「著名人の名を騙った投資アドバイス詐欺」。今年7月頃から急激に増えており、名前を利用された著名人らは自身のSNSで注意喚起を行うなど、対応に追われています。
つい先日、おたくま経済新聞では、「ホリエモン」こと実業家の堀江貴文氏を騙るアカウントと接触(以下、偽ホリエモン)。偽ホリエモンとのやり取りや、偽ホリエモンが主催する投資グループチャットにも潜入し、その内容をまるっと記事にして公開しました。
が、その時やり取りに使ったアカウントはそのままにしてありました。せっかくなので退会前に「偽ホリエモン」に記事を見せて、「ニセモノですよね」とつっこんでみようと思います。
加えて加入させられたグループ内でも注意喚起を目的に同じ投稿を実施。グループメンバーは約200人。おそらく偽ホリエモンと知らずに信じている人もいるはずです。
■ 「著名人の名を騙った投資アドバイス詐欺」とは
「著名人の名を騙った投資アドバイス詐欺」の入り口は、著名人の名や写真を利用した詐欺広告。クリックすると著名人を騙るアカウントとの「LINE友達追加」を促され、その後は投資の講義を受けさせられ、投資ビジネスをさせられるといった流れ。
被害の声は今年7月頃から急激に増えており、利用された著名人は堀江氏だけではありません。
たとえば、ZOZOTOWN元社長の前澤友作氏。前澤氏は自身のSNSでこの被害について伝えるとともに、詐欺広告が多く確認されているFacebookについても対応。運営会社のMetaに対して、広告の掲載責任などを追及する姿勢を見せています。そのほかにも株主優待生活をおくる「桐谷さん」なども自身のSNSで被害を訴えています。
では、こうして誘導されたLINEの偽著名人アカウント(詐欺アカウント)に対して、「ニセモノですよね」と聞いたらどうなるのか。「本物だ」「詐欺ではない」などと逆ギレするのだろうか、それとも逃げ出すのか。できればこの投げかけをきっかけに、偽ホリエモンからも話を聞いてみたい。そんな狙いもあってやってみました。
▼前回の記事「話題の「偽ホリエモン投資広告」に釣られると何が起きる!?衝撃の展開に」
https://otakuma.net/archives/2023091906.html
■ 偽ホリエモンに、記事を見せてみた
問題の「偽ホリエモン」アカウント。前回の記事公開後も、相変わらず投資ビジネスについて毎日連絡してきます。
そして、ポエムのような投稿もしてくる「偽ホリエモン」。
「日本でトップの一社であることは、規模はまだ小さい?けどこれからはデッカくなる。○○(買ってほしい株の銘柄)は基礎固めの段階だとわしゃみている。今に花開くよ、大輪の花。」
(偽ホリエモンLINEアカウントより引用)
「わしゃ」とかお前は誰だよ(苦笑)本物の堀江氏は絶対にそんなことは言いません。
それ以前に、特定の株を買わせるという行為は、「買あおり」。トラブルになるので絶対に指摘しなければなりません。
ということでさっそく、前回の記事を投稿し、「ニセモノではないか?」と質問。
しかし、「既読」はつかず、スルーされてしまった模様。
この辺は想定内だったので、次に偽ホリエモンに誘われて入ったオープンチャット(グループチャット)の方にも同様の投稿をしておきます。
チャットには約200名ものメンバーが在籍。おそらくそのうちの何割かはサクラでしょうが、グループにいる期間中でメンバーが続々増えていたので、本当に信じてしまった人もかなりいると思われます。
つまり、一刻も早くこの問題を周知させなければなりません。ということで、前回の記事を投稿し「偽者の可能性がある」と通告。
すると……
「オープンチャット」を退会させられました。
まあそうなりますよね。ちなみに、「オープンチャット」を退会させられても、それまでの履歴は見ることができます。
その後「偽ホリエモン」のアカウントは慌てたのか、一対一のやり取りの方に「既読」がつき、その後「銘柄紹介」や「おかしなポエム」は投稿しなくなりました。多分ブロックされたのだと思います。
■ LINE側も対策
さてその後、再度問題のオープンチャットを見てみると、何やら見慣れぬメッセージが表示されておりました。
LINEの事務局からのメッセージで「著名人や投資家を装った投資アドバイス詐欺にご注意ください」というもの。
どうやら、LINE側でもLINEが詐欺に使われていることを把握している模様。筆者は度々怪しいアルバイトの勧誘や、セクシーなお姉さんの誘惑などにも釣られてみて記事にしていますが、はじめに100%といっていいほどLINEに誘導されます。
今後はメッセージでの警告含めてLINEも積極的に対応していくのでしょう。こうした取り組みを機に、少しでも被害者が減ればと願っています。
■ 第2の偽ホリエモンにも同じことをしてみた
そして実は今回、上記とは別の「偽ホリエモン」(以下、第2の偽ホリエモン)ともやり取りをしていました。入り口は前回と同じように堀江貴文氏の写真を使用した、Facebookの広告です。
というか、明らか詐欺の手口なのに、Facebookもなぜ広告を受け入れるのか。詐欺師も出稿できるスキームはいいかげん変えた方がいい。
さて、Facebook広告をクリックすると、いつも通り「LINE」の友達申請を求められます。
「第2の偽ホリエモン」の場合は、「ホリエモンになりすましたアカウント」ではなく、「秘書」という設定。余談ですが、とにかく美人です。
とりあえず堀江氏とはどういう関係か?と質問したところ、今回紹介する投資家(秘書曰く「先生」)と堀江氏が知り合いとのこと。なんだそりゃ!
結果、堀江氏からの直接のレクチャーはない模様。
一通り話も聞いたので、この方にも「嘘」をやめること、そしてこのような問題がネットニュースになっていることを連絡しました。
もちろんこれに対する反応はなく「既読スルー」。
実際に「堀江氏」とのつながりがあるのであれば、その証拠を見せて反論すればいいだけです。それもないとなると、やはりこのような手口は「詐欺」としか言いようがありません。
これら一連の流れ後、Facebookでは「偽ホリエモン」の広告が出てこなくなりました。もしかすると最後に凸したことで、詐欺師の中でも何かしらの話し合いがもたれたのかもしれません。とはいえ、この手の「詐欺」は手を変え品を変えあらゆる手法で我々を欺いてきます。
今後も、彼らに「大輪の花」が咲かぬよう、我々も注視していきたいと思います。
※記事中掲載している画像のモザイク処理は、編集部にて行いました。
【編集部より注意】
記事化を目的に潜入取材を行いましたが、絶対に真似はしないでください。編集部では、専用機材を用意し、セキュリティ面、やりとりをする担当者のメンタル面にも十分な注意を払い取り組んでいます。安易に真似をすると大変危険です。
(たまちゃん)