おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

話題の「偽ホリエモン投資広告」に釣られると何が起きる!?衝撃の展開に

 「ワンクリック詐欺」「ママ活詐欺」「フェイクアラート」……スマホとSNSの登場により、詐欺の種類も多様化。あらゆる手段で我々を騙そうとしてきます。

 今回紹介するのは、最近爆増している「有名人を利用」した詐欺の手口です。

  •  流れとしては有名人の広告がでてきて、あたかも本人がオススメしているかのようにみせかけ、実は全く関係ない商材へと誘導していくというものです。

     この手段で釣られると何が起きるのか、さっそくやってみました。

    【注意】
    本稿では有名人の写真や名前を無断で使用した詐欺の手口を紹介しています。今回は「堀江貴文氏」の名前と写真などが登場しますが、ご本人は全くの無関係です。

    ■ 「偽ホリエモン投資広告」とは

     さて巷で話題となっているのが、「ホリエモン」こと実業家の堀江貴文氏の名前や写真を無断で使用した、「偽ホリエモン投資広告」です。

     Facebookなどのタイムラインに、ホリエモンの写真を使用した「投資広告」が登場。それっぽく作られているため、つい信じてタップしてしまう人が多いようです。

     この件については、堀江氏本人にも情報が多数寄せられていると言い、7月頃からSNSやYouTubeに、否定のコメントおよび、注意喚起が度々投稿されています。

     それでもあまりに数が多すぎるのか、この頃では若干ぼやき気味。それぐらい数が多くよせられているようです。

    「詐欺会社の広告に使われてますよ、とか一々メンションしてきたり、DM送ってくるやつウザい。そんなん知っとるわ。だからってどーにもならんやろ」

    「だからって俺は関係ないだろ笑。騙される奴が間抜けなだけ」
    (引用:堀江貴文氏Xアカウント(Takafumi Horie) @takapon_jp)

     騙される奴が間抜けなだけ!なるほど。では今回はとことん騙されて、何が起きるか確認してみましょう。

    ■ 「偽ホリエモン投資広告」を押してみた

     まず「偽ホリエモン投資広告」を探します。

     探すと言うか、Facebookを見ているとすぐに出てくるので、あっという間に目的の広告に辿り着きます。今回も探索わずか5分ほどで発見。はや!

    ホリエモンの怪しげな広告

     では、発見した「偽広告」を押すとどうなるのでしょうか。

     過去に、「某有名人」を無断で使用した詐欺広告にも釣られたことがあるのですが、その際は、いったんランディングページに飛ばされ、そこからさらにLINEへと誘導するものでした。

     しかし「偽ホリエモン広告」は、そんなモノとはレベルが違った。

     そんな手間は一切カット!広告から直で、LINEに誘導。すぐ友達追加を仕向けるようになっています。なんという潔さ、ある意味「ホリエモン」っぽいと言えばそうなのかもしれない。

    ホリエモンの怪しげな広告をタップするといきなりLINE追加

    ■ 「偽ホリエモン」をLINE友達追加するとどうなるか

     「偽ホリエモン」をLINE友達追加してみました。

     すると、やけに丁寧な口調で株式の投資に関して色々聞いてきます。本物はもうすこしぶっきらぼうだぞ!(失礼)

    ホリエモンの怪しげな広告をタップするといきなりLINE追加され話し始める

     本人との違和感はありすぎますが、とりあえず続けてみます。

     すると立て続けに「オープンチャット」への誘いが来たので、「やっぱりか」と思いつつ、承諾。さらに、他のLINEも追加して欲しいということでこれも承諾しました。

     「オープンチャット」は言われたとおりログインのパスワードを入力し、承認を待ちます。

    ホリエモンのLINEオープンチャットへログインするための承認

     おそらくその「オープンチャット」でビジネス的な話をして、投資をさせるという狙いに違いありません。

    ホリエモンのLINEオープンチャット

     承認され、しばらくすると、「オープンチャット」で株式の投資に関する情報が流れてきます。

    ホリエモンオープンチャットでのやり取り

     内容は今買うべき「株」についてのアナウンスだと思われます。また、「偽ホリエモン」以外も、結構真面目に株トレードに取り組んでいる人たちが参加しているらしく、発言も積極的。おやおやこれは。

     ちなみにオープンチャットにいる人数は170人程度(記者潜入中に最大190人まで増えました)。絶大なネームバリューを誇る「ホリエモン」を騙っているにもかかわらず、集まったのはこれだけ……。株式投資以前に、この集客モデルがいかがなものかと突っ込まれそうですね。

    ホリエモンオープンチャットでのやり取り、株価などの情報

     さて、この後はおそらく「投資ビジネス」に関するセミナーや、商材への誘導だと予測されます。もちろんその流れは、毎度のごとくこの手の勧誘パターンです。

     しかし気になるのは、この「偽ホリエモン」。本人はなりきっているようで、なりきれていません。本物かどうか問い詰めたらどうなるのか?

     気になったので空気を読まず、「偽ホリエモン」に直撃!すると衝撃の展開が待っていました。

    ■ 「偽ホリエモン」に本人か?直撃してみた

     「偽ホリエモン」に「本物ですか?」と問い詰めたらどうなるのか?聞いてみると、意外な返事が……。

     「ビデオ通話をしましょう」とのこと。

     えええええええええええええ!?と焦っていると、なんと「堀江貴文」から「LINEビデオ通話」の着信が!

    ホリエモンに本人か確認してみたら電話がかかってくる

     流石にこの切り込みには、百戦錬磨の私ですら、かなりテンパりました。

     おいおい、ウソだろ!?いや待て……本人がこんな末端の作業をするのか?と思いつつ、恐る恐るでてみると……。

     御本人登場!え?これどうなってるの?

     LINEビデオ通話の画面に映っていたのは、コーヒーを飲みながらリラックスする「ホリエモン」。

    ホリエモンがLINE電話に登場

     ただし、こちらの声は聞こえていない模様。全くかみ合いません。すぐに切れてしまいました。

    ホリエモンに本人か確認してみた

     するとすぐさまメッセージで連絡が。

     「室内にいて、インターネットも不安定なのですが、私を見えましたか?文字でのやりとりをさせてください」

     おやおや?一方的な理由で、チャットのみにしてほしいとの依頼。一瞬しか映せないワケでもあるのかな?おやおや?

     おそらく記者のLINEに映った相手は、「ホリエモンの映像」。当時の画像を調べると、画面の粗さが目立ち、何かの映像をアップして切り出し使用した可能性が高いと考えました。だからこそ一瞬しか映せなかったわけです。

     ただ、人によっては「本物だ!」と信じる可能性が高いと考えます。突然かかってきたLINE通話の向こうに、ホリエモンがいるわけですから。記者ですら驚いたほどです。

    ■ この日、本物のホリエモンは気仙沼を走ってた

     ちなみに、本物のホリエモンはこの日(9月17日)、ご自身のXに「これから!気仙沼フォンド210kmチャレンジ!」と投稿しています。

     210kmの過酷な自転車レースに出ている最中であり、悠長にコーヒー飲みながら私と「LINEビデオ通話」をしている余裕など無いはず。しかも同日16:46にはXにて、レースの完走報告までしているので、その間に通話というのは、無理があります。

     もし通話の主がそれでも事実と言うのなら、ホリエモンは室内セットの背景を背負って、コーヒーのみながら自転車こいで話していたことになります。それは無茶苦茶。

     つまりこの「LINEビデオ通話」含め、本LINEの偽ホリエモンがやっていることは全て「茶番」。

     結果的に「ホリエモン」と会えることもなく、そして「ホリエモン」が薦める投資ビジネスでもありません。そもそも、本人が否定しているので、それ以前の話ですが、皆様は絶対にこの手の広告をクリックしないようにしてください。

     また、この手の広告を見て「ホリエモンがやっている投資を始めようか」と言い出す方がいたら、真っ先に止めて上げてください。それ、偽物ですよと。

    【編集部より注意】
    記事化を目的に潜入取材を行いましたが、絶対に真似はしないでください。編集部では、専用機材を用意し、セキュリティ面、やりとりをする担当者のメンタル面にも十分な注意を払い取り組んでいます。安易に真似をすると大変危険です。

    <参考>
    堀江貴文氏のXアカウント(@takapon_jp

    (たまちゃん)

    あわせて読みたい関連記事
  • Xで「ブロック確認サイト」装うフィッシング投稿拡散 Twilog公式が注意喚起
    インターネット, 社会・物議

    Xで「ブロック確認サイト」装うフィッシング投稿拡散 Twilog公式が注意喚起

  • Skebがクリエイターへのチャージバック詐欺に警鐘 海外ユーザーからの前払い申し出に注意を
    インターネット, 社会・物議

    Skebがクリエイターへのチャージバック詐欺に警鐘 海外ユーザーからの前払い申し…

  • 警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠
    インターネット, サービス・テクノロジー

    警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

  • 怪しい電話を意図せず撃退してしまう?黒電話ユーザーの詐欺対応が話題
    インターネット, おもしろ

    怪しい電話を意図せず撃退してしまう?黒電話ユーザーの詐欺対応が話題

  • 「ふくぎょうのおしごと!」既視感満載の怪しい広告が勧めてくる“副業”とは?
    インターネット, 社会・物議

    「ふくぎょうのおしごと!」既視感満載の怪しい広告が勧めてくる“副業”とは?

  • 偽ファッション広告
    インターネット, 社会・物議

    偽ファッション広告がGoogle広告に大量出現 サポート詐欺被害に注意

  • 「私はロボットではありません」に偽装しウイルス感染 警視庁が注意呼びかけ
    インターネット, 社会・物議

    「私はロボットではありません」に偽装しウイルス感染 警視庁が注意呼びかけ

  • キャラ画像の誹謗中傷利用に懸念、「ワタシってサバサバしてるから」公式が注意喚起
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    キャラ画像の誹謗中傷利用に懸念、「ワタシってサバサバしてるから」公式が注意喚起

  • アニメ公式サイトを装う偽装サイト出現 「怪盗レーニャ」ドメインが悪用
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    アニメ公式サイトを装う偽装サイト出現 「怪盗レーニャ」ドメインが悪用

  • ちょ、まてよ。それ何のドラマだよ!「勇者」出演の偽キムタクとLINEで対峙した一部始終
    インターネット, 社会・物議

    ちょ、まてよ。それ何のドラマだよ!「勇者」出演の偽キムタクとLINEで対峙した一…

  • たまちゃんWriter

    記事一覧

    元秒刊SUNDAYライター。炎上ネタからグルメネタまで得意とするも、現編集部(おたくま)では炎上ネタは封印。おだやかに書いております。静岡県浜松市在住です。

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠
    インターネット, サービス・テクノロジー

    警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

  • マクドナルド非公認レシピ「改造てりたま」
    グルメ, 作ってみた

    マクドナルド非公認レシピ!夏のてりたま欲を満たす「改造てりたま」を作ってみた

  • LINEの画面って拡大できないの?タイトル画像
    インターネット, サービス・テクノロジー

    ピンチ操作が効かないLINE画面も拡大!iPhoneの隠れ便利機能「ズーム」活用…

  • AIで生成されたフェイク動画
    インターネット, 社会・物議

    一瞬本物かと……有名人の顔と声までAIで再現!進化する投資詐欺の実態とは

  • “ネット詐欺のベストアルバム”に遭遇!「○○プレゼント」詐欺体験レポート
    インターネット, 社会・物議

    “ネット詐欺のベストアルバム”に遭遇!「○○プレゼント」詐欺体験レポート

  • フッション系と思わせるサポート詐欺サイト
    インターネット, 社会・物議

    ファッション広告のフリをした罠 ますます巧妙化する“サポート詐欺”

  • トピックス

    1. 目指せ去勢マスター!「繁殖」テーマのローグライクゲーム爆誕

      目指せ去勢マスター!「繁殖」テーマのローグライクゲーム爆誕

      海外の映画やゲームが日本向けにローカライズされる際、タイトルも和訳されることもしばしばですが、「あま…
    2. 実家の一室をレトロゲームショップ風に改造 本物の什器も揃えた昭和男児の夢空間

      実家の一室をレトロゲームショップ風に改造 本物の什器も揃えた昭和男児の夢空間

      一歩足を踏み入れると、そこはまるで平成初期のゲームショップ。ショーケースにはファミコンソフトがずらり…
    3. ケーキの上は只今工事中!3歳のわが子に作った「工事現場ケーキ」が楽しそう

      ケーキの上は只今工事中!3歳のわが子に作った「工事現場ケーキ」が楽しそう

      「はたらくくるま」が好きな人に刺さること間違いなしな「工事現場ケーキ」がXで話題です。説明がなければ…

    編集部おすすめ

    1. 職員室を自由に物色! 体験型展示「あの職員室」が11月15日より開催

      職員室を自由に物色! 体験型展示「あの職員室」が11月15日より開催

      株式会社チョコレイト(CHOCOLATE Inc.)は、あの頃入りたくても入れなかった職員室を体験できる展示企画「あの職員室」を、11月15…
    2. カービィのエアライダー、桜井政博こだわりの「酔い対策」が話題 アクセシビリティ配慮に称賛の声

      カービィのエアライダー、桜井政博こだわりの「酔い対策」が話題 アクセシビリティ配慮に称賛の声

      2025年10月23日22時より配信されたNintendo公式番組「カービィのエアライダー Direct 2」にて、ゲームクリエイター・桜井…
    3. 「なぜ誹謗中傷は起きたのか」 にじさんじ運営が加害者心理を公表

      「なぜ誹謗中傷は起きたのか」 にじさんじ運営が加害者心理を公表

      ANYCOLOR株式会社は10月22日、所属ライバーである甲斐田晴さんをめぐる極めて悪質な誹謗中傷・荒らし行為への対応結果を、加害者側の意識…
    4. 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」公開40周年 タイムサーキット型時計が登場

      「バック・トゥ・ザ・フューチャー」公開40周年 タイムサーキット型時計が登場

      株式会社Gakken(学研ホールディングスグループ)は、同作の映画公開40周年を記念して、劇中の「タイムサーキット」を再現した時計「バック・…
    5. 電気通信大学が注意喚起 京王線の車内広告に何者かが不審なQRコード“貼り付け”か

      電気通信大学が注意喚起 京王線の車内広告に何者かが不審なQRコード“貼り付け”か

      電気通信大学が10月21日朝、公式Xアカウントに声明を掲載。「京王線車内の本学の広告にQRコードは記載しておりません」と述べ、車内広告にQR…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト