
制御AIのリーディングカンパニーである株式会社エイシング(本社:東京都港区、代表取締役 CEO:出澤 純一)は、マルチエージェント強化学習に基づく協調制御AIに関する技術についての特許を取得しました。製造業、エネルギー・インフラ領域における、複雑かつ大規模なシステム等での運用効率の向上や省エネルギーの実現に貢献する技術として、活用が期待されます。
■ 協調制御AIとは
協調制御AIは、複数の機器が互いに協力しながら、システム全体を最適に制御するAI技術です。
以下に、本技術の主な特長をご紹介します。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/26145/64/26145-64-04beee8e348ab6e35628c6777340e6d2-1704x645.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
<協調制御AIの特長>
1. 複雑かつ大規模なシステムに対する高精度な最適制御
本技術では、システム全体を多数のAIエージェントに分散して制御を担わせることで、人手では管理が困難な大規模・高次元な制御対象においても、効率的かつ安定的な最適化が可能となります。各エージェントが局所的な情報に基づいて行動を決定しつつ、全体としては協調的に目的を達成するため、工場設備、エネルギー供給網、スマートインフラ等の複雑なシステム制御に極めて有効です。
2. 柔軟な拡張性と新規設備への即時対応
従来の単独制御では、新たな機器や設備の導入時に全体の再設計が必要となるケースが多く、運用負荷や開発コストが課題でした。当社の協調制御AIでは、新しい機器を追加した際も、その機器専用のAIエージェントを追加学習することで即時対応が可能となっており、システム全体の再構築を必要としません。これにより、スケーラビリティの高い運用体制を実現します。
3. 機器間の自律連携による全体最適の達成
複数のAIエージェントがそれぞれの機器を制御しつつ、相互に連携・補完し合う構造により、システム全体としての効率・安定性を最大化します。例えば、ある設備に不調が生じた場合には、他の設備が即座にその役割を代替し、全体のパフォーマンスを維持するよう自律的に調整が行われます。このように、局所最適に陥ることなく、全体最適を志向する制御アーキテクチャを可能としています。
■単独制御AIと当社 協調制御AIの比較
マルチエージェント強化学習の代表的ベンチマーク Multi-Particle-Environment(MPE)の「Simple Spread」タスクを用い、単独制御AIと当社 協調制御AIの性能を比較する実験を実施しました。当実験では、両モデルを同様の学習条件で訓練し、それぞれの獲得報酬を評価しています。エージェントが餌に近づくことが目的となっており、単独制御AIでは、各餌とエージェント間の距離に偏りがありますが(図1左) 、当社 協調制御AIではエージェント間で衝突を回避しつつ目標領域を効率的にカバーする戦略を早期に形成する様子も観測されています(図1右) 。
その結果、協調制御AIの最終報酬は単独制御AIと比較して39 %の相対的な性能改善が確認されました(図2)。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/26145/64/26145-64-c869fc1e9aa9e676158dfd7de02e8b81-2248x658.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
■協調制御AIの適用例
当社の協調制御AI技術やその他独自ノウハウを組み合わせることで、複雑なシステムにおいても制御の最適化を可能とし、エネルギー効率を大幅に向上させます。例えば、化学プラントの重合工程制御や、データセンターの冷却制御、電力アグリゲーション制御等の最適活用が挙げられます。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/26145/64/26145-64-870f7315bcec4ffebca306aeffcc4454-1393x626.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]