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心不全バイオマーカー NT-proBNP測定用体外診断用医薬品「GLEIAチェックNT-proBNP(L)」
大阪大学発のスタートアップ、株式会社イムノセンス(本社:大阪府吹田市、代表取締役:杉原宏和)は、独自の超小型・高感度イムノアッセイ技術「GLEIA(グライア)」を用いた心不全バイオマーカー NT-proBNP測定用体外診断用医薬品「GLEIAチェックNT-proBNP(L)」について、クラスII体外診断用医薬品の製造販売認証を取得しました。NT-proBNPは心臓負荷の上昇に伴い血中で増加し、心不全の診断・重症度評価・予後推定に広く用いられる指標です。
「GLEIAチェックNT-proBNP(L)」は使い切りタイプのセンサーで、すでに薬事届出済みの小型・軽量専用測定器「GLEIAチェックリーダー」と組み合わせて使用することで、病院・診療所から訪問診療まで「心不全のその場検査」を実現します。
今回の認証は、大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」での展示で好評を博した当社の提案「度重なる検査通院が困難な心不全患者に向けた、医師指導に基づく在宅自己測定」の実現に向けた大きな一歩ともなります。
なお、本成果は国立循環器病研究センター 産学連携本部およびバイオバンクの全面的なご支援のもとで得られたものです。
販売名:GLEIAチェックNT-proBNP(L)
一般的名称:ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメントキット
(クラスII, コード:85002000)
認証番号:307AAEZX00041000
認証日:2025年10月9日
対応測定器:GLEIAチェックリーダー(届出番号:27B3X00339000001)
1.本認証の意義:心不全診療の“その場での意思決定”を支える
世界では約6,400万人が心不全に罹患しており、適切な管理がなければ発症後5年以内に約半数が亡くなるといわれています。また、心不全患者は入退院を繰り返すことが多く、一説によれば退院後半年以内に約半数が再入院します。このように、心不全は患者の生活の質(QOL)低下と高額な医療費負担に直結し、社会的にも経済的損失が著しい疾病です。この状況を改善するためには、心不全の早期発見や、適切な介入による予後改善が極めて重要です。
そこで近年、心不全バイオマーカー NT-proBNPの活用がますます注目を集めています。NT-proBNPは心臓負荷の上昇に伴い血中で増加し、心不全の診断・重症度評価・予後推定に広く用いられる指標です。
一次医療(プライマリケア)でのNT-proBNP測定の有用性は近年の指針でも強調されており、鑑別診断やフォローアップを迅速化することが示されています。また、確定診断後の心不全患者の在宅療養現場で、医師が患者宅でNT-proBNPを測定し、即時に治療方針(投薬量の調整、外来・入院の判断等)を決められることは、増悪の早期把握と介入タイミングの最適化に直結します。
今回認証されたセンサーを、小型・軽量(CDケースサイズ、180g)でどこにでも持ち運びが容易な専用測定器と組み合わせることで、病院の外来・救急から診療所、さらに訪問診療の現場まで、採血後その場で定量結果を得て診療方針を即時に判断できる環境が整います。
2.繰り返しの「その場検査」にも耐える小型・低コストと、「遠隔診療×自己測定」への拡張
本認証品は、使い切りセンサ×小型専用測定器による高感度かつ低コストの定量測定を実現します。これにより、月次・隔週などの定期的測定を現実的なコストで回すことが可能で、心不全の発症や増悪リスクを早期に捉える継続モニタリングが可能になります。なお、本認証品はクラスIIの医療用体外診断用医薬品であり、医療従事者が行う臨床検査として、病院・診療所に加え訪問診療の場面でも現行の表示・適用範囲のままで使用できます。
また、検査・通院への地理的/経済的障壁が大きい地域で、その場検査×遠隔フォローの組合せは、診断遅延の縮小と治療ギャップの是正に寄与し得ます。このことは、米国の心不全ガイドライン等でも強調されている「医療資源や社会的要因への配慮とアクセス改善の重要性」にも合致するものです。
当社は、将来的に遠隔モニタリングと患者宅での医師指導に基づく自己測定を一体化し、在宅療養における治療の迅速最適化をデータに基づいて支援することを目指します。まずは医療現場での活用を起点に、遠隔診療×在宅自己測定の社会実装に向けた制度面・運用面での検証(安全性・有効性・使用性・遠隔運用手順等)を段階的に進め、2028年までの社会実装を目標としています。
3.今後の展開
当社は、心不全を皮切りに、医療現場ニーズに基づく測定項目の拡充・使用性向上・高精度化を継続し「臨床現場→医師指導に基づく在宅自己測定(Test@HOME)」の段階的な実装を進めます。心不全以外の循環器系疾患の「その場検査」やウェルネス領域、アニマルヘルス領域も順次拡大し、「いつでも・だれでも・どこでも医療グレードの迅速検査」にアクセスできる世界の実現を目指して参ります。
イムノセンス独自の免疫測定技術「GLEIA」とは
「GLEIA」は、Gold-Linked Electrochemical Immunoassay(金結合電気化学免疫測定法)の略称です。疾患マーカーを二つの抗体ではさむ“サンドイッチ免疫測定法”において、免疫反応の結果を電気信号に変換して読み取る当社独自の測定方式です。一方の抗体を小さな電極に固定し、もう一方の抗体に金の微粒子(ナノ粒子)を付けておくと、試料中に目的の疾病マーカーが多いほど電極の近くに金が集まります。この集まり具合を電気化学的に測り、濃度を数値化します。光学系を使わないため装置を小型・低コスト化しやすく、短時間で高感度な「その場検査」を可能にします。
株式会社イムノセンスについて
イムノセンスは2018年に大阪大学発ベンチャーとして設立以来、GLEIA技術を応用した製品開発を順調に継続し、2021年8月に体外診断用医薬品製造販売業許可を取得、2022年5月にクラスI 体外診断用医薬品の薬事届出を完了、2023年9月に第三種医療機器製造販売業を取得、2025年3月には初のクラスII 体外診断用委託品の薬事認証を取得しました。イムノセンスは、独自の免疫測定技術「GLEIA」により「いつでも・だれでも・どこでも医療グレードの迅速検査」を享受できる世界を目指して参ります。
参考情報
国際共同科学声明:「Natriuretic Peptides: Role in the Diagnosis and Management of Heart Failure」(HFA-ESC/HFSA/JHFS, 2023)。NT-proBNPの診断・管理における中心的役割を包括整理。
STRONG-HF試験:退院早期の集中フォローとバイオマーカー活用により、180日での死亡・再入院の低減を示唆。Lancet 2022 Dec 03;400(10367):1938-1952
AHA/ACC/HFSA 2022心不全ガイドライン:NT-proBNP測定の位置づけ、格差是正・アクセス改善の重要性。
心不全の疫学:世界有病者は概ね6,400万人。Cardiovasc Res. 2023 Jan 18;118(17):3272-3287
日本心不全学会声明(2023改訂):BNP/NT-proBNPの実臨床での活用に関する日本語声明。
https://www.jhfs.or.jp/statement-guideline/statement20231017.html
会社概要
会社名:株式会社イムノセンス
設立:2018年1月
本社:大阪府吹田市岸部新町6番1号
国立研究開発法人国立循環器病研究センター
オープンイノベーションラボ 30602
代表者:代表取締役 杉原 宏和
資本金:3,000万円
URL:https://immunosens.com/
お問い合わせ先
株式会社イムノセンス 広報担当
E-mail:immunosens●immunosens.com(●を@に変えてご使用ください)
注記:本リリースは国内の関連法令・ガイドラインに基づく情報提供を目的としており、診断・治療の最終判断は医師が行います。記載の外部文献・指針はエビデンスの背景情報です。