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CO2再資源化材料を用い、CO2排出削減と炭素除去を兼ね備えた 「次世代低炭素型半たわみ性舗装」を開発し試験施工に成功しました

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NEDO
従来の半たわみ性舗装と比較し CO2排出量を約 58%削減



 NEDOのグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発」プロジェクトの一環である「多様なカルシウム源を用いた炭酸塩化技術の確立(以下、本事業)」に、住友大阪セメント株式会社は幹事会社として、その開発に取り組んでいます。本事業では、すでに二酸化炭素(CO2)を資源としてリサイクルできる良質な人工石灰石の生成を実現しています。
 今般、住友大阪セメントは、本事業の成果物である「カーボンリサイクルセメント」および「人工石灰石」を利用し、株式会社NIPPO(社長:和田千弘、本社:東京都中央区)の協力の下、CO2排出削減と炭素除去を兼ね備えた「次世代低炭素型半たわみ性舗装」(以下、本製品)を開発しました。さらに、試験施工にも成功して実用化へのめどを付けました。
 本製品では、カーボンリサイクルセメントおよび人工石灰石を舗装構造物の使用材料とし、従来の半たわみ性舗装と比較して、CO2排出量を約58%削減することに成功しました。
 今後は、本製品の実現場での施工を重ねるとともに、さらなるCO2削減を目指し、技術開発を進め、2050年カーボンニュートラル達成に向け、舗装分野における温室効果ガスの排出量削減に貢献していきます。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/135644/111/135644-111-da11738e8bbdac40da759ab84254f32b-647x310.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図1 本製品のCO2削減効果のイメージ

1.背景
 住友大阪セメントは2021年度からグリーンイノベーション基金※1の本事業※2において、カルシウムを含む廃棄物とセメント工場の排ガス中のCO2から「人工石灰石」を製造するデュアル・リサイクル「炭酸塩化技術開発」と、この「人工石灰石」を原料とした「カーボンリサイクルセメント」の製造・コンクリートなどへの利用を目指す「炭酸塩利用技術開発」の二つの技術開発を進めています。
 カルシウムをアルカリ源とするセメント、コンクリートはCO2固定化ポテンシャルが高いこと、生成物となる炭酸塩が化学的に安定している、すなわち長期のCO2鉱物固定が可能なことからセメント系材料には大きなCO2削減が期待されています。一方、舗装分野でも、CO2排出量削減のためカーボンフリー電力やカーボンニュートラル燃料の使用ならびにアスファルト合材製造時の温度を低減させる技術など、さまざまな取り組みがなされています。
 このような背景の下、舗装分野でのさらなるCO2排出量削減に向けて、再資源化して生成した「人工石灰石」をセメント系材料とアスファルト舗装に利用することで、CO2排出削減と炭素除去を兼ね備えた半たわみ性舗装の開発を進めています。
 なお、本製品に利用した「カーボンリサイクルセメント」および「人工石灰石」の開発は、本事業の委託費約51億円の交付を受けて進められているものです。

2.今回の成果
【1】CO2再資源化材料を用い、CO2排出削減と炭素除去を兼ね備えた半たわみ性舗装の開発に成功
 塑性変形抵抗性に優れ、交差点付近やバスターミナルなど、車両が停止・発進する場所に適している半たわみ性舗装は、アスファルトの空隙にセメントミルクを浸透させた舗装です。今般開発に成功した本製品は、(1)半たわみ性舗装用セメントミルク材のセメント中のクリンカ比を低減することにより「CO2排出削減」を、(2)排ガス中のCO2を原料として再資源化・固定化した人工石灰石を増量材とした「カーボンリサイクルセメント」を半たわみ性舗装用セメントミルク材に使用し、母体となる開粒度アスファルト混合物にも人工石灰石を骨材の一部として利用することによってCO2固定化を実現しています。
 炭素除去については、セメント製品が大気中のCO2を吸収固定する速度を最大化するための独自の設計により、炭酸化反応の速度を従来品と比べ2倍以上に速め、舗装の施工中および供用期間中にCO2固定量を高めることに成功した「(3)ネガティブエミッション技術(NETs)※3」を実装することで実現しました。CO2排出量は(1)、(2)、(3)合わせて当社従来品と比較して、約58%の削減に成功しました。この実装する「ネガティブエミッション技術」は、舗装構造物の供用中、例えば20年程度の期間に継続的に機能し、単に従来通り「使うだけ」で発揮されます。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/135644/111/135644-111-38a106b48e28a664d5da3b63a19d660e-974x277.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2 ネガティブエミッション技術の効果(視覚的)比較

 また、半たわみ性舗装内部に固定された大気中のCO2は、供用後に解体して、路盤材などに再利用することにより、半永久的にCO2を固定、いわゆる長期貯留(CCS)に資する技術(NETs)となります。

【2】施工性・供用性について
 半たわみ性舗装は無筋構造物であるため、CO2を吸収・固定化したセメント部分のアルカリ性が消失しても鉄筋たの腐食を懸念する必要がありません。本製品はこの特徴に着目し、急速に炭酸化反応が進む「ネガティブエミッション技術」を実装し、さまざまな評価を繰り返した結果、施工性や舗装体としての構造特性、また、実際の車両走行による、わだち掘れ、ひび割れなども確認されず、半たわみ性舗装に要求される性能が従来品と同等であることを確認しています。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/135644/111/135644-111-874d0775563b8d43ae8a7b6301f9a59a-492x339.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図3 試験施工の状況(セメントミルクの注入) 

[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/135644/111/135644-111-41c826aa3615f34425a0929e1231e3bf-482x327.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図4 供用後の状況

 なお、本事業の実施はNIPPOに材料評価および試験施工に関しての協力を得て行いました。

3.今後の予定
 半たわみ性舗装の施工面積は、公共・民間合わせて年間約50万m2以上となり(住友大阪セメント推計)、仮に全てが本製品に置き換わったとすると、年間約2000t以上のCO2排出削減、これに加えて年間約130t以上の炭素除去につながることから、地球温暖化防止に資する効果も一定の規模となります。また、今後さらに、セメント工場の排ガス中のCO2から製造した人工石灰石をセメント原料としたカーボンリサイクルセメントを使用することにより、より一層のCO2排出削減が可能となります。NEDOと住友大阪セメントは、多様なカルシウム源を用いた炭酸塩化、利用技術を確立するとともに、社会実装を実現し、2050年カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。

【注釈】
※1 グリーンイノベーション基金
日本の掲げる「2050年カーボンニュートラル」に向けて、官民で野心かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などに対して研究開発・実証から社会実装まで最長10年間継続して支援する事業です。本基金事業はグリーン成長戦略で実行計画を策定している重点分野または「GX 実現に向けた基本方針」に基づく今後の道行きが示されている主要分野を支援対象としています。
特設サイト:グリーンイノベーション基金事業 https://green-innovation.nedo.go.jp/
※2 本事業
事業名:グリーンイノベーション基金事業/CO2を用いたコンクリート等製造技術開発/多様なカルシウム源を用いた炭酸
塩化技術の確立
事業期間:2021年度~2030年度
事業概要:CO2を用いたコンクリート等製造技術開発
https://green-innovation.nedo.go.jp/project/development-manufacturing-concrete-using-co2/
※3 ネガティブエミッション技術(NETs)
大気中のCO2を回収・吸収し、貯留・固定化することで大気中のCO2除去(CDR、 Carbon Dioxide Removal)に資する技術と自然のCO2吸収・固定化の過程に、人為的な工程を加えることで加速させる技術やプロセス(狭義)のことです。
(参考)経済産業省報道資料(2023年6月28日)2050年カーボンニュートラル(CN)の達成に必要な、ネガティブエミッション技術(NETs)の社会実装・産業化に向けた方向性をとりまとめました。
https://www.meti.go.jp/press/2023/06/20230628003/20230628003.html

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