コカ・コーラが森も作っている、と聞くと、ちょっと不思議な感じがしませんか?コカ・コーラは各種飲料を製造販売していることもあり、自分たちにゆかりの深い「水資源」の保護活動に力を入れているそうです。

 日本コカ・コーラとコカ・コーラシステム関連会社が「環境2020年目標」として行っている活動のうち、水資源保護活動は重点項目。製品の製造に使用する量と同じ量と同じくらいの水を自然に還元するという「ウォーター・ニュートラリティー」を目指して、全国のボトリング会社が一丸となって取り組んでおり、目標年の4年前倒しとなる2016年末に達成したそうです。今回は日本コカ・コーラのホルヘ・ガルドゥニョ社長も参加して11月29日に行われた、森林保全活動の様子をご紹介します。

 活動が行われたのは、宮崎県えびの市。コカ・コーラウエストプロダクツのえびの工場の近くです。川内川を眼下に望むえびの工場は「グリーンパークえびの」という名前で呼ばれ、広いフラワーガーデンや芝生の広場などもある、緑豊かな工場。背後には、えびの市と熊本県人吉市の境である加久藤峠を越える「えびのループ橋(霧の大橋)」が見えます。この工場では資源の再利用も行われていて、工場の製造工程から出るコーヒー殼や茶殻を業者を通じて100%リサイクルし、肥料や家畜の飼料として再利用しています。この肥料は、工場のフラワーガーデンにも使われているとのこと。秋(10月)にはコスモスの花、夏(7月)は2万5000本ものヒマワリが咲き乱れます。


 活動にやってきた場所は、工場より少し高いところにある「えびの城山 さわやか自然の森」。眼下にはえびの市街が見えます。えびの市は数十万年前の噴火でできた、巨大な「加久藤カルデラ」の中にあり、この森はその外輪山なんだとか。この山の向こうは熊本県人吉市です。

 この森林は2014年11月に、コカ・コーラウエスト株式会社が宮崎県、えびの市、西諸地区森林組合、そして麓(ふもと)共有林と協定を結んで、10年の歳月をかけて共に森林づくりを行うと宣言した場所だとのこと。えびの市にはもう一ヶ所、えびの市街を挟んで反対側に見える末永地区に、2008年からやはり宮崎県、えびの市、西諸地区森林組合と協定を結んだ「えびの さわやか自然の森」があります。

 今回の森林保全作業を行なったのは、日本コカ・コーラ株式会社のホルヘ・ガルドゥニョ社長をはじめ、コカ・コーラシステムの社員総勢320名。いくつかのグループに分け、グループごとに植林、間伐、下草刈りの仕事に従事しました。ここはいわゆる「里山」なので、原生林と違い、常に人の手を入れて管理していかないと逆に荒廃してしまいます。定期的に下草を刈り、間伐をして日光を導入し、密度の低い別の場所では植林をするという作業が必要です。


 一見簡単そうに見えますが、斜面で体を支えながら作業するのはなかなかの重労働。最近林業に従事する人が減っているという話を聞きますが、こういう作業をしている林業の方の苦労を実感します。


 作業を終えて、ガルドゥニョ社長は次のようにコメントしました。

 「自社の事業活動のあらゆる側面において、日本の皆様から愛される企業であるために、引き続き事業活動を通じてお客様と共通の価値を作りながら、サスティナブルな地域社会づくりに貢献してまいります」

 作業に参加した社員の方からは、こんなコメントが。

 「自然を感じられることってすごく貴重だなって思う。こういう現場自体を見るのが初めてだったので、すごく勉強になりました。また普段オフィスで働いているので、このような自然に囲まれてリフレッシュすることもできたし、今後の仕事に活かしていきたい」

 この「えびの城山 さわやか自然の森」と「えびのさわやか自然の森」では、えびの市役所の農林整備課林務係を通じて、親子や一般の人を対象にした環境体験学習(下草刈りや枝打ちの体験など)も行なっているとのこと。最近では11月11日に「えびの さわやか自然の森」で行われました。「えびの城山 さわやか自然の森」の一角には竹林もあるので、春には竹林でのたけのこ収穫体験もあるそうです。

 自社の水源を保全するという目的もありますが、長期にわたって地元と協力し、ともに山林を管理していくという取り組みは素敵ですね。水源域を守る活動は、全国日本コカ・コーラ株式会社およびコカ・コーラシステム関連会社でそれぞれ行われているとのことなので、興味を持った方は、お近くのコカ・コーラシステム関連会社を調べてみるといいかもしれません。

(咲村珠樹)