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松本日本医師会長、第159回定例代議員会であいさつし、「医療機関の経営危機の改善に向けて」など、7項目に関する日本医師会の考えを説明。

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公益社団法人日本医師会


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第159回日本医師会定例代議員会が6月22日、日本医師会館大講堂で開催され、冒頭あいさつを行った松本吉郎会長は「医療機関の経営危機の改善に向けて」「組織強化」「新たな地域医療構想等」「地域医療を担う人材確保」「医療DX」「医薬品をめぐる最近の状況」「7月の参議院議員選挙」などに触れながら、下記のように日本医師会の考えを説明しました。

会長あいさつ

1. はじめに
第159回日本医師会定例代議員会にご出席を頂き、誠にありがとうございます。
また、日頃より日本医師会の会務運営に特段のご理解とご支援を頂いておりますことに対し、この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。
本日の定例代議員会では、昨年度の事業報告に加え、2件の議案を上程いたしております。慎重にご審議の上、何とぞご承認賜りますよう、お願い申し上げます。

2. 医療機関の経営危機の改善に向けて
日本医師会は、「骨太の方針2025」の策定に向け、1.経済成長の果実の活用、すなわち税収等の上振れ分の活用、2.「高齢化の伸びの範囲内に抑制する」という社会保障予算の目安対応の見直し、3.診療報酬等について、賃金・物価の上昇に応じた公定価格等への適切な反映、4.小児医療・周産期医療体制の強力な方策の検討の4点を主に主張して参りました。
3月の第158回臨時代議員会以降、自由民主党、公明党の社会保障制度調査会、医療、介護、福祉の現場を守る緊急集会、国民医療を守る議員の会などで日本医師会の考え方をその都度説明させて頂きました。国民医療を守る議員の会では、日本医師会の主張を踏まえた決議が採択され、石破総理には、同決議など2度にわたり医療現場の窮状を私から直接訴えさせて頂きました。
「骨太の方針2025」つきましては、6月6日の経済財政諮問会議において原案が示されました。その後、自民党政調全体会議や公明党など与党内で、医療機関の経営危機や、物価高騰、賃金上昇対応について、日本医師会の要望に沿った議論が行われ、社会保障関係費に関する記載が修正されました。
歳出改革の中での「引き算」ではなく、物価・賃金対応分を「加算する」という「足し算」の論理となったことが非常に重要なポイントであり、年末の予算編成における診療報酬改定に期待ができる書きぶりとなりました。
「骨太の方針2025」の社会保障関係費の部分につきましては、代表質問でも頂いておりますので、後ほど詳細にご説明しますが、「税収等を含めた財政の状況を踏まえ」と明記されたことで、日本医師会が「経済成長の果実の活用」として求めていた、税収等の上振れ分の活用の視点が盛り込まれました。
さらに「高齢化による増加分に相当する伸びにこうした経済・物価動向等を踏まえた対応に相当する増加分を加算する。」とされ、日本医師会が求めてきた賃金・物価の上昇に応じた公定価格等への適切な反映が明記されました。高齢化分とは別枠で賃金対応分等を加算するという意味だと理解しています。この部分は6月6日に示された原案から劇的な前進となりました。
また、「次期報酬改定を始めとした必要な対応策において、2025年春季労使交渉における力強い賃上げの実現や昨今の物価上昇による影響等について、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるよう、的確な対応を行う。」とされ、注釈には2025年春季労使交渉の平均賃上げ率5.26%等の数字が明記されました。この数字は次期診療報酬改定において念頭に置かれるものと認識しています。
著しく逼迫(ひっぱく)した医療機関の経営状況を改善するため、診療報酬だけでなく、補助金での対応も不可欠です。今回の骨太の方針を確実に実施できるよう、夏の参議院議員選挙、その後に行われる見込みの秋の令和7年度補正予算編成、さらには年末に向けた予算編成過程における令和8年度診療報酬改定の財源確保が極めて重要です。
また、診療報酬改定に向けては、日本医師会として「令和7年度診療所の緊急経営調査」を実施しております。本調査の結果は診療報酬改定の議論における強力なツールとなりますので、回答へのご協力を何とぞよろしくお願い申し上げます。
一方で、財務省財政制度等審議会等は引き続き歳出改革努力を求めてきます。医療経営の危機を打破するとともに、高齢化、高度化に加え、物価高騰・賃金上昇に対応できるよう、あらゆる機会を通じて、引き続き政府与党に求めて参ります。

3. 組織強化
組織強化は、決して一過性のものではなく、継続的な取り組みの積み重ねにより、成し得ていくものと考えております。
令和5年度より導入した医学部卒後5年間の会費減免を契機に、若手医師の入会促進と医師会活動への理解醸成への取り組みは、着実に浸透してきているものと思います。今後は、その成果を一層発展させるべく、各地域の特性に即した、より具体的かつ一歩踏み込んだ取り組みに、特段のご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
日本医師会としても、新たに運用を開始した医師会会員情報システム「MAMIS」が、その一助を担えるものになるよう、しっかりと育てて参ります。
医師会が、国民の医療を守り、医師の診療と生活を支える組織としての揺るぎない使命を果たし続けていくためには、組織強化を通じた組織力の更なる向上を図りつつ、医療を取り巻く課題解決に資する、確かな影響力を備えた力強い組織へと一段の成長を遂げていくことが必要です。
現場の声を医療政策の決定過程へ的確に反映させるべく、日本医師会は引き続き、組織強化に向けて全力を尽くして参ります。

4. 新たな地域医療構想等
新たな地域医療構想については、医療と介護の連携や「包括期機能」など日本医師会の提案の具体化を図るべく、ガイドライン、あるいは、現行の医療計画の中間見直しや、次期介護保険事業計画との整合性も見据え、議論に臨んで参ります。
同時に、自民党、公明党、日本維新の会の3党合意もなされましたが、医療提供体制が、人口変動、医療の需給や受診行動の変化に柔軟に対応できるようにしなければなりません。特に、先の病床数適正化支援事業の第一次内示で対象外となった病床については早急に支援が必要です。さらに、地域医療構想との整合性、地域の実情や将来の医療需給などを考慮しつつ、病床の削減を決断した医療機関をしっかりと支える財政支援策を求めて参ります。
さらに、物理的に医療へのアクセスが困難な地域のため、6月18日には「公益的なオンライン診療に関する協議会」を、日本医師会を始め、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会、日本郵政、日本郵便、全国郵便局長会、自治医科大学、内閣官房、総務省郵政行政部、厚生労働省医政局と共に開催いたしました。
今後もいかなる方策がさらに有効か、検討を進めて参ります。

5. 地域医療を担う人材確保
新たな地域医療構想など、これからの医療提供体制を考える上で、今後、医療人材の確保が欠かせません。医師偏在対策では、厚労省より医師偏在是正に向けた広域マッチング事業を受託し、会内にプロジェクト委員会を設け、現在、体制を整えつつあります。また、医師の要請や派遣などについて大学関係団体等との連携強化にも取り組んで参ります。
なお、今月初め、特定の医療機関への取材に基づく、国民に誤った印象を与えかねない報道が一部でありました。日本医師会として問題意識をもっており、即座に当該のメディアに問題点を指摘し、正しい医療の情報の報道には十分配慮するよう強く要請いたしました。
また、看護職員の確保については、5月16日に初めて全国規模での医師会立看護師等養成所会議を開催し、多くの医師会役員、養成所の教員の参画を頂きました。今後も、教育現場の声をお聴きしながら、地元に根付いて看護を担う人材の養成支援に努めて参ります。

6. 医療DX
医療DXにつきましては、地域医療を守るため「すべての医師が、現状のままでも医療が継続できる」ことが大前提であると考えています。そのため、電子処方箋(せん)や電子カルテの義務化には断固として反対しております。それと同時に、電子化を希望する医師にとっては、できるだけ導入や維持がしやすい環境整備を国に働きかけております。
今回、「骨太の方針2025」においては、さまざまな医療DXの施策について「政府を挙げて強力に推進する」とうたわれていますが、併せて、体制整備のための「必要な支援を行う」ことや、「必要に応じて医療DX工程表の見直しを検討する」ことも明記されており、これまでの日本医師会の主張を一定程度取り入れて頂けたのではないかと考えております。
引き続き、医療機関が医療DXを導入・維持していくためには、十分な財政支援が必要であることや、工程表ありきで拙速に進めるべきではないことなど、医療DXの適切な推進に向けて、現場の声をしっかりと主張して参ります。

7. 医薬品をめぐる最近の状況について
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」は、医薬品等の安全性確保と信頼回復を目的として、近年相次いだ不祥事や社会的課題に対応するために改正されました。しかしながら、依然として医療現場では医薬品供給不安が続いており、更なる実効性の向上や迅速な対応が求められるため、補助金等の十分な予算措置も含め、現場の声を踏まえた意見・要望をしっかりと今後も国に伝えていく所存です。
今春、国においてOTC類似薬等に関する議論が盛んに行われました。この件でマスコミの報道に怒りや不安を感じておられた先生方も多いかと存じます。医療費適正化の目的のみの、過度なセルフメディケーションやスイッチOTC化を進めることは反対です。国がセルフメディケーションの旗の下に、最も重要である患者、利用者の安全性やOTC医薬品の原理・原則を軽視し、経済性に過度に偏った施策を行うことは許されません。
スイッチOTC化やセルフメディケーションを拙速に進めることは、自己判断による誤用で重篤な疾患の発見が遅れる恐れがあります。特に、高齢者などでは、医師との対話の機会が減少し、病歴や服薬歴の記録が途切れ、診療の精度が落ち健康リスクが高まります。また、適正使用されず、乱用の増加も懸念されます。セルフメディケーションは、セルフケアの一つの手段であり、ヘルスリテラシーと共にあるべきです。国においては、国民の安心・安全を第一に考えて進めて行って頂きたいと思います。
OTC類似薬を保険適用から除外すると、例えば院内での処置等に用いる薬剤や、さらには薬剤の処方、また在宅医療における必要な薬剤使用に影響することが懸念されます。これは絶対に避けなければなりません。さらに、医療機関にアクセスできても地方やへき地等で市販薬に簡単にアクセスできない地域もあり、十分な留意が必要です。
セルフメディケーションに関する日本医師会の考え方については、代表質問でも頂いておりますので、詳細はその際にご説明いたします。
今後もOTC医薬品やセルフメディケーションに関するこうした動きは必ず出てきます。日本医師会として、わが国の世界に冠たる国民皆保険制度を歪めることがないよう注視して参ります。

8.7月の参議院議員選挙
来月に迫った参議院議員選挙に向け、釜萢敏先生の各都道府県への訪問も2巡目、3巡目に入り、郡市区等医師会への訪問も精力的に医師会役員総動員して行っています。私ども執行部も各都道府県並びに郡市区等医師会の代議員会や医師連盟の決起大会に訪問させて頂き、支援の拡大を図っております。
一方、今わが国の医療・介護・福祉は未曾有の危機に直面しています。人口減少、高齢化の進行に加え、急激な物価高騰、賃上げへの対応に各施設は困難を極めています。既に病院や介護施設の廃院によって、必要な医療・介護の提供が困難な地域も出現しています。
このような現状に鑑みれば、今回の参議院議員選挙は今までの選挙と異なり、わが国の医療・介護・福祉の未来を問う選挙と認識しております。
わが国の未来のために、更なる代議員諸氏のご協力、ご支援をお願い申し上げます。

9. おわりに
 結びに当たり、今後とも国民の生命と健康を守るべく、本会執行部に対しまして皆様からの絶大なるご支援を賜りますよう切にお願い申し上げまして、私からのあいさつとさせて頂きます。

問い合わせ先:日本医師会広報課 TEL03-3946-2121(代)
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/128707/157/128707-157-871b0b0ce02d0f9dfe5fa1d1744adba9-1280x720.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]公益社団法人 日本医師会
日本医師会は、47都道府県医師会の会員をもって組織する学術専門団体です。
「医道の高揚、医学及び医術の発達並びに公衆衛生の向上を図り、社会福祉を増進すること」を目的に、医師の生涯研修に関する事項、地域医療の推進発展に関する事項、保険医療の充実に関する事項など、さまざまな活動・提言を行っています。

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