ゲームソフト大手の株式会社カプコンは11月4日、「カプコン二次創作ガイドライン」を公式サイトで公開しました。
ユーザーの創作活動を応援する姿勢を示しつつ、作品の利用条件や禁止事項を明確化したもので、同社の公式Xでも告知されています。
今回のガイドラインは、対象となる創作物(イラスト、マンガ、ゲーム、小説、立体作品、音楽、コスプレ衣装や写真、動画など)や、権利表記の考え方(公式作品と誤認させない・「二次創作である」旨の明記を推奨、コピーライトの使用不可)など、利用者が実務で迷いやすい点を具体的に示しています。
大手IPホルダーが、二次創作の運用ルールをここまで細かく定めて公開するのは異例。冒頭にある「カプコンはユーザーの皆様の創作活動を応援しています」という一文からも、自社の権利を守りつつ、ユーザーへ歩み寄りる姿勢が見て取れます。
■ 注目を集めた「営利目的の利用」 少量・少額であれば例外的に許容
中でも話題になっているのが、営利目的利用の扱いについて。原則として営利目的の二次創作は不可としつつも、「趣味の範囲(同人誌即売会など)であり、少量・少額であれば、例外的に許容」と明記されています。
ここでいう「趣味の範囲」に当たるかどうかはカプコン側が判断し、営利目的と判断した場合は販売の差し止めや中止を依頼することがある、とのこと。いわば同人活動は一定条件で実質容認する一方、商業的な拡大には歯止めをかける設計です。
フィギュア/ガレージキットの有償販売は、ワンフェス等の当日版権許諾イベントに限り可とする点も補足されています。
■ 禁止事項についても明記 成人向けや差別的表現は厳格に
ただし、二次創作を行う上では禁止事項も。
ガイドラインでは、(趣味の範囲を除く)営利目的の利用のほか、「差別的な表現や卑猥な内容など、公序良俗に反するもの」と明記されており、成人向けコンテンツを含む不適切表現への制限を強める姿勢が読み取れます。
また、「誹謗中傷、宗教活動、政治活動、反社会的活動を目的としたもの」「第三者が権利を有する知的財産を含むものや、侵害するもの」「カプコンの著作物を直接加工、転用、そのまま使用する行為」なども禁止事項として列挙。違反と判断した場合は、利用中止要請や法的手段の可能性にも触れています。
■ 生成AIの扱いは明記なし SNSでは「分かりやすい基準を」の声
一方で、近年議論が活発化する生成AIの活用可否や利用条件については、ガイドラインで特段の言及が見当たりません。加えて、内容がやや曖昧で読み手の解釈に委ねられる表現も見受けられます。
このためSNS上では「生成AIについても良否を明記してほしい」「成人向けコンテンツは一括でNGなのか」といった反応も見られ、今後の補足やガイドライン更新での追記に注目が集まりそうです。
しかしながら、今回カプコンが明示したのは、創作の自由とIP保護の両立を図る、寛大と言えるガイドラインです。
二次創作を行う際は、該当箇所をよく読み、自身の活動が「趣味の範囲」に当たるかどうか、また禁止事項に触れていないか、そしてモラルやマナーに反する行為でないかを、改めて点検することをおすすめします。
<参考・引用>
株式会社カプコン公式HP「カプコン二次創作ガイドライン」
(山口弘剛)








































