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アーケード筐体から伸びる銀の輪っか?時代を感じるアイテムに当時を懐かしむ声

 「アーケード筐体に付いている赤丸部分が何か分かりますか!?」ツイッターでこう呼びかけたのは、「NEOシオン」さん。添付された写真を見ると、そこには主に格闘ゲームのプレイに用いられる、レバー+6ボタンの筐体「CANDY25」が写っています。

 肝心の赤丸部分を見てみると……筐体のコントロールパネル下部分から、ニョキっと伸びた細長い銀のワイヤーが。一見するとドリンクホルダーのようにも見えるコレの正体。あなたには分かりますか?

  •  ピンときたあなたはきっとアラフォー世代以上でしょう。そう、これはゲームをプレイしながらタバコを吸う方向けの灰皿置きとして、台に標準搭載されているもの。屋外でも分煙化が当たり前になっている今となっては、ゲームをしながらタバコを吸うなんて信じられないという方もいるかもしれませんね。

     80年代から90年代前半、ゲームセンターではこうした光景が良く見られました。特に対戦格闘ゲームにおいては、プレイ中ついイライラが募ってしまい、火が付いたままのタバコが筐体に押し当てられたり、蹴り飛ばされて灰や吸い殻が床に散乱したり……なんて光景は当たり前。そんな荒い時代の名残を感じさせるのが、この銀の輪っかなのです。

    正解は灰皿置き

    ■ 「100円玉をストックしておく場所」「カップラーメン置き場」 投稿には珍解答が続々

     NEOシオンさんはアーケードゲームの基板や筐体収集を趣味としており、CANDY25は先日購入したばかり。当時遊びに来ていた高校生の甥っ子に「これ、なんだと思う?」と灰皿置きについて尋ねると、「ドリンクホルダー」という回答が返ってきたことから、ツイッターで聞いたらまた違う反応があるかもしれないと、写真付きで質問してみたのだそう。

     そんな思惑通り(?)、本音かどうかは分かりませんが、「連コするための100円玉をストックしておく場所」「カップラーメン置き場」といった珍解答が相次ぎ、コメント欄はちょっとした大喜利会場のように。輪っかの使い道に多くの方が頭を悩ませています。

     と、同時に、当時を知る方からは、「対戦で勝つと台の向こうから灰皿が飛んできた」「足にあたってとにかく邪魔だった」などの思い出も。そうそう、昔のゲーセンはとにかく治安が悪かった……。これにはNEOシオンさんも「まるで当時の仲間達と昔話をしているような、懐かしい気持ちになりました」と、感慨深げな様子でした。

    「足にあたって邪魔だった」なんて声も

    ■ 法令整備により今となっては見ることが出来なくなった灰皿置き

     90年代後半に入ると、プリクラや音ゲーが登場。この頃からゲームセンターは、ちょっとワルかった中高生たちの溜まり場から、クリーンなイメージに様変わりし、店内でも分煙化が進められていくようになりました。この銀の輪っかもなりを潜め、灰皿は必要な人だけが使うように、コンパネの上に直置きされるようになっていきます。

     そして、2020年4月には、法令によりゲームセンター内は全面禁煙に。対戦格闘ゲーム自体はもちろんまだ存在しますが、灰皿の姿を見かける機会は、今ではもう完全になくなってしまいました。社会にとって良いこと、当然のことなのかもしれませんが、同時に少しの寂しさを感じてしまいます。

     当時を知る人にとっては懐かしく、知らない方にとっては新鮮に映るアーケード筐体の灰皿置き。現物を見かけることはなくとも、NEOシオンさんのような有志達の手によって個人宅で保管されながら、かつての時代を象徴する文化財として後世に伝えられていくことでしょう。

    <記事化協力>
    NEOシオンさん(@neo_sion

    (山口弘剛)

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  • 山口 弘剛‌Writer

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    鹿児島出身・鹿児島在住。私生活では妻と共に2人の子どもを子育てしながら、地元のサッカークラブを熱烈応援中。仕事は元アパレル店長、元ゲームショップ店長を経験。現在はライター、イラストレーターとして活動。

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