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ユニセフなど新報告書 世界の飢餓、減少傾向の一方 アフリカと西アジアでは増加 【プレスリリース】

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公益財団法人日本ユニセフ協会
SDGs目標2の達成、極めて困難



[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2560/5176-2560-1c58ac4dc81e4cc38a6e2b5d29552a53-1536x1026.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
ワガドゥグにある保健センターで、栄養治療食を口にする生後11カ月のカリルちゃん(ブルキナファソ、2025年6月17日撮影) (C) UNICEF/UNI829230/

【2025年7月28日 アディスアベバ(エチオピア)発】
ユニセフ(国連児童基金)など5つの国連機関が発表した最新の報告書「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI 2025)」によると、2024年には世界人口の約8.2%(約6億7,300万人)が飢餓を経験しており、2023年の8.5%および2022年の8.7%から減少しました。その進展はすべての地域で一様ではなく、アフリカの大部分と西アジアの地域では飢餓が引き続き増加した、と報告書は明らかにしており、不均衡な進展に警鐘を鳴らしています。

アディスアベバで開催された第2回国連食料システムサミット・ストックテイク会合(UNFSS+4)に合わせて発表された本報告書の推計によると、2024年には6億3,800万人から7億2,000万人が飢餓に直面しました。6億7,300万人という点推定*に基づけば、2023年と比べて1,500万人、2022年と比べて2,200万人減少したことになります。



[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2560/5176-2560-436bbc80cfc7e0d4602a92da5265b2d8-246x352.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
「世界の食料安全保障と栄養の現状(原題:The State of Food Security and Nutrition in the World (SOFI 2025)」

減少傾向は歓迎すべきものですが、最新の推計値は依然として新型コロナウイルス感染症のパンデミック前の水準を上回っています。さらに近年続く食料価格の高騰が、食料安全保障の回復を遅らせています。


南アジアとラテンアメリカでは顕著な改善が見られます。アジアにおける栄養不足蔓延率は、2022年の7.9%から2024年には6.7%(3億2,300万人)に減少しました。さらに、ラテンアメリカ・カリブ海諸国地域全体における栄養不足蔓延率は、2020年のピーク時の6.1%から2024年には5.1%(3,400万人)に減少しました。


[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2560/5176-2560-6afbba7dc3bd56ab0a9ebc87473f597b-1536x1024.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
北ダルフール州にあるユニセフ支援の保健センターで、上腕計測メジャーを使った栄養状態の検査を受け、赤色=重度の急性栄養不良と示された子ども(スーダン、2025年5月4日撮影) (C) UNICEF/UNI790144/Jamal
残念ながらこの改善傾向とは対照的に、アフリカと西アジアでは、長期的な食料危機に直面している多くの国々を含めて、飢餓が着実に増加し続けています。2024年時点で、アフリカで飢餓に直面する人口の割合は20%を超え、3億700万人が影響を受けています。一方、西アジアでは2024年に人口の約12.7%、つまり3,900万人以上が飢餓に直面した可能性があります。

2030年までに5億1,200万人が慢性的な栄養不足に陥る可能性があると推計されており、その 60% 近くはアフリカで発生すると予測されています。ユニセフをはじめとする5機関は、このことが、SDGsの目標2「飢餓をゼロに」の達成が極めて困難な課題であることを浮き彫りにしている、と警鐘を鳴らしています。





栄養目標の進捗状況
・ 中程度または重度の食料不安(1 年のうちのある期間に十分な食料を入手できない経験をした人の割合)の世界的な蔓延率は、2023年から2024年にかけて28.4%から28.0%へとわずかに低下し、23億人となりました。これは、パンデミックが発生する前の 2019 年よりも 3 億 3,500 万人、また「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された 2015 年よりも 6 億 8,300 万人増えています。

・子どもの栄養指標のうち、5 歳未満の子どもの発育阻害(スタンティング)の割合は、世界的な前進を反映して、2012 年の 26.4% から 2024 年には 23.2% に低下しました。


[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2560/5176-2560-66345aa905a2e33643ccaea00d9a76e0-1536x1024.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
パナマにある学校の売店で、スナックを買う子どもたち(パナマ、2024年4月9日撮影) (C) UNICEF/UNI629732/Rai - Highway Child

・子どもの過体重(2012 年は 5.3%、2024 年は 5.5%)および消耗症(2012 年は 7.4%、2024 年は 6.6%)の割合は、ほぼ横ばいのままです。


・完全母乳育児で養育されている6カ月未満の乳児の割合は、健康上の利益に対する認識の高まりを反映し2012年の37%から2023年に47.8%へと、大幅に増加しています。


・成人の肥満の割合は、2012年の12.1%から2022年には15.8%へと増加しました


・新しいデータによると、15歳から49歳の女性における貧血の有病率が、2012年の27.6%から2023年には30.7%に増加しています。


・本報告書で導入された新しい SDG 指標の推定値によると、最低限の食事多様性を満たしているのは、6 カ月から 23 カ月の子どもの約 3 分の 1、15 歳から 49 歳の女性の 3 分の 2 です。


食料価格の上昇
[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2560/5176-2560-12bf2ac8a894d6a015aa55e43860af1e-1536x1024.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
マリ南部のファラバで、娘を抱くソクラさん。食料不安や栄養不良、気候変動の影響など、コミュニティが抱える問題を住民同士の協力で対応しようとする取り組みに参加している(マリ、2024年11月25日撮影) (C) UNICEF/UNI701969/Borra
本報告書は、2021年から2023年にかけて起きた食料価格急騰の原因と影響、および、それが食料安全保障と栄養にもたらす影響についても分析しています。

報告書は、大規模な財政・金融介入を特徴とするパンデミックに対応する世界的な政策が、ウクライナでの戦争や異常気象の影響と相まって、近年のインフレ圧力の高まりにつながったと強調しています。 

この食料価格の高騰は、パンデミック後の食料安全保障と栄養分野における回復を妨げてきました。2020年以降、世界の食料価格上昇率は一貫して消費者物価上昇率を上回ってきました。この差が最大になったのは2023年1月で、食料価格上昇率は13.6%に達し、総合的な物価上昇率(8.5%)を5.1ポイント上回りました。



低所得国は、食料価格の高騰により特に深刻な打撃を受けています。世界全体の食料価格上昇率の中央値は、2020年12月の2.3%から2023年初頭には13.6%に上昇しましたが、低所得国ではさらに高まり、2023年5月に30%に達しました。


世界的な食料価格の上昇にもかかわらず、健康的な食事をとれない人の数は2019年の27億6,000万人から2024年には26億人へと減少しました。ただし、この改善は不均衡なかたちで現れました。健康的な食事を摂取するコストが、高所得国よりも著しく上昇した低所得国では、健康的な食事をとることができない人の数が2019年の4億6,400万人から2024年には5億4,500万人に増加しました。インドを除く下位中所得国では、同期間に7億9,100万人から8億6,900万人に増加しました。


報告書は、政策を組み合わせて食料価格の高騰に対応することを推奨しています。これには、脆弱な世帯を保護するための、社会的保護プログラムなど的を絞った期限付き財政措置や、インフレ圧力を抑制するための信頼性と透明性の高い金融政策が含まれます。また、生産性と回復力を高めるために、農産食品の研究開発、輸送および生産インフラ、市場情報システムといった分野への戦略的投資も含まれます。

ユニセフ事務局長の発言
ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは次のように述べています。

「すべての子どもには成長し、健やかに育つ権利があります。しかし、5歳未満の子どもの1億9,000万人以上が低栄養状態で苦しんでおり、彼らの身体的および精神的な発達に悪影響が及んでいます。これは、子どもたちから、潜在的な可能性を最大限に発揮する機会を奪っていることになります。



[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/5176/2560/5176-2560-04265f199a67291412a2a41215dc54eb-1536x1024.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
カーボデルガード州の農村地帯で、子どもの発達や栄養について学ぶ集まりに、1歳半の息子を連れて参加した父親(モザンビーク、2025年4月3日撮影) (C) UNICEF/UNI806119/Franco

本報告書は、食料価格の高騰により何百万もの家庭で栄養不安が深刻化するおそれがあり、世界で最も幼く、最も脆弱な子どものために緊急の行動が必要であることを強調しています。私たちは、政府、民間部門、コミュニティと協力し、脆弱な家庭が、子どもの成長に必要な栄養を十分に含む手頃な価格の食料を入手できるようにしなければなりません。これには、社会的保護プログラムの強化、母乳育児の重要性や栄養価の高い地元産の食品について親たちに教えることも含まれます。すべての子どもが、人生の最善のスタートを切るために」

* * *

■ 注記
*点推定値は、推定の根拠となる情報に基づいて、可能な値の範囲に含まれる値のうち、最も可能性が高いとみなされる値です。

* * *

■ 2025年版「世界の食料安全保障と栄養の現状」報告書(SOFI 2025)はこちらからご覧いただけます。
https://openknowledge.fao.org/server/api/core/bitstreams/2d3d9fee-5d07-490c-8cec-f3fa5960b101/content/cd6008en.html#gsc.tab=0


* * *

■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます


■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、アドボカシーを担っています。(https://www.unicef.or.jp

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