海の生物の繁殖に関する研究を行っている「でんか」さんが、自身のSNSで興奮気味にある出来事を報告。それはアオリイカの赤ちゃんが、「陸上でのハッチアウト(生まれる瞬間)」に立ち会えたことでした。

 この奇跡的な動画は430万回以上も再生され、7万5000件を超えるいいねを集めて注目されています。動画を見た人たちからも「すごい!」と驚きの声が多数。

 動画には、指でつままれた卵嚢と呼ばれる薄い膜に包まれたイカの卵の中から、ピュッ!と勢いよく飛び出してくるイカの赤ちゃんの姿が映っています。こんな風に産まれてくるなんて……。記者も初めて見ることができて感動しました。

卵の中から、ピュッ!と勢いよく飛び出してくるイカの赤ちゃん

■ 「まさか……」と信じられない様子で投稿

 「イカの街」としても知られている北海道函館市出身のでんかさん。大学では軟体動物の研究室に在籍し、時々イカ釣りに行ったり、イカの採集や撮影などをしたりしていたそうです。

 それでもイカの赤ちゃんが、陸上でハッチアウト(生まれる瞬間)する場面を見たのは今回が初めて。

 しかも、「落ち着いてよく見るとヒレの先端からぬるっとでてきていて貴重な瞬間を捉えられたと思います」と、後からみなおしさらに貴重な場面であったことを認識したそうです。

 この動画を投稿した翌日には、イカの赤ちゃんの写真も投稿されています。赤ちゃんでもしっかりとイカの形をしており、なんだか神秘的。他にも、小さい水槽の中で元気いっぱいに泳いでいるイカの赤ちゃんの動画も投稿されています。

翌日にはイカの赤ちゃんの写真も投稿

 アオリイカの寿命は、わずか1年~1年半ほど。そしてよく発達した目も持っているそうです。

 今回生まれた赤ちゃんたちも順調にいけば「泳ぐのが上手なイカは積極的にエビや魚を捕食する大食らいのハンターで、これからみるみる大きくなっていきます」とのことでした。

■ オスは精子が入ったカプセルをメスに渡して「交接」

 ちなみに、でんかさんにイカがどうやって繁殖するのかも教えてもらいました。まず、イカが繁殖する方法は「交尾」ではなく「交接」と呼ばれているそうです。

 先端に吸盤がない専用の「交接腕」と呼ばれる腕があり、それで「精莢」と呼ばれる精子が入ったカプセルのようなものをメスに渡すのだとか。

 メスは交接後に柔らかい卵を守るためか、カイメンという生物に卵嚢をうみつける種もいるとのことです。

<記事化協力>
でんかさん(@K_theHermit

(佐藤圭亮)