手のひらにちょこんと乗って、おすまし顔のかわいい猫ちゃん。一見するとぬいぐるみのように見えますが、よ~く見てみると実はこの作品、石に絵を描いたものなんです。
筆による繊細なタッチで描かれた毛並みは、石であるはずなのにとても柔らかそうにみえます。今にも吸い込まれてしまいそうな、まんまるで澄んだ瞳も印象的です。
作者はストーンアーティストとして活動するAkie Nakataさん(以下、Akieさん)。
これまでにも多くのストーンアートを手掛けており、自身初となる作品集「世界にたったひとつの生き物ストーンアート―僕たちは石から生まれた―」が、10月17日に小学館より刊行予定です。
Akieさんの創作は石が生き物として目に映る感覚から始まり、石それぞれに宿っている生命を息吹かせるかのごとく、絵筆を用いて表現してきました。
つまり「これを描きたいから石を探す」でなく「出会った石が何を描くか決めている」ということ。今作も、やわらかな石のたたずまいから、そっと座るネコのイメージを感じ取り、一つの作品に仕上げました。
まるで今にも動き出しそうな、写実的でかわいらしい作品となっていますが、制作時は「描き込みすぎないように気を付けている」というこだわりが。生き物であることと石であること、その両方を大切にしているからだそうです。
また、瞳に筆を入れる際、キラッと光ってAkieさんのほうを見返してくれたように感じる時が、一番うれしいそうです。まさに、石に込められた命が動き出す瞬間と言えるのかもしれません。
「一石一石が世界にたったひとつだけなので、筆を入れるのはいつも緊張します。なので、完成した時は本当にほっとします」
作品を作り終えた感想をこのように語ったAkieさん。石に絵を描くことは命を扱うこと。と考えれば、どれだけの数を描いたとしても、毎回緊張するのもわかる気がします。そして、完成した際の感動もまた、ひとしおなことでしょう。
これは、
素敵な石から生まれた、
素敵なネコ。 pic.twitter.com/LeSwbf5XQq— Stone Artist Akie (Akie Nakata) (@akie2525) September 12, 2022
<記事化協力>
Akie Nakataさん(@akie2525)
(山口弘剛)