3人組ロックバンド「Mrs. GREEN APPLE」の新曲「コロンブス」のミュージックビデオが炎上、6月13日に公開停止を余儀なくされた件の裏側で、Xでは往年のヒット曲「パラダイス銀河」の話題で盛り上がっていたもよう。

 その理由は、歌詞の中にある「しゃかりきコロンブス」というフレーズへの疑問。たしかに聴いている時から変わった歌詞だなぁ……とは感じていましたが、言われてみれば「しゃかりきコロンブス」ってなんなんだ?

■ 近年評価が一変した「コロンブス」

 「パラダイス銀河」は、1988年にリリースされた、男性アイドルグループ「光GENJI」の3枚目のシングル。「ガラスの十代」とともに、光GENJIを象徴する楽曲と言っても差支えのないヒット曲として知られています。

 そんな同曲に登場するフレーズの前後を見てみると、「大人には見えない しゃかりきコロンブス」「夢の島までは さがせない」とあり、同一の言い回しが4回も登場します。どおりで強く印象に残っているわけですよね。

 コロンブスと言えば、もちろん歴史上の人物である「クリストファー・コロンブス」のことでしょう。1492年にアメリカ大陸に到達した、という偉業を成し遂げた一方、奴隷犯罪や植民地主義者といった一面があることも忘れてはいけません。Mrs. GREEN APPLEのMVはこうした点への配慮が欠けていた為、炎上してしまったわけですが……。

 かつては偉大な航海者として評価されたコロンブスですが、近年こうした側面が知られ、問題視されるようになっていました。「パラダイス銀河」がリリースされた当時はこうした面が十分に知られていなかった為、特に問題視されなかったのでしょう。

■ 作詞者が語る「しゃかりきコロンブス」の意味

 さて、話を戻しますが、「しゃかりきコロンブス」の謎について、実は「パラダイス銀河」の作詞・作曲者であるASKAさん(作詞作曲名義は飛鳥涼)が、自身のブログで過去に次のように語られています。

「パラダイス銀河」は、「子供だけが見える景色」を歌っています。

「大人は見えない しゃかりきコロンブス」

つまり、

「しゃかりきになって探したって、コロンブスさえも発見することができない夢の島(子供の場所)」

僕は、それを歌詞にする時に、

「しゃかりきコロンブス」

と、表現しました。
(ASKA_burnishstone’s diary 2019-10-03投稿より引用)

 つまり、「子どもだけにしか見えない景色、夢の場所は、偉大な航海者として称えられていたコロンブスでさえも見つけることができない」という意味が込められていたのです。まさに10代のメンバーで結成されたフレッシュなイメージの「光GENJI」にぴったりではないでしょうか。

 コロンブスという単語を使いつつも、決して礼賛するわけでなく、光GENJIのための楽曲として表現したASKAさん。もしかすると、当時からこうした歴史的背景を理解していたのかもしれませんね。

<参考・引用>
ASKA_burnishstone’s diary「しゃかりきコロンブス

(山口弘剛)