アメリカ空軍の制服組トップ、CQ・ブラウン参謀総長は、下士官兵トップの空軍最先任上級曹長にジョアンヌ・S・バス上級曹長を指名、2020年8月14日にアンドルーズ統合基地で就任式が開催されました。バス氏は女性、そしてアジア系アメリカ人として初めての空軍最先任上級曹長となります。
アフリカ系アメリカ人として初めて空軍参謀総長に就任したCQ・ブラウン大将。その右腕となる下士官兵トップの最先任上級曹長にも、空軍始まって以来の人物を指名しました。
新たに最先任上級曹長に就任したジョアンヌ・S・バス(JoAnne S. Bass)上級曹長は、1993年に空軍へ入隊。ノースカロライナ州ポープ空軍基地の第72戦闘飛行隊からキャリアをスタートさせ、作戦システム部門を中心に経験を重ねてきました。
バス上級曹長が参加した主要な作戦としては、湾岸戦争後の中東作戦「サザン・ウォッチ」やイラク戦争、アフガニスタンでの「不朽の自由作戦」などでの作戦面におけるサポートがあります。2015年には、テキサス州グッドフェロー空軍基地に所在する第17訓練航空団の上級部隊最先任上級曹長に就任。2018年にはその上級部隊である、第2空軍の上級部隊最先任上級曹長に就任し、2020年8月まで務めていました。
そして2020年8月、ライト空軍最先任上級曹長に代わり、CQ・ブラウン空軍参謀総長より第19代空軍最先任上級曹長への指名を受けたバス上級曹長。就任式では配偶者であるラーン・バス氏から、空軍最先任上級曹長の階級章がついた上着を着せてもらいました。
就任あいさつに立ったバス最先任上級曹長は「27年前、私は人生の目標を探すため、4年間だけのつもりで空軍に入隊しました。まさか今日、自分が第19代空軍最先任上級曹長になろうとは夢にも思っていなかったんです」と、入隊当時を振り返り語っています。
さらに、CQ・ブラウン空軍参謀総長が就任あいさつで「偉大なる先人たちの努力が道を切り拓いてくれた」と語ったことを引き合いに出し「私の場合もそうです。私の前を歩いてくれた数多くの女性たちのおかげで、今日この私がここまで歩いてこられたのだと思います」と、先人たちに感謝の言葉を口にしています。
また、バス最先任上級曹長は「私たちアメリカ空軍は今、歴史の最先端に位置しています。初めてのアフリカ系アメリカ人参謀総長や、初めての女性かつアジア系アメリカ人最先任上級曹長が誕生したという歴史的瞬間だけでなく、私たちすべてのアメリカ人が、この素晴らしい機関において自分自身を見つめることができるような基盤を作ることを目標に置いています。誰もが最先任上級曹長や参謀総長、空軍長官、もしくは司令官や先任曹長になるなんて思いもしないでしょうが、この歴史的瞬間は皆さんのためのものなんです」と、不可能だと思えたことが可能になるんだ、という気持ちを共有してほしいとも語っています。
バス最先任上級曹長による感謝の言葉は、先代の参謀総長であるゴールドファイン大将や、先代の空軍最先任上級曹長のライト上級曹長にも「お2人のもとで働けて、とても名誉に思っています」と捧げられました。
バス最先任上級曹長の配偶者であるラーン・バス氏は、元陸軍上級曹長。彼女を評して「いつも私は『安易で良くないこと』よりも『大変だけど正しいこと』を選んで、と言われてきました」とコメント。そして「私は空軍の皆さんに、同じく『大変だけど正しいこと』を選んで欲しいと考えています。正しいことをするというのは、いつだって苦難に見舞われるものなのです」との言葉を贈っています。
同じく女性のバレット空軍長官は、バス最先任上級曹長に対し「あなたの卓越した軍歴は、第19代空軍最先任上級曹長として十分に値するものです。あなたとともに、空軍を未来へと導いていくのを楽しみにしています」と期待のコメントを贈っています。
同時に、バレット空軍長官はゴールドファイン前空軍参謀総長、ライト前空軍最先任上級曹長を記念した新しい褒章「ゴールドファイン・ライト・インクルーシブ・リーダーシップ・アワード」の創設を発表しました。これは任務を成功に導いた最高の指揮官チームに対して贈られるものになるといいます。
史上初のアフリカ系アメリカ人参謀総長と、女性かつアジア系アメリカ人として初めての空軍最先任上級曹長。新しい歴史の扉を開いたアメリカ空軍が、どのようなリーダーシップのもと活動していくのか、今後の動きに注目です。
<出典・引用>
アメリカ空軍 ニュースリリース
Image:USAF
(咲村珠樹)