12月30日・31日に開催予定のコミックマーケット101。前回に引き続き感染症対策のため、一般参加者は事前にチケットの購入が必要です。ところが発券場所がファミリーマートに限定されているため、店舗がない北海道の道北・道東地方は最悪数百kmの長距離移動が必要。現地在住の参加者から悲痛な叫びがTwitterに投稿されました。

 自宅近くにファミリーマートがない!とツイートしたのは、コミックマーケット101(冬コミ)に一般参加予定の「ぎっく」さん。北海道の道北地方南部にある、留萌市に住んでいます。

 今回のコミックマーケット101では、前回2022年8月に開催されたコミックマーケット100(夏コミ)同様、新型コロナウイルス感染症対策として、入場者数をコントロールするため事前チケット制を採用。「アーリー」「午前」「午後」と3つの受付時間帯に分け、入場者の上限を設定しています。

 チケットの販売は「チケットペイ」にて行われています。これはオンラインで会員登録し、購入申し込みをしたのち、ファミリーマート店内備え付けのマルチコピー機にて申込券を発券し、レジにて精算してチケットを受領する仕組み。

発見された入場チケット(ぎっくさん提供)

 ここで問題となるのが、チケット発券が「マルチコピー機備え付けのファミリーマートのみ」になっていること。国外の参加者向けには「イープラス」を通じてチケットが郵送できますが、日本国内在住者は利用できません。近くにファミリーマートがない地域に住む人にとっては、発券がとても困難になっているのです。

 コミックマーケット準備会では、近くにファミリーマートがない場合は、代理人による発券が可能であることを伝えています。しかし、当然のことながら代理人が発券することによって生じるトラブルは個人の問題であるため、準備会では対処することができません。

 例を挙げると、北海道の道北地方にはファミリーマートが存在せず、最寄りは道央地方北部の滝川市にある滝川黄金町店。ぎっくさんの住む留萌市からは約58km、道北地方最北の稚内市からは約250km離れています。

 チケットを発券しに行った際の様子を、ぎっくさんは次のように語ってくれました。

「当日の経路は雪で場所によっては吹雪。留萌市~沼田町の高規格道路深川留萌線、沼田町~新十津川町の国道275号でホワイトアウトする箇所がありました。滝川市からの帰路は国道12号で深川市を経由し留萌市への戻りでしたが、国道12号でもホワイトアウトがあり天候は悪かったです」

猛烈な雪で先行する車が見えない(ぎっくさん提供)

 「当日は暴風雪警報は出ておらず、注意報どまりだったと思う」とも話してくれたぎっくさんですが、往復約120kmであっても過酷な道のりだったのではないでしょうか。留萌市では、冬コミの午前入場・コスプレ入場チケットが発券開始となる12月中旬から風雪が強まり、それが2月下旬まで続くといいます。

 このツイートは大きな反響を呼び、同じ北海道の釧路市に住む方から道東にもファミリーマートがない、とのリプライが寄せられました。釧路から最寄りのファミリーマートは、約300km離れた道央地方の千歳市とのこと。さらに離れた根室市や網走市は、もっと大変な道のりでしょう。

 ぎっくさんは「ファミマが近くに無いことが問題だとはあまり考えていませんでした。田舎だし不便なのはある程度仕方ないと思ってます」と話し、これまで参加してきたコスプレ系イベントの経験から、むしろ問題はチケット発券の仕組みにあるのではないか、との見方を示しました。

 それによると、チケットペイが扱うイベントでも、開催当日まで発券が可能なものがあるのだそう。これが可能であれば、自宅近くに店舗がなくても、会場までの旅程でファミリーマートに立ち寄り、発券することができます。

 また、チケットは入場時間帯ごとに「抽選販売」と、キャンセルなど余剰分の「先着販売」の2段階(午後入場チケットは先着販売のみ)で販売されていますが、抽選販売で当選した場合、クレジットカードでの決済ができなくなっている、とぎっくさんは訴えています。

 「入金・発券ではなく、先着販売までの抽選販売の入金だけで、先着販売に回す売れ残りを確定できるはずです。この時点で発券は必要ないはずです」

 もちろん、さまざまな事情から現金で支払いたい参加者もいるでしょうが、選択肢を増やすことで「事前に決済済みの分は発券したとみなす」とし、柔軟に対応することができるかもしれません。重要なのは先着販売に回る枚数の確定なので、発券する意思表示を入金という形で示す方法は一聴に値すると思います。

 前日までとしている発券期日についても、当日、会場である東京ビッグサイトの最寄り店舗(2店舗)で紙チケット発券が殺到することを恐れてのことではないか、と推察しながらも、当日発券を認めてほしいとぎっくさんは語ってくれました。

 前回の夏コミ、そして今回の冬コミに関しては、新型コロナウイルス禍という特殊な環境での開催なので、このチケット制についても手探りで進めたものと思われます。しかも夏から冬にかけては準備期間が短く、準備会でもチケット発券についてのシステム見直しまで手が回らなかったかもしれません。

 次回のコミックマーケット102では、感染症の心配なく、入場者数を制限しない形で開催されることを期待したいですが、もしもの時を考え、チケット販売・発券のシステムを再考する必要があるかもしれません。できるだけ多くの人に、参加する機会が与えられるといいですね。

<記事化協力>
ぎっくさん(@gick_1300)

(咲村珠樹)