バーチャルタレント事務所「ホロライブプロダクション」を展開するカバー株式会社は公式Xにて11月25日、同社のバーチャル空間プロジェクト「ホロアース」に追加された新エリア「フォーカル・スクエア」に登場したNPC(ノンプレイヤーキャラクター)について、実在の人物を想起させる表現が含まれていたと発表しました。
問題のキャラクターは確認後、すでに削除対応が完了しているといいます。
■ SNSで拡散し議論に発展 運営は制作意図なき類似と説明
発表によると、該当NPCはアバター表現の多様化を目的として、既存のファッションアイテムを組み合わせる形で制作されたもので、特定の実在人物をモデルにした意図はなかったと説明しています。
しかし、公開前のチェック体制に不備があり、外見や名称によって結果的に特定個人を連想させる要素が生じてしまったといいます。運営は「ユーザーの皆様にご不快な思いとご迷惑をおかけしました」として謝罪し、制作・確認フローの見直しや管理体制の強化を行う方針を示しました。
■ SNSで指摘されたNPC
今回の問題は、新エリアが導入された2025年10月23日のアップデート(Ver.1.1.0)後、11月23日頃にSNSで拡散したNPC「コウゾーさん」のスクリーンショットが発端とみられます。
一部ユーザーの間で、事件に関係した実在人物をモデルにしているのではないかとの臆測が拡散し、短時間で議論が加速していました。運営はこれらの憶測について直接的な言及は避けつつ、あくまで偶発的な類似であったと説明しています。
「ホロアース」は、ユーザーがアバターとして異世界を探索し、創作活動やイベント参加を楽しめるメタバースプラットフォームで、ホロライブ所属タレントも“本人の姿”で登場するなど、バーチャルとリアルが交差する体験を売りとしています。2021年のプロジェクト発表から開発が進められ、2025年4月に正式リリースされました。
今回のNPC問題は、拡張を続ける同プラットフォームにおいて、キャラクター制作とチェック体制の重要性をあらためて浮き彫りにした形です。
■ 急成長するメタバースの“影” 制作判断の難しさ浮き彫り
メタバース作品では、NPCも含めアバター表現の自由度が高い一方、膨大な組み合わせの中で偶発的な類似が生じることは珍しくありません。海外を含むゲーム業界でも、特定個人を連想させる外見や名称が議論を呼び、公開後にデザイン修正や削除が行われた例は複数あります。
一方でこうした背景には、制作体制の成熟度や、社会的な反応をどう捉えるかといった判断の難しさも指摘されており、業界全体で改善が求められる分野ともいえます。
ホロアースの場合ではタレント本人がアバターとして登場するという独自性もあり、一般NPCとの線引きや世界観の調整には、従来のゲーム作品以上に慎重な対応が求められる環境にあります。今回の一件は、そうした特性ゆえに生じた課題の一端ともいえます。
『ホロアース』Ver.1.1.0 アップデートにて追加されたエリア「フォーカル・スクエア」内のNPCにつきまして、実在の人物を想起させる表現が含まれていることが確認されました。 当該キャラクターにつきましては、確認後ただちに削除対応を行っております。…
— ホロアース (@Holoearth_JP) November 25, 2025
<参考・引用>
ホロアース公式X(@Holoearth_JP)
ホロアース「NPCの件につきまして」(11月26日)




























