令和6年能登半島地震で被災した人々の想いが込められた割れた器を、無償で修理する金継ぎプロジェクト。割れた器を金継ぎで蘇らせ、被災者にお届けするまでの感動ストーリーと、2025年からの取り組みを紹介。
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蘇った石川県の被災者のお茶碗
石川県を元気にしたい!金継ぎプロジェクトの歩みと活動報告
2024年4月に開始した「金継ぎで石川復興を応援するプロジェクト」。令和6年能登半島地震の被災者が大切にしていた器を、東京金継ぎ教室つぐつぐ(以下、つぐつぐ)の生徒様と講師が心を込めて修理しお返しする、初の取り組みです。
本来は高額な金継ぎですが、このプロジェクトでは修理費用と返送送料を全てつぐつぐが負担しています。金継ぎに使用するのは、石川県でも盛んな漆芸に欠かせない自然由来の漆(うるし)です。漆を用いた伝統技法で修復することで、食器も安心して再びご使用いただける安全性と、美しさを実現します。ただし、いくつもの工程を要するため、修理には何ヶ月も時間がかかります。
2024年度中、プロジェクト開始から8ヶ月間で7件の修理依頼を受け、そのうち3件の器に置いて金継ぎが完成し、持ち主様の元へお届けできました。
修理された被災者の器にまつわる物語
金継ぎを依頼いただいた器の持ち主様から、応募のきっかけとなったエピソードと、修理後に器が手元に戻った際の感動の声をお寄せいただきました。その一部をご紹介いたします。
1. 富山県富山市在住、H.T.様
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銀仕上げ
応募のきっかけとなったエピソード
大学からの友人の実家が窯元で、富山から長崎に購入しに行った際にご厚意でいただいたお茶碗です。大切に使っていましたが、能登半島地震のあとにアパートに戻ると綺麗にふたつに割れてしまっていました。
自分で金継ぎをしようと思っていたのですが、その時間も作れず先延ばしにしていたところ、こちらのサイトをインスタグラムで拝見しました。この先も長く使っていきたいと思い申し込みさせていただきました。
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Before(直径10センチの白地に水色グラデーションで飛び鉋のお茶碗、磁器、割れ2分割)
金継ぎされた器を受け取った際に寄せてくださった感謝の言葉(完成日:2024年10月24日)
本日修理していただいた器が到着いたしました。5月ごろに発送してから約5ヶ月、大変楽しみにお待ちしておりました。
仕上がりに関しても大変綺麗で、友人から貰った器がまたひとつ思い入れのあるものになりました。普段から器選びにこだわり、慎重に考えて購入している中で、大切な友人から貰った器が割れてしまいショックを受けておりました。しかし今回修理していただいた生徒さんの作業を想像するとより一層今後も大切にしていこうという気持ちが湧いております。
顔も見えない他人の器を預かり、無償で直して返すこと、多くの苦労があったと思います。私は富山県在住で被害は少なく済みましたが、このような企画に出会えたことで、少しでも気持ちを前向きにできた方がたくさんいると思います。もちろん私もその1人です。
担当してくださった方々、本当にありがとうございました。
長く、使わせていただきます。
2. 富山県射水市在住、K.T.様
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手前から、金仕上げ・銀仕上げ
応募のきっかけとなったエピソード
石川県の隣の富山県在住ですが、元日の地震では震度5で食器棚の中のお皿がグチャグチャになっていました。その中で特に気に入っている夫婦椀の淵が欠けてしまい残念に思っていました。今回このようなありがたい企画を知り、応募します。
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Before(直径12cmの夫婦椀、それぞれ淵に一か所欠けとヒビ)
金継ぎされた器を受け取った際に寄せてくださった感謝の言葉(完成日:2024年10月24日)
昨日、無事に届きました。
綺麗に金継ぎしてあり、とても嬉しかったです。特に緑の器に銀、ピンクの器に金で継いであるので夫婦感がさりげなく、それでいてパワーアップしてるみたいで素敵です!
これからも大事に使って行こうと思います。
今回は本当にありがとうございました。
3. 石川県金沢市在住、S.S.様
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蝶々の絵柄のご飯茶碗、金仕上げ
応募のきっかけとなったエピソード
私が大事に使用してきた今はもう販売されていない大好きな作家さんのご飯茶碗です。
娘が大きくなったら茶碗を譲ると約束していたのに地震で欠けてしまい、現在娘もそろそろ使える年齢にまで大きくなったのですがこのままで茶碗は使えず…
あのかわいい茶碗でごはんを食べてみたいと娘が言う度に日に日に思いが強くなり、つぐつぐさんにたどり着きご連絡いたしました。
金継ぎされた器を受け取った際に寄せてくださった感謝の言葉(完成日:2024年12月22日)
修理品を受領しました。
大変きれいに直していただき感謝申し上げます。
大切に末長く使いたいと思います。
現在、残り4名の被災者様の器の修理を進めています。器の破損状況によって修理にかかる期間は異なり、ご依頼の順番どおりに完成しませんが、生徒様と講師が力を合わせ、一日も早く持ち主様の元にお返しできるよう、心を込めて作業に取り組んでいます。
金継ぎ修理に携わった、つぐつぐの生徒様の声
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金継ぎ教室の様子
「金継ぎで石川復興を応援するプロジェクト」に参加し、実際に修理に携わった生徒様から感想をいただきましたので、ご紹介いたします。
今日は、自分のお皿が早めに終わったので、石川県の地震被害にあった置物の黒漆を塗りました。いつもよりかなり緊張しました。札を見ると先生や何人かの方のお名前があり、私もなるべく丁寧に塗りました。(中略)貴重な経験をさせて頂きました。
金継ぎ教室で、ご自身の器を修理する貴重な時間の合間を縫って、このプロジェクトの作業にご協力いただいております。他の方の大切な器を手掛けることで、自然と緊張感が生まれるようです。このプロジェクトを通して、生徒様一人ひとりの技術向上と社会貢献のモチベーションにもつながっています。
次なる一歩|金継ぎで心を繋ぐ支援の継続
つぐつぐでは、このボランティア活動を一時的な取り組みで終わらせず、持続可能な形で被災地支援を続けていくことを目指しています。日本は地震が多発する国であり、一度の災害で多くの方が大切な器や思い出の品を失う現実があります。そのような中、つぐつぐは令和6年能登半島地震の「金継ぎで石川復興を応援するプロジェクト」を出発点とし、今後も被災地が日本中のどこであっても同様の支援を行える体制を構築していきます。
「金継ぎで石川復興を応援するプロジェクト」は、つぐつぐが持つ「金継ぎ」という伝統技術を活かし、被災された方々の心の拠り所となる器を蘇らせることで、物理的な修復に留まらず、精神的な癒しや希望を提供することを目的としています。活動の中心はつぐつぐの生徒様で、生徒様と講師が一丸となって取り組んでいます。生徒様の中には、自分の器修理を学ぶだけでなく、誰かの役に立ちたいという想いからプロジェクトに参加される方が多くいます。その熱意が、活動の継続性を支える大きな力となっています。
「金継ぎで石川復興を応援するプロジェクト」が、金継ぎを通じて多くの方々に笑顔を届けるきっかけとなるよう、これからも真摯に取り組んでまいります。
被災者様の応募のご案内
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割れた器を金継ぎ修理する様子
「金継ぎで石川復興を応援するプロジェクト」は、令和6年能登半島地震で被災された方、およびその周辺地域にお住まいで被害を受けた方を対象としています。
2024年度は、万が一応募が殺到して修理作業が滞り、ご依頼者様にご迷惑をおかけしないよう、応募制を採用して数を制限しておりました。しかし、全ての修理を着実に進められることが確認できたため、2025年度より応募制を廃止し、全てのご依頼をお受けする方針に変更いたします。(ただし、今後ご依頼がつぐつぐの対応可能な範囲を超えそうな場合には、一時的に受付を停止する可能性があることをご了承ください。)
ご依頼者様の大切な器を確実に管理し、修理後に間違いなくお手元へお返しするため、応募にあたり事前にご理解いただきたい事項が多くございます。応募をご希望の方には、応募フォームの注意事項をよくお読みいただいた上で、お申し込みをお願いしております。
応募フォームはこちら
このプロジェクトの存在は、まだまだ地震の被災者のお耳に届いておりません。
必要としている方にご利用いただけるよう、メディアの皆様のお力も借りながら、広めていきたいと思っております。
株式会社つぐつぐ(東京金継ぎ教室つぐつぐ運営)
代表取締役 俣野 由季
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