
首都圏にある全国都道府県のアンテナショップは、観光パンフレットなどの観光情報の入手場所として大いに利用されています。 ブランド総合研究所では昨年、東京都内にある全国の道県のアンテナショップ 34 店舗を対象に行った「アンテナショップ利用実態調査2025」の結果から、観光情報の利用状況について、新たに集計・分析したところ、各県の観光情報を得ることを目的として来店している人が多いことが明らかになりました。
つまり、これから訪れる秋の行楽シーズンに向けて、都内のアンテナショップは旅行前の“下調べの場”としての役割が一段と高まりつつあることになります。もちろん、各店で各地の商品や食などを疑似体験した上で、ご当地での本物の文化を体験するという行動は少なくありません。国内旅行や地域特産品への関心はこれまで以上に高まっています。
昨年の調査結果を改めて振り返ることで、地域の魅力発信の手法や消費者の関心の変化を確認でき、これからの観光・流通の動向を考えるうえで参考になるといえるでしょう。
飲食と同じくらい観光情報収集に利用
アンテナショップ来店時の行動を尋ねた設問では、買い物目的に加えて「情報収集」のために訪れる人が意外に多いことが明らかになった。具体的には、各店を訪問した人の中で「観光パンフレットや情報を得た」と回答した人は全34店平均では17.0%となった。全店の中でその回答率が最も高いのは新橋にある「奈良まほろば館」で25.8%だった。
同様に、「市町村パンフや情報を得た」は34店平均で11.2%、「移住・定住情報を得た」は7.0%となっており、来店者がアンテナショップを情報入手手段として活用している実態が明らかになった。
特に観光情報の取得は「飲食をした」(17.3%)と同水準であり、アンテナショップが単なる購買の場にとどまらず、地域の魅力を発信する“情報拠点”として活用されている姿が浮かび上がった。各地の商品や食をめぐることが、旅行の目的として定着していることも大きな要因といえる。
食品購入(65.6%)という圧倒的多数の行動に比べれば目立ちにくいものの、こうした情報収集行動は、ショップの役割を「販売」から「地域PR」へと広げている重要な要素といえる。近年では、旅行会社などの窓口が少なくなってきており、今後、観光や移住といった幅広い情報提供をさらに強化することで、地域と来店者をつなぐ拠点としての価値が一層高まることが期待される。実際に、滋賀県などでは「観光コンシェルジュ」を常駐させるケースも出てきている。
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都内にある都道府県のアンテナショップに来館した人がとった行動(%)
観光情報最多は奈良、来場者の4人に1人が利用さて、来店者が観光情報の入手している割合が最も多いのは奈良県の「奈良まほろば館」で、同店では2021年の移転リニューアルオープンを機に、観光案内コーナーを設置し、観光コンシェルジュが要望に応じて観光案内をしてくれる。
2位は山梨県のCave de ワイン県やまなし(ランキング表では省略して表示)。
東京駅の八重洲北口に位置する同店は、日本を代表するソムリエ・田崎真也氏監修が監修し、「食の体感拠点」として2020年にリニューアル。今では物販より、レストランとワインセラーとしての位置づけが濃くなっている。
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各アンテナショップの利用者の中で、「観光パンフレットや情報を得た」と答えた人の割合(%)が高い店舗
次に、市町村の情報を入手している割合が最も多いのは青森県の「あおもり北彩館」で、こちらは青森ねぶた祭に関する情報や商品に力を入れていたことが要因だろう。ただし、同店は2025年7月31日をもって閉店しており、都内に後継拠点を整備する方針で、2027年度の開館を目指しているとのこと。
2位の山口県の「おいでませ山口館」では、公式ホームページから山口県観光サイト「おいでませ山口へ」にアクセスできるようになっており、県としても情報発信に力を入れている様子。
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各アンテナショップの利用者の中で、「市町村のパンフレットや情報を得た」と答えた人の割合(%)が高い店舗
一方、移住・定住の情報を入手している割合が最も多いのは山梨県の「Cave de ワイン県やまなし」。ランキング5位以内に首都圏から数時間で行ける山梨県と茨城県がランクインしているのは、在宅ワークなどが定着する中で、週末移住などの新しい生活スタイルの注目度が高まっている影響とみられる。
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各アンテナショップの利用者の中で、「移住・定住に関する情報を得た」と答えた人の割合(%)が高い店舗
来店頻度の上昇が、情報入手につながっている?
こうした情報収集手段としてアンテナショップが活用されていることは、店舗を繰り返し活用する「リピーター」が増加していることにもつながっていそうだ。
首都圏在住の方を対象に、東京にあるアンテナショップの訪問経験を訪ねたところ、1年間に1店以上に来店・利用したことがある人(以下訪問率と称す)は合計27.8%で、前回(およそ1年前)の31.0%より減少した。ところが、「週1回以上」は3.5%で、同2.7%より増加している。なお、回答者1人当たりの訪問回数は5.31回/年(未利用者を含む)で、これは前回の4.68回より増加している。つまり、アンテナショップでは、同じ店に何度も繰り返し訪問するヘビーユーザーの割合が増えている可能性が高くなっていることになる。
ちなみに、訪問経験のある人に限って年間訪問回数を算出すると19.1回となり、月に1回以上は訪問していることになるが、これは「ほとんど毎日」というヘビーユーザーが底上げしている結果だ。
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調査概要
「第8回アンテナショップ利用実態調査2025」は、20歳~79歳の男女を対象に、2024年10月18日から11月2日にかけてインターネットで調査を実施し、首都圏(1都3県に住む計20,000人を対象として実施し、男女および年代(60歳~79歳は「60代以上」とした)別にそれぞれ均等に回収した。その中から、不完全回答など信頼性の低い回答を除く計19,784人の有効回答をもとに分析した。
調査対象は東京都にある、道県のアンテナショップで34店。市町村や一般企業が事業主体となっている店舗は対象外とした。
回答者には、それぞれの店舗への訪問経験や、食品分野別の購入経験、併設している飲食店の利用経験などについて聞くとともに、各アンテナショップが運営しているECサイト(ネット通販)の利用経験や、アンテナショップに望むことなどの設問を加えている。
・調査方法 インターネット調査
・調査対象 登録調査モニター(約450万人)から首都圏在住で20歳~79歳の男女
・総回収数 20,000人 (各年代別に男女2000人ずつを回収。60代以上には70代を含む)
・有効回答数 計19,784人 (不完全回答など信頼性の低い回答は集計の対象外とした)
・調査時期 2024年10月18日~11月2日
・調査項目 全体指標: 都内アンテナショップの利用頻度
各店の利用状況: これまでの訪問経験、過去1年間の来店状況
店内での行動: 食品・工芸品の購入、イベント参加、観光情報入手率など
食品分野別の購入: 肉製品、魚介類、米、スイーツなど分野別の購入率
来店意欲: 各店の再来店意欲、新規来店意欲
飲食経験: 併設飲食店の利用率
ECサイト利用: ECサイト(ネット通販)の利用率
調査データのご活用・オプションについて
本パッケージでは、アンテナショップの実態把握をはじめ、集客戦略・商品開発のヒントとなるデータを提供しています。
<調査報告書>
・報告書冊子 (価格は税込)
総合報告書: 98,000円 総合報告書(約180ページ)
データCD: 33,000円 ※調査結果のデータ(EXCEL)
個別調査: 450,000円~ (各店来場者への調査)
企業様のニーズに応じたカスタマイズ調査も承っております。
各オプションにつきましては、課題や予算などに合わせてカスタマイズが可能です。お気軽にお問合せ下さい。
詳細については、弊社HP(特設サイト)https://news.tiiki.jp/antenna2025 をご確認下さい。
株式会社ブランド総合研究所について
「都道府県・魅力度ランキング」など自治体の評価指標として全国で利用されている「地域ブランド調査」を毎年実施している、地域や企業の調査およびコンサルティングを行う専門企業です。同調査以外にも、地域ブランドに関する調査やシティプロモーションなどの戦略立案を実施しています。また、英国ギネスワールドレコーズの公式パートナーとして各地でのギネス世界記録への挑戦サポートも行っています。
・本社 東京都港区虎ノ門1-1-20 虎ノ門実業会館3階(〒105-0001)
・代表者 代表取締役 田中章雄
・資本金 2500万円
・設立 2005年11月
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