
海洋ごみ問題に取り組むNPO法人クリーンオーシャンアンサンブル(香川県小豆郡小豆島町、代表理事:江川 裕基)の調査チームは、連載コラム第3弾「プラスチックの種類とリサイクルについて解説!」を公開しました。
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河川ごみ回収装置で回収されたプラスチックごみ
本コラムでは、プラスチックの種類ごとの特徴やリスクに加え、国内外のリサイクル現状を具体的なデータを交えながら解説しています。また、私たちが実施した分別ビーチクリーンの現場データや、実際のリサイクル事例も紹介しています。海洋ごみ問題に関心のある方、プラスチックのリサイクルの基礎を学びたい方にとって、実践にも役立つ内容となっています。
コラムURL:https://cleanoceanensemble.com/knowledge/column/column3/
コラムの概要
これまでのコラム(第1弾・第2弾)では、マイクロプラスチックの定義や、一次・二次それぞれのリスクと対策を取り上げてきました。第3弾では、マイクロプラスチックの原因物質である「プラスチック素材」そのものに焦点を当て、素材ごとの特徴やリスクを解説しています。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)及びポリエチレンテレフタレート(PET)の代表的な5種類のプラスチックについて、その用途、性質及び環境中で懸念される影響を説明しました。
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ペットボトル:ポリエチレンテレフタレート(PET)
例えば、発泡スチロールの主成分であるポリスチレン(PS)は、高温下で発がん性が指摘されるスチレンモノマーを放出する可能性があります。また、塩素を含むPVCは焼却時にダイオキシンを発生させることなど、素材ごとのリスクを科学的エビデンスに基づいて提示しています。
本コラムでは、これらの基礎知識をもとに、プラスチック廃棄物問題の構造と課題を多角的に捉えることを目指しています。
プラスチックのリサイクルの現状と課題
本コラムでは、日本における廃プラスチックのリサイクル状況と、その課題をデータに基づいて解説しています。
現在、一般的に以下の三つのリサイクル手法が用いられています。
マテリアルリサイクル(MR): 回収した廃プラスチックを粉砕・溶融・成形し、新たなプラスチック製品として利用する手法。
現在、日本で発生するプラスチックごみの約23%がMRで再生利用されています(半場 雅志, 化学工学, 2021)。
ケミカルリサイクル(CR): 廃プラスチックを化学反応によって分解し、モノマーやオリゴマーなどの原料に戻して再生利用する手法。
リサイクル全体に占める割合は約4%と低く、技術開発の進展とコスト削減が課題となっています。
サーマルリサイクル(熱回収): プラスチックを焼却し、その熱エネルギーを回収・利用する手法。
現状では約56%と最も高い割合を占め、埋立処分を減らす手法として活用され、年々増加しています。 一方、焼却時に発生するCO2が温室効果ガスとして蓄積し、気候変動の一因となる点が懸念されています。
こうした現状分析により、従来のリサイクルシステムの限界と課題が明らかになりました。
製品の高機能化・複合素材化によって、マテリアルリサイクルが困難になっていることや、
インフラ不足により熱回収依存が続いている現状が課題として挙げられます。
本調査は、こうした課題を現場データと照らし合わせながら提示することで、
今後の技術開発や政策立案へのヒントを提供しています。
実際にクリーンオーシャンアンサンブルは、2023年の「瀬戸内海研究フォーラム」 において、
瀬戸内海沿岸でのごみ回収・分析に関する研究発表で最優秀ポスター賞を受賞しており、
現場データに裏付けられた分析の信頼性は学術的にも一定の評価を受けています。
企業が実践できる再資源化戦略
本コラムで得られた知見は、企業にとっても具体的な実践指針となります。 プラスチックの種類ごとの特性やリサイクル難易度の違いを理解することで、企業は製品設計段階からリサイクルしやすい素材を選択し、単一素材での構成を採用することが可能になります。
また、廃プラスチックの行方をデータで把握することで、自社のサプライチェーンにおける資源の流れを可視化し、ボトルネックを特定し、効率的な回収・再資源化スキームを構築できます。
さらに、小豆島で実践されているクリーンオーシャンアンサンブルの分別回収とアップサイクルの取り組みは、企業のCSR活動や地域連携プロジェクトとして活用できます。
実際に、ビーチクリーンで回収した約2トンの漂着ごみを素材別に分類・計量し、
そのデータを「海洋ごみMAP」アプリで可視化する試みが進められています。
今回のコラム公開を契機に、研究知見と企業行動を結びつける新たなコラボレーション創出が期待されます。
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井上 智晶 氏
調査チーム:井上智晶より調査チームでは工学・気象学等様々な分野に精通した専門家や大学と連携し、海洋ごみ回収データの分析や回収技術開発を行っています。
また、回収だけに留まらず、クリーンオーシャンアンサンブル内で実施したマテリアルリサイクルの内容もコラムやプレスリリースを通じて継続的に発信しています。
瀬戸内からの活動が一人でも多くの方の共感や協力につながり、共にグローバル規模で海洋ごみ問題を考えるきっかけになれば幸いです。
コラムURL:https://cleanoceanensemble.com/knowledge/column/column3/
団体概要
団体名: 特定非営利活動法人クリーンオーシャンアンサンブル(NPO法人 Clean Ocean Ensemble)
所在地: 〒761-4425 香川県小豆郡小豆島町坂手甲985番地
設立: 2020年12月10日
代表理事: 江川 裕基
活動内容: 海洋ごみ回収装置の開発・運用、海洋ごみデータの記録・可視化、環境教育事業 ほか
URL: https://cleanoceanensemble.com/
お問い合わせ先
NPO法人クリーンオーシャンアンサンブル 広報担当(北川・江川)
E-mail:info@cleanoceanensemble.com
TEL:070-8360-9815
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