリアさんは「私は4か月前にブリティッシュ・エアウェイズに入社したばかりで、兄のダンは今年がレッドアローズ最後のシーズンなんです。これ以上完璧なタイミングはありません。兄と私は、どちらも幼い頃の夢を実現させてこの職業につきました。でも、まさか空で共演することになるなんて、思ってもみませんでした」と、巡り合わせの妙についてコメントしています。
ロウズ家は航空一家で、お父さんは航空会社のB747機長、そしてダン大尉とジュリアさんの弟は副操縦士を務めているんだとか。「BOAC塗装の機内から、兄の操縦する9番機を眺めるなんて素敵です」とジュリアさんはフライパスを心から楽しんだようです。
リチャード・アレン・ウィリアムス機長は「今日、エアタトゥーに来場した皆さんに私たちのBOAC塗装のB747をお見せすることで、かつての懐かしく、素敵な光景を思い出していただけたのではないかと思います。光栄にもフェアフォード空軍基地で、レッドアローズと一緒に飛ぶことができ、私たちブリティッシュ・エアウェイズの100周年が、より素晴らしいものになったと実感しています」と、今回のフライパスを振り返っていました。
レッドアロースの編隊長(1番機パイロット)を務めるマーティン・パート少佐は「ブリティッシュ・エアウェイズのB747と翼を並べて飛ぶことは、我々のパイロットたちだけでなくチーム全体、そして地上で見る人々にとって、忘れられない瞬間となったと思います。昨年、私たちイギリス空軍は創設100年を迎え、次世代を担う子供たちに素敵な瞬間を届ける数々の活動を行いました。今回のフライパスも同じように、子供たちにとって忘れられないような光景となったのではないでしょうか。まさに最高の英国精神(ベスト・オブ・ブリティッシュ)だったと思います」と語っています。
ブリティッシュ・エアウェイズがRIATの飛行展示でレッドアローズと共演するのは、これが初めてではありません。古くは1985年にコンコルド、そして2000年代にはB747やB777が共演し、2013年にもA380が共演を果たしています。軍と民間双方でイギリスを代表する航空機が共演することは、軍と民間航空の良好な関係を物語っているものといえるでしょう。
<出典・引用>
ブリティッシュ・エアウェイズ プレスリリース
Image:British Airways/RAF Crown Copyright 2019
(咲村珠樹)