
株式会社奥村組(本社:大阪市阿倍野区、代表取締役社長:奥村太加典)は、鉄骨造(以下、S造)建物の基礎梁をS造の梁として既製杭と接合する「鉄骨基礎梁工法」を開発しました。
本技術は、2025年1月に「奥村式鉄骨基礎梁工法(以下、本工法)」として、一般財団法人日本建築総合試験所から建築技術性能証明書(GBRC 性能証明 第24-20号)を取得しました(特許出願中)。
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図1 奥村式鉄骨基礎梁工法の適用部位
【背景】
近年増加している大型物流倉庫等については、鉄筋コンクリート造(以下、RC造)よりも軽量で建物の柱間隔を広くできるS造とすることが多くなっていますが、そのような場合でも基礎梁はRC造の梁とすることが一般的でした。基礎梁をS造の梁とすることで基礎重量が減少して合理的な設計や施工の省力化が期待されますが、鉄骨基礎梁と杭との接合方法や力の伝達機構が明らかになっておらず、鉄骨基礎梁を採用できていませんでした。
そこで当社は、部材の実験によりこれらを明らかにし、本工法を開発しました。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/126184/40/126184-40-458c491446c6e4f3d2c7d84512cd80c4-822x332.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
写真 試験体外観と実験状況
【概要】
本工法は、基礎梁をS造の梁(S梁)として既製杭と接合する工法で、杭を埋め込んだ下部フーチングと、上部構造の柱と基礎梁の接合部を巻き込んだ上部フーチングを直列的に結合することが特徴です。
下部フーチングと既製杭は、杭頭補強筋による定着筋方式、杭頭の埋め込み方式またはそれらの併用方式のいずれかによって接合します。杭頭埋め込み部のてこ機構による曲げモーメントはフーチング主筋によって上部フーチングへ伝達されます。上部フーチングは、柱梁接合部周りにふさぎ板を配置してコンクリートを打設し、S造またはコンクリート充填鋼管造(CFT造)の柱と基礎梁(S梁)を一体化します。なお、杭頭補強筋およびフーチング主筋は必要に応じて機械式定着とすることができます。また、下部フーチング内にはせん断補強筋を配置して、下部フーチングに作用するせん断力の一部を負担させることができます。
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図2 奥村式鉄骨基礎梁工法の概要
【奥村式鉄骨基礎梁工法の適用範囲】
1.杭
杭種:PHC杭、SC杭
杭径:φ300~1,200mm
2. 構造種別
鉄骨造(S造)、鋼管コンクリート造(CFT造)
3.コンクリート
設計基準強度(Fc):24~60N/mm2
4.形状
フーチング寸法:幅とせいは杭径(D)の2倍以上、PHC杭適用の場合は2.5D以上
杭頭の埋め込み長さ:杭径(D)の0.5~1.5倍
【本工法適用のメリット】
S造建物の基礎梁をRC造からS造にすることで、以下のメリットが期待できます。
・基礎梁重量の減少による杭径等の縮小にともなう杭工事費の削減
・鉄筋・型枠・コンクリートなどの躯体数量の減少にともなう工期短縮と省力化
・全面ピットとなる建物の場合は、基礎梁せいの抑制にともなう掘削土量の削減
【今後の展望】
今後は大型物流倉庫や店舗の設計施工案件などで積極的に提案していきます。
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社奥村組
技術研究所 建築研究グループ
山上 聡(やまがみ さとし)
TEL:029-865-1833
FAX:029-865-1522
E-mail:satoshi.yamagami@okumuragumi.jp