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一瞬本物かと……有名人の顔と声までAIで再現!進化する投資詐欺の実態とは

 一時期、投資詐欺が流行し、有名人の顔や名前を無断で使った広告が出回りました。

 SNSでは、無断で使われた有名人が関与を否定し、困惑している様子も話題となりましたが、最近ではそんな詐欺広告がさらに進化。

 AI技術の進化により、本人そっくりのフェイク動画まで生成されるケースが増加しています。いったいどんな詐欺手口なのか、Facebookでみかけたリアルすぎる動画を紹介します。

  • ■ 有名人投資詐欺とは

     有名人を利用した投資詐欺とは、著名人の顔写真や名前を無断で使用し、あたかも彼らが投資を推奨しているかのように装った偽の詐欺広告です。2023年頃からSNSを中心に急増し、大手報道機関でも取り上げられるなど、社会問題となっています。

     これらの広告は、閲覧者を偽造された記事ページへと誘導し、有名人が「儲かる」と投資を勧めているような演出を行います。これにより、有名人の「信頼性」を勝手に利用し、投資名目で金銭をだまし取る手口です。実際には、これらは実在の発言ではなく、偽造されたものであるにもかかわらず、巧妙に信用させようとします。

     さらに、これらのページにアクセスすると、LINEの友だち追加を促されるなど、一見すると有名人と直接やりとりできるサービスのように見えます。しかし、これもすべて詐欺の一環であり、実際には偽のサービスです。

    ■ 今回新しいタイプのものが登場

     今回、新たに登場しているのが、フェイク動画を利用した詐欺広告です。筆者が確認した事例では、実業家の堀江貴文氏の姿や声が使用されていました。

     あまりにも姿や声が堀江氏本人とそっくりだったため、最初に見たときは「まさかホリエモン本人が!?」と驚いてしまいました。

    ホリエモンが喋るAI生成の詐欺広告(Facebookより)

     ということで実際の動画をご覧ください。と言いたいところなのですが、あまりにリアルなため、そのまま多くの方が見られる環境に置くと、さらに悪用される懸念があります。よって今回は顔の部分にモザイク処理を施しています。

     モザイクをかけたことで、口の動きや表情の細かな変化はお見せできませんが、全体の動きはなめらかで、ほとんど不自然さを感じません。声も、まるで堀江氏本人が話しているかのような自然な調子です。これこそが生成AI動画の怖さです。

     ただし、注意深く見ると、話の途中で口元の映像がわずかに乱れる瞬間があります。これは今回お見せできませんが、実際にフェイク動画を見かけた場合のチェックポイントになります。また、所々で気になる発音も確認できます。

     しかし、こうした違和感はじっくり観察しないと気づきにくく、サラッと見る程度では多くの人が見破れないでしょう。

     このように、現状では多少の「違和感」が残るフェイク動画ですが、AIの技術がさらに進化すれば、将来的には見破れないほど精巧なものが作られる可能性があります。

    ■ アクセスしてみるとやっぱり

     それでは、騙されることを承知の上で、先に進んでみます。

     すると、やはり以前に潜入した時と同じように、投資で儲かる的なページに誘導されました。その先にあの「堀江貴文」本人をうたう、LINEアカウント追加を促されます。

    怪しい広告をタップして進んでみる

     ちなみにこのアカウントは「公式LINEアカウント」となっていますが、LINEの公式アカウントは誰でも作れてしまうため、偽物も多く存在します。見た目も普通の個人アカウントのように見えるので、あまり詳しくない人は「本人だ」と信じてしまうことがよくあります。

    偽堀江氏のLINEアカウント

     さて、アカウントを追加すると偽堀江氏と会話ができるようになりました。余談ですが、筆者は過去に類似のケースに数多く潜入しており、「堀江貴文」や「ホリエモン」を名乗るアカウントの友達登録は、これで30件ほどになります。それほど多くに悪用されている手口なのです。著名人本人もたまったもんじゃありません。

     今回は、やりとりしても時間の無駄になるので、手っ取り早く「本人ですか?」と聞いてみます。

     すると……

    「最近ネット上には多くの詐欺師がいますので、唯一の公式アカウントを必ずご確認ください」

     と、ご丁寧に注意を促してくれました。

     ……全力の「お前や!」

    偽堀江氏とのトーク画面

     なお、こうした事態については堀江氏本人も把握しており、自身のX(旧Twitter)で「私を使った詐欺広告の報告の連絡は、私にしないでください」「私は単なる被害者なので、報告されても困ります」と呼びかけています。それほど、この手の広告が多数出回っているようです。

    ■ その後の流れ

     さて、偽堀江氏と接触したその後は、投資系のLINEグループに誘われ、アシスタントと名乗る人物の紹介を受けます。この流れは、過去に潜入したときと全く同じ。2023年頃からほぼ変わっていません。

    グループラインに誘われる

     LINEグループでは、過去と同じく、投資系の話や関係ない雑談が活発に繰り広げられていました。メンバーは70人ほどいますが、恐らく「サクラ」もかなり混じっているのでしょう。このまま居続ければ、アシスタントから偽の投資サイト(仮想通貨か株)を紹介され、そのサイトを通じて、なんだかんだとお金を巻き上げられる手口です。

     一見、有名人がすすめているように見えても、こうして本人とは一切関係のない詐欺広告があふれています。「簡単に稼げる」「今だけのチャンス」といった言葉には特に注意を。少しでも怪しいと感じたら、すぐに調べたり、信頼できる人に相談するようにしましょう。あなたのお金と情報を守るためにも、冷静な判断が大切です。

     ちなみに、このアシスタントに「本当に堀江氏は本物?」と確認をしたところ、華麗にスルー。既読すらつかなくなりました。

    アシスタントとの会話

     これも毎度恒例。バレそうになったら、とっととブロック。そういうマニュアルなのでしょう。

    ※画像のぼかし処理は編集部で行いました。

    (たまちゃん)

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