
TISインテックグループの株式会社インテック(本社:富山県富山市、代表取締役社長:疋田 秀三、以下:インテック)は、インテックが富山県立中央病院に導入した病理・細胞診検査業務支援システム「EXpath」と、浜松ホトニクス株式会社のWSI(ホールスライドイメージ)スキャナ、aetherAI Co., Ltd.(日本子会社:イーサーエーアイ株式会社、以下:aetherAI社)の画像管理システム「aetherSlide」を連携し、デジタルパソロジー※1の運用開始を支援したことを発表します。
これにより、富山県立中央病院では今後導入が進むと予想される病理分野でのAI技術活用の基盤を構築することができました。デジタルパソロジーを導入し、病理ガラス標本のフルデジタル化、AI活用を目指す取り組みは、全国の医療機関の中でも先駆的な事例となります。
※1 デジタルパソロジー:病理ガラス標本(プレパラート)を専用スキャナで撮影してデジタル化し、モニターに表示して病理診断をする方法
デジタルパソロジーの概要
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/11650/1753/11650-1753-e63fe5c022c4091609d6a68f852b959a-3069x1707.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
デジタルパソロジーのイメージ図
背景
近年、全国的に医師の働き方改革を進められている中、富山県立中央病院の病理部門ではコンパニオン診断※2などの検査種類が増え、診断する検体が増加傾向にあり、病理医や技師の作業負荷が高くなっているという課題がありました。そこで、WSIスキャナの更新を機に、業務効率化と診断の質向上による患者への利益向上を目的として、デジタルパソロジーの導入を決定しました。
インテックは、2007年4月から富山県立中央病院へ「EXpath」を導入しており、病理オーダの受付から報告書作成まで、病理部門の業務をサポートしてきた実績を評価され、本導入を支援することが決定しました。
※2 コンパニオン診断:特定の治療薬の効果を予測するために行う検査で、これにより患者に最適な治療法を選択することができる。
デジタルパソロジー導入のメリット
1. モニター診断による病理医の負荷軽減、働き方改革
顕微鏡を使わずにモニター上でマウス操作だけで視野の調節、拡大、縮小を行い、観察、診断が可能。これにより病理医の業務が効率化できるだけでなく、顕微鏡を使った診断経験が豊富か否かに左右されず観察が容易になる。また、セキュリティなどの環境が整うことで自宅や遠隔地からの診断も可能であり、場所や時間の制約が軽減されることで、病理医の働き方改革にもつながる。
2. WSIスキャナと「aetherSlide」によりマルチベンダー対応
WSIスキャナで取り込んだ画像は、「aetherSlide」、「EXpath」を通じてモニター上で観察できる。「aetherSlide」はマルチベンダー対応のため、異なるメーカーのスキャナで取り込んだ画像も一つのビューアで観察可能。そのため、スキャナの更新でメーカーを変更しても、新旧の画像データを並べて表示することも可能で、これまで蓄積してきたデータを有効活用できる。
3. AI活用による病理医の作業効率化
病理診断時にAIツールによる診断支援を活用することで、病理診断の省力化、診断精度の向上を実現。経験の浅い病理医でもAIの解析結果で見落としに気づくことが期待でき、教育用途としても利用可能。
富山県立中央病院 病理診断科 石澤 伸 氏からのコメント
当院では2017年より、WSIスキャナ・画像管理システムによる病理標本閲覧システムを導入し、既往病理の確認、Ki67解析※3、カンファレンスなどに利用してきました。今回の更新に際して、デジタル診断を可能とし、AI技術が利用可能で、今後の病理医勤務の多様化やAI技術活用の基盤になるシステムを目指し導入しています。なお、旧データの移行は同一ベンダー間でも新旧共存期間が必須な状況でしたが、インテックとaetherAI社の柔軟な対応により、移行期間なく完全に移行され、形式の異なる旧データと新データが同一システム内で一元管理できたことはうれしい誤算でした。今後AIツールもいくつか導入予定で、インテックには期待しています。
※3 Ki67解析:腫瘍の組織切片を免疫染色して、細胞の増殖能を示すKi-67タンパク質の発現を検出することで、腫瘍の増殖速度や悪性度を評価する検査。
今後の展開
インテックは、今後もAIを活用した研究の推進や、自宅や遠隔地からの診断を含めた働き方改革の実現に向け、さまざまな医療機関との共同研究や実証実験への参画を進めていきます。
病理・細胞診検査業務支援システム「EXpath」について
「EXpath」は、インテックが1996年から全国120の病院施設に導入している病理・細胞診検査業務支援システムです。検査受付から報告書作成までの業務を支援する多彩な機能を搭載し、病理検査に必要な膨大な情報を一括管理します。電子カルテやオーダリングシステム等と連携することで病理データを病院全体で共有することができ、臨床部門での病理データの活用にも貢献します。
詳細は以下URLをご参照ください。
https://www.intec.co.jp/service/detail/expath/
※ 記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。
※ 記載されている情報は、発表日現在のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。
株式会社インテックについて(https://www.intec.co.jp/)
お客さまの経営戦略に沿った情報化戦略の立案からシステムの企画、開発、アウトソーシング、サービス提供、運用保守まで、IT分野において幅広く事業を展開しています。インテックは、1964年の創業以来培ってきた技術力をもとに、AI、RPA等のデジタル技術の活用や、新たな市場の創造にも積極的に挑戦しています。常にオープンな姿勢で、人、企業、社会を技術でつなぎ、自らも変革しながら「豊かなデジタル社会の一翼を担う」企業としてお客さまに新しい価値を提供していきます。
TISインテックグループについて
TISインテックグループは、国内外グループ2万人を超える社員が『ITで、社会の願い叶えよう。』を合言葉に、「金融包摂」「都市集中・地方衰退」「低・脱炭素化」「健康問題」を中心としたさまざまな社会課題の解決に向けてITサービスを提供しています。デジタル技術を駆使したムーバーとして新たな価値を創造し、人々の幸せと持続可能な豊かな社会の実現に貢献します。
◆本サービスに関するお問い合わせ先
株式会社インテック
医療ソリューション事業本部 医療ソリューション営業部 石黒、千葉
E-Mail:expath@intec.co.jp