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【新作アニメ捜査網】第37回 『天保異聞妖奇士』から『魔乳秘剣帖』まで 時代劇アニメ大全

ここ数クール、時代劇アニメが次々と放送または上映されています。時代劇アニメは1960年代以降制作され続けていますが、今回の「新作アニメ捜査網」では、近年に制作された時代劇アニメを幾つか取り上げ、ご紹介したいと思います。
尚、本稿は映像作品の中で描かれた歴史上の事件を解説するもので、史実を論評するものではないことをご理解戴ければ幸いです。


  • 今年第2クールにはテレビアニメ『殿といっしょ ~眼帯の野望~』、同『戦国乙女~桃色パラドックス~』、同『へうげもの』(現在も放送中)、アニメ映画『劇場版 戦国BASARA -The Last Party-』、第3クールにはテレビアニメ『魔乳秘剣帖』、第4クールには同『戦国☆パラダイス 極』が放送または上映されています。

    ■戦国~安土桃山時代を舞台にしたアニメ

    この時代を舞台にしたアニメとして、テレビシリーズ2作、映画1作が制作されたのが『戦国BASARA』シリーズ。実在の戦国武将が登場し戦いを繰り広げるアニメですが、基本的にストーリーはフィクションです。

    主人公は奥州の大名・伊達政宗(声・中居和哉)と真田幸村(声・保志総一朗)の2人。本作における政宗は「アー・ユー・レディ!?」などと随所に英語を交えて喋ります。流石は史実でも欧州に使節を派遣しただけのことはある。一方幸村は本作において武田信玄(声・玄田哲章)の家臣ですが、これは恐らく幸村の父・昌幸が信玄に仕えていた史実に由来するものでしょう。真田十勇士の1人として講談などの題材となった猿飛佐助(声・子安武人)も武田陣営の1人として登場します。信玄のライバルとして登場する武将・上杉謙信(声・朴璐美)は本作では女性であるように見受けられますが、上杉謙信は女性だったという説はテレビのバラエティー番組でしばしば取り上げられており、ゲームソフト『戦国ランス』でも謙信は女性になっています。

    そして平成21年に放送されたテレビシリーズ1作目では、織田信長(声・若本規夫)がラスボスとして登場、冷酷無比な魔王として描かれています。例えば第5話「壮絶!長篠・設楽原の義戦」では信長の妹の夫である浅井長政(声・辻谷耕史)を巻き添えにしてまで敵を倒そうとする非道ぶりを見せ(第6話では長政を殺した信長が長政のしゃれこうべを盃にして酒を呑む場面もあります)、第9話「甲斐の虎、御勅使川に死す!」では長崎のキリスト教の教会を焼き討ちに。そして第10話「幸村再起不能!?伊達軍涙の解散!!」では伊達政宗と真田幸村が織田を討ちに出発します。その時の台詞が「敵は本能寺にあり!」でありました(本能寺の変の際に明智光秀が発したとされる発言ですね)。第11話「光秀の謀反!本能寺大炎上!!」では政宗と幸村が信長を討つため本能寺に侵入したのと時を同じくして、謀反を起こした明智光秀(声・速水奨)も本能寺に侵入していました。何と信長は、政宗・幸村が自身を討ちに来るのを予測し、尚且つ光秀が謀反を起こすのも見抜いており、本能寺にいると見せかけて安土城にいたのでした。そして同志討ちを狙ったのです。何という全てを見抜く力。信長恐るべし。しかしさしもの信長も最終回では討たれ、物語は大団円を迎えるのでありました。

    平成22年に放送されたテレビシリーズ2作目では、豊臣秀吉(声・置鮎龍太郎)がラスボスとして登場、並外れた怪力を用い圧倒的な強さを見せますが、政宗に敗れます。

    更に今年は映画『劇場版 戦国BASARA -The Last Party-』が公開されました。映画全体の趣旨としては関ヶ原の戦いをモチーフにしたものですが、関ヶ原という地名以外はオリジナルのストーリーです。秀吉の仇を打つべく政宗に襲いかかる石田三成(声・関智一)、武器を捨てて戦乱の世の中を終わらせようと呼びかける徳川家康(声・大川透)ら多くの武将が関ヶ原の地に集結するというストーリーとなっており、映画のラスボスは復活した信長です。巨大な鍋や、エンディングの足軽ダンスなど、ハチャメチャぶりも健在でありました。尚、この作品に登場する天海(声・速水奨)は、明智光秀と同一人物であるかのように描写されていますが、これは、光秀と天海が同一人物であるとする俗説に由来するものです。

    続いて『殿といっしょ』。平成22年に1作目が、今年に2作目が放送されました。
    この作品は、戦国武将をパロディ化した短篇ギャグアニメです。配役は、NHK大河ドラマ『風林火山』で上杉謙信を演じたGACKTを上杉謙信役に、『戦国BASARA』でお市の方を演じた能登麻美子をお市の方役に据えています。

    続いて『戦国乙女~桃色パラドックス~』。このアニメは、戦国大名と同名の女性キャラクターが登場する作品であり、系統としては新撰組の隊士を女性化した『機動新撰組 萌えよ剣』、三国志の武将を女性化した『一騎当千』『恋姫†無双』、第2次世界大戦時のパイロットを女性化した『ストライクウィッチーズ』等と同様と言えます。

    ストーリーは以下の通り。
    伊達政宗の子孫である現代の教師・伊達先生(声・平田裕香)は、戦国時代にタイムスリップして歴史を改変し、政宗に天下を取らせることを目論む。しかしタイムスリップに教え子の女子高生・日出佳乃(声・日高里菜)が巻き込まれたため、2人は女性しかいないパラレルワールドの戦国時代に飛ばされてしまう。パラレルワールドで日出佳乃は豊臣ヒデヨシとして織田ノブナガ(声・豊口めぐみ)に仕え(この世界では苗字が漢字、名前がカタカナになっている)、伊達先生は伊達マサムネとして暗躍することになる。そして、武将達は絶大な威力を誇るとされる伝説の深紅の甲冑を巡り、争奪戦を繰り広げるのである…!

    本作は東北地方太平洋沖地震発生後の4月4日から放送が始まりましたが、偶然にも、4月11日に放送された第2話「困惑乙女」では戦乱で焼け野原になった村をノブナガと明智ミツヒデ(声・喜多村英梨)が視察する場面があり、そこでは復興事業に直面した政治家のあるべき心構えが語られました。特にこの場面におけるミツヒデの台詞は、現実の政治家を痛烈に皮肉ったものとなっていました。

    続いて『へうげもの』。本作は戦国時代の武将であり茶人でもある古田織部正重然(ふるたおりべのかみしげなり。通称・古田織部。声・大倉孝二)を主人公にした作品で、ストーリーはフィクションではあるものの基本的な流れは史実に沿っています。
    題名の「へうげ」とは歴史的仮名遣いで、現代の仮名遣いだと「ひょうげ」になります。辞書『大辞泉』によれば「ひょうげる」とは「ひょうきんなことを言ったりしたりする。おどける。」という意味だそうです。

    本作の主人公・古田織部は、茶器の類いを蒐集することに異常なる執念を燃やしており、本作は茶器蒐集の道を一心不乱に突き進む織部の姿を描いた作品です。一例を挙げると、主君である織田信長(声・小山力也)が本能寺の変で死去した直後も、焼け跡に残された茶器に心を奪われているぐらいです。本作のオープニングには現代のビル(渋谷か?)が映っていますが、織部の物慾が、現代人の物慾にも通じることを暗示しているのでしょう。

    そして本作最大の特徴が、随所に挿入されるハチャメチャな描写です。例えば織部が徳川家康(声・鶴見辰吾)を饗応した際、ヨーグルトと果物を和えたものを「安土盛り」と称して振る舞ったり、ハートマークが描かれた幟が登場したりといった具合です。

    また本作は教養番組としての性格もあり、本篇の後の『へうげもの 名品名席』というミニ番組では陶磁器を解説しています。

    『戦国BASARA』にしても『へうげもの』にしても、史実に囚われず自由に想像の翼を広げた奔放な作品ですが、現在は、歴史を題材にしたアニメとNHK大河ドラマの垣根が低くなっており、両者が近い存在となっています。大河ドラマが漫画的表現やコント的表現を多用するようになっているのです。

    例えば、平成19年の大河ドラマ『風林火山』で上杉謙信がバリアーのようなもので矢を防いだり、平成21年の大河ドラマ『天地人』で方広寺の鐘にいちゃもんをつけた徳川家康(演・松方弘樹)が子供のようにはしゃいだり、平成22年の大河ドラマ『龍馬伝』で高杉晋作(演・伊勢谷友介)が戦場の爆発を背景に三味線を弾いたり、今年の大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』で10歳かそこらの江(演・上野樹里)に織田信長の幻を見出した豊臣秀吉(演・岸谷五朗)が土下座したり、といった具合です。そう考えると、『へうげもの』も或る意味では大河ドラマ的な番組と言えるかもしれません。

    ところで、『戦国乙女~桃色パラドックス~』と『へうげもの』には或る共通点があります。それは、本能寺の変を見せ場の1つとしている点です。
    本能寺の変が発生したのは天正10年6月2日午前(旧暦)ですが、『へうげもの』では、新暦6月2日に放送された第9話「非情のライセンス」のラストから新暦6月9日に放送された第10話「哀しみの天主」にかけて本能寺の変が描かれ、『戦国乙女』では新暦6月6日深夜(7日午前)にテレビ東京で放送された第10話「心中乙女」で本能寺の変が描かれました。この他、アニメではありませんが新暦6月6日にBS-TBSで放送されたドキュメンタリー番組『THEナンバー2 ~歴史を動かした影の主役たち~』で明智光秀が取り上げられており、6月初頭のテレビ界はこぞって本能寺の変を取り上げていたと言えます。

    明智光秀が織田信長を討った理由については諸説入り乱れており、真相は闇の中ですが、寧ろ真相が不明だからこそフィクションの作品では本能寺の変が自由に描写されています。
    一例を挙げると、昭和38年の実写映画『続・忍びの者』では石川五右衛門(演・市川雷藏)が織田信長(演・城健三朗)を殺害しています。では、『へうげもの』『戦国乙女』ではどのように描かれているのでしょうか。

    『へうげもの』では、千宗易(声・田中信夫)と羽柴秀吉(声・江原正士)が構想を練り、秀吉が明智光秀(声・田中秀幸)を唆して謀反を起こさせました。そして光秀の謀反に乗じ、秀吉は本能寺に潜入して信長を暗殺します。
    また徳川家康は、光秀謀反の知らせを聞いて光秀に加勢を試みますが、光秀は秀吉との戦いに敗れ、僧侶に助けられて逃走。光秀は逃走中に僧兵によって薙刀で刺されてしまうのでありました…。

    『戦国乙女』では、明智ミツヒデが本能寺の変を引き起こすまでに心理を丁寧に描いています。
    以前から織田ノブナガに仕えていたミツヒデは、新参者でありながらヒデヨシがノブナガに可愛がられ、且つその功績を高く評価されているのではないかという焦りや疑心暗鬼を募らせます。そしてノブナガが宿泊した本能寺への放火に至ってしまうのでした。
    『戦国乙女』は戦国時代を戯画化した番組ではありますが、ミツヒデが本能寺の変を引き起こすに至ったいきさつは、史実を下敷きにしているように見えます。前述のように光秀が謀反を起こした理由は諸説入り乱れ真相は不明ですが、桐野作人氏の著書『名将を支えた戦国の異能集団』(日本文芸社、平成3年)の24頁には次のように書かれています。
    「秀吉の働きが信長の期待に応えるなら、光秀と秀吉の関係は逆転する。出世競争を唯一の存在証明にする光秀は焦りに似た切迫感を持ちはじめていた。」
    『戦国乙女』で描かれたミツヒデの焦りは、まさにこの通りでありました。

    戦国~安土桃山時代を舞台にしたアニメとして最後にご紹介するのは、今年10に放送が開始された『戦国☆パラダイス 極』です。本作も『殿といっしょ』と同様、戦国武将をパロディ化した短篇ギャグアニメですが、アニメの後に声優が歴史の舞台となった土地(関ヶ原など)を訪問するコーナーが放送されています。物語とドキュメンタリーがセットになっているという点で、NHK大河ドラマや『へうげもの』と似た構成になっていると言うことができます。

    上記の戦国時代アニメで武将を演じた声優を纏めると以下のようになります。

    時代劇アニメ大全

    ■江戸時代前期を舞台としたアニメ

    現在放送中のテレビアニメ『ぬらりひょんの孫~千年魔京~』には、江戸時代前期を舞台としたシーンが登場します。この番組には大坂の陣前後のシーンが登場するのですが、淀殿には何と羽衣狐(声・能登麻美子)という妖怪が憑依しておりました。

    『ぬらりひょんの孫~千年魔京~』は基本的に現代劇なので江戸時代前期が登場するシーンはわずかですが、江戸時代前期を舞台にしたテレビアニメが、今年の第3クールに放送された『魔乳秘剣帖』です。
    この作品では「時は太平江戸時代」と語られていますが、本作に登場する魔乳胸則(声・斧アツシ)と魔乳一族は、江戸時代前期に実在した柳生但馬守宗矩(やぎゅうたじまのかみむねのり)と柳生一族がモデルだと考えられることから、筆者は本作の舞台を江戸時代前期と推定しています。

    宗矩は柳生宗厳(やぎゅうむねよし。柳生石舟斎とも)の五男。後の3代将軍・徳川家光と駿河大納言・徳川忠長(NHK大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』に登場する江の息子・竹千代と国松が成長した姿)を題材にした平成17年のテレビアニメ『バジリスク 〜甲賀忍法帖〜』では若本規夫が宗矩を、同じく忠長を題材にした平成19年のテレビアニメ『シグルイ』では近藤隆が宗矩を演じています。

    宗矩の甥はテレビドラマ『柳生武芸帳』で松平健が演じた柳生兵庫助利厳(やぎゅうひょうごのすけとしよし)、宗矩の長男は多くの映画やテレビドラマで千葉眞一が演じた柳生十兵衛三厳(やぎゅうじゅうべえみつよし)、三男はテレビドラマ『長七郎江戸日記』で丹波哲郎が演じた柳生又十郎宗冬(やぎゅうまたじゅうろうむねふゆ)、四男はテレビドラマ『子連れ狼』で夏八木勲らが演じた柳生義仙(やぎゅうぎせん。列堂とも)で、柳生一族は江戸時代前期を描いた時代劇の中ではお馴染みの存在です。
    アニメでは、現代が舞台ではあるものの昨年放送された『百花繚乱 サムライガールズ』に柳生十兵衛三厳(声・悠木碧)と柳生義仙(声・水原薫)が登場しており、水原は『魔乳秘剣帖』でも胸則の次女の役を演じています。

    さて、『魔乳秘剣帖』のストーリーは、魔乳一族に伝わる豊乳美乳を育むための秘伝書を持ち出して、胸則の末子である主人公・魔乳千房(声・寿美菜子)が出奔するというもの。魔乳一族からは、秘伝書を奪い返すための刺客が送られます。
    柳生一族を描いた時代劇では巻物を奪い合うストーリーがお約束となっており、何度も映画やテレビドラマになった『柳生武芸帳』は題名の通り柳生武芸帳という巻物を奪い合う物語です。この巻物に何が書いてあるのかについては、原作小説や映像作品それぞれで全く異なる説明がなされており、例えば平成22年のテレビドラマ『柳生武芸帳』では埋蔵金の在り処を記した巻物とされています。そして、やはり何度も映画やテレビドラマになった『子連れ狼』は柳生封廻状という巻物を奪い合う物語です。柳生封廻状は各藩の情勢を記した巻物です。『子連れ狼』は主人公・拝一刀が、一刀の元に送り込まれた柳生の刺客と戦う物語でもあり、この点も『魔乳秘剣帖』と共通しています。即ち、『魔乳秘剣帖』は『柳生武芸帳』と『子連れ狼』から“巻物の争奪戦”“主人公の元に送り込まれた刺客との戦い”という2つの要素を抽出しリメイクしたものであると言えます。

    この他、『魔乳秘剣帖』には『暴れん坊将軍』の「余の顔見忘れたか」という台詞のパロディや『水戸黄門』のパロディも登場しました。地上波テレビから時代劇が消えつつある中で、貴重な時代劇文化の継承者となりました。

    ところで『魔乳秘剣帖』といえばアバンナレーションで語られた「貧乳は人に非ず!」という劇中世界の価値観ばかりが有名になってしまいましたが、この価値観は本作全体を貫くテーマのアンチテーゼでありまして、最終回では、子供を産み育てる上で貴重な役割を果たす母性や乳房の尊さを訴え、親・子・孫と連綿と続いていく生命の営みへの讃歌が、本作全体を貫くテーマであることが明らかにされました。

    ■天保時代を舞台としたアニメ

    天保とは幕末に近い1830年~1843年を表す元号です。天保時代を舞台にしたアニメとして、平成18年の『天保異聞 妖奇士』と平成19年の『大江戸ロケット』がありますが、これら2作品は、実写時代劇と見比べるとより深く楽しめますので、本稿では、まず天保時代の年表を記載した上で、天保時代を描いた実写時代劇を取り上げ、その後でアニメ2作品を解説することにします。

    ※天保時代の年表。日付は全て旧暦です。

    天保5年3月1日水野忠邦、老中に就任
    天保8年9月2日徳川家慶、12代将軍に就任
    天保10年12月2日水野忠邦、老中首座に就任
    ?月土井利位、老中に就任
    天保11年3月2日遠山景元、北町奉行に就任
    5月29日阿片戦争勃発
    11月8日阿部正弘、寺社奉行に就任
    天保12年閏1月7日大御所・徳川家斉死去
    12月28日鳥居耀蔵、南町奉行に就任
    天保14年2月24日遠山景元、大目付に就任
    3月  ?日水野忠邦、人返し令発布
    6月1日水野忠邦、上知令発布
    閏9月7日水野忠邦、上知令撤回
    11日阿部正弘、老中に就任
    13日水野忠邦、老中罷免

    では天保時代を舞台にした実写時代劇を見ていきましょう。実は、天保時代を舞台にしたテレビ番組には、いずれも幕閣の対立が背景に描かれています。

    平成7年のテレビドラマ『騎馬奉行がゆく』では、11代将軍・徳川家斉(とくがわいえなり。演・遠山金次郎)から12代将軍・家慶(いえよし。演・大出俊)への権力移行期が描かれました。
    家斉の側近・林肥後守忠英(はやしひごのかみただふさ。演・北原義郎)が悪役として描かれ、家慶の側近であり主人公の上司でもある老中・水野越前守忠邦(みずのえちぜんのかみただくに。演・瑳川哲朗)と対立。林は失脚します。

    続いて昭和50年のテレビドラマ『江戸を斬るⅡ』では、老中・水野忠邦(演・安部徹)とその側近の南町奉行・鳥居甲斐守耀蔵(とりいかいのかみようぞう。演・金田龍之介)が、北町奉行・遠山左衛門少尉景元(とおやまさえもんのじょうかげもと。通称・遠山金四郎。演・西郷輝彦)と対立する悪役として登場。因みに遠山景元はテレビアニメ『緋弾のアリア』の主人公・遠山金次(声・間島淳司)の祖先でもあります。
    番組の終盤、第27話「陰謀の嵐」では水野が上知令実施を計画。上知令とは、江戸と大坂(当時は大坂という表記でした)にある大名・旗本の領地を幕府に納めさせ、代わりに他の土地を与えようというものです。しかし老中・土井大炊頭利位(どいおおいのかみとしつら。演・水島道太郎)らに反対され頓挫します。更に鳥居の裏切りによって水野は失脚します。その後、昭和55年のテレビドラマ『江戸を斬るⅤ』第26話「花火に散った老中暗殺」で前老中・水野忠邦は復権を狙い現老中・阿部伊勢守正弘(あべいせのかみまさひろ。演・入川保則)暗殺を計画しますが失敗。昭和55年のテレビドラマ『旅がらす事件帖』でも番組全体に亘って前老中・水野忠邦(演・松本克平)が復権を狙って現老中・阿部正弘(演・小澤榮太郎)暗殺を計画していますがやはり失敗しています。
    これを踏まえて、天保時代を舞台にしたテレビアニメを見てみましょう。

    まずは『天保異聞 妖奇士』から。本作では番組の開始当初の時点で既に遠山景元が大目付になっております。
    本作の特徴として、地方から江戸に流入してきた貧しい人(劇中では浮民と呼ばれている)が重要な時代背景として描かれていることが挙げられます。劇中、浮民は寄場に送られるなどしています。もう1つ、本作で時代背景として描かれたのが、老中・水野忠邦(本作では、画面に登場することはあるが顔は映らず台詞もない)の天保の改革によって奢侈が禁止されたことです。劇中の台詞では「芝居も駄目、博打も駄目」「金銀を使った贅沢な鎧は売ってはならない」などと語られています。

    第23話「印旛沼古堀筋御普請」では、水野が印旛沼開拓と上知令を進めようとする様子が描かれますが、老中・土井利位(声・佐藤正治)、寺社奉行・阿部正弘(声・浜田賢二)、水野の弟でもある勘定奉行・跡部能登守良弼(あとべのとのかみよしすけ。声・土師孝也)は水野の政策に反対。跡部は特に上知令について「それがどれほどの無法であるか、お主の口より上様に申し上げよ。」と南町奉行・鳥居耀蔵(声・若本規夫)に促すと、鳥居は「小さい!小さいなあ!土井大炊!跡部能登!阿部伊勢!水野様憎しでくだらん権勢欲!わしが印旛沼に行くのは誰に命じられたからではないわ!この国の為じゃ!」と一蹴するのでありました。

    印旛沼に向かった水野は、「普請をやめろ!みんな病に苦しんでいる!」と少女から訴えられますが、印旛沼開拓の意義を主張します。曰く「印旛沼が一度氾濫すれば、利根川一帯が水没する。多くの田が潰れ、利根川を通る荷が江戸に来なくなる。この普請は、それらの災いから民を救うためだ。この堀が完成すれば、万が一異国の艦隊に江戸湾が封じられたとしても、江戸の民が干上がることもなくなる。異国から国を守るのを考えることは、公儀の務めだ。」即ち、鳥居は東アジアに遊弋する西洋列強から国を守ることを考えていた人物であると『天保異聞 妖奇士』では描かれているのです。尚この後、最終回「ヒトハアヤシ」では鳥居が水野を見限って水野は失脚します。

    続いて『大江戸ロケット』。本作には老中・水野忠邦(声・てらそままさき)、北町奉行・遠山景元(声・大川透)、南町奉行・鳥居耀蔵(声・若本規夫)といった実在の人物が登場しています(但し遠山については第15話「突然!正月に大空爆」で「改革に反対していた北町遠山が大目付へ栄転という名のやっかい払い」と語られています)。

    本作で描かれた時代背景として最も特徴的なのは、水野が天保の改革で質素倹約を奨励して贅沢を禁止し、庶民の娯楽を弾圧したことです。そのため本作の主人公である花火職人・玉屋清吉(声・沢海陽子)は、花火を作ろうとして役人から弾圧を受けています。また時代背景として第15話では「人返し令が発布され江戸への流入人口が規制されます。」とも語られています。これは地方の農村から仕事を求めて江戸に流入した人々を農村に強制的に返すものです。

    そして終盤、第25話「匠の仕事が月に哭いて…」においてロケット発射実験を実施した水野は苦虫を噛み潰したように「土井、阿部め、上知令に逆らいおって」と呟いています。上知令は前述のように大名・旗本の領地を取り換える政策、上知令に逆らった土井と阿部はそれぞれ老中・土井利位、寺社奉行・阿部正弘です。このロケットの発射実験は政敵を威嚇するためのものでしたが、それだけではなく、対外的な意図もありました。西洋列強が東アジアに進出ていることを警戒し、西洋の脅威に備えて軍備の近代化も目指したのです。このロケットは、西洋列強に対抗しようという水野の意気込みの表れだったと言えます。とは言うものの本作でもご多分に洩れず水野は失脚してしまうのでありました。

    西洋列強が東アジアに進出した1840年代、『天保異聞 妖奇士』の鳥居耀蔵も、『大江戸ロケット』の水野忠邦も、(実際にどういう人物だったかは別として)国を守るために立ち向かった人物としての一面を描かれていました。その後、19世紀後半には世界は帝国主義の時代に突入して西洋列強は次々と植民地支配体制を固め、日本も激動の時代を迎えるのでありました。

    最後に全くの余談ですが、歴史上の人物を深夜アニメ化する上でよく用いられるのが、歴史上の人物を女性化する手法です。
    『機動新撰組 萌えよ剣』では新撰組の隊士が、『一騎当千』『恋姫†無双』では三国志の武将が、『戦国乙女』『百花繚乱』『境界線上のホライゾン』では戦国時代~江戸時代前期の武将が、『ストライクウィッチーズ』では第2次世界大戦時のパイロットが女性化されました。しかし、時代劇の定番とも言うべき題材が未だアニメ化されていません。それは『忠臣蔵』です。
    『忠臣蔵』の特質といえば、オールスターキャストが出演することです。『忠臣蔵』には大勢の登場人物が登場しますが、それらを皆、有名俳優が演じるのです。昭和38年の映画『忠臣藏』では画面にろくに顔が映らない梶川与惣兵衛に藤田進、ろくに台詞のない松原多仲に益田喜頓という有名俳優を配置。
    昭和60年のテレビドラマ『忠臣蔵』でも、1箇所のシーンしか登場しない林大学頭に佐野浅夫、荻生徂徠に西村晃、公弁法親王に上原謙と超豪華キャスト。いわば、『忠臣蔵』においては、たとえチョイ役であっても有名俳優が演じなければならないのです。
    当代を代表する声優をオールスターで全員集合させることができる企画は『忠臣蔵』をおいて他にはないでしょう。という訳で、本稿の最後は、もし『忠臣藏』の登場人物を女性化して深夜アニメ化した場合、どのようなキャラクター造形や配役が考えられるのか、試みてみることにします。

    ☆大石内蔵助
    『忠臣蔵』の主人公。これまでに市川右太衞門、長谷川一夫、片岡千惠藏、松本白鸚、三船敏郎、萬屋錦之介といった時代劇界の大御所が演じた役柄です。もし『忠臣蔵』を深夜アニメ化した場合、当然、深夜アニメ界の大御所が演じることになるでしょう。

    ☆浅野内匠頭
    これまでに東千代之介、市川雷藏、萬屋錦之介、大川橋藏、加山雄三、松方弘樹といったスターが演じたポジションであり、もし『忠臣蔵』を深夜アニメ化した場合、当然、深夜アニメ界のスターが演じることになるでしょう。

    ☆堀部安兵衛
    赤穂浪士の中では大石内蔵助の次に出番の多い人物であり、これまでに大友柳太朗、東千代之介、三橋達也、梅宮辰夫、渡哲也といった主役級俳優が演じました。アニメ化した場合、剣豪の面と、義父をいたわる親孝行の面の両面を巧みに表現できる声優を起用する必要があります。

    ☆不破数右衛門
    映画『赤穂城断絶』では副主人公格だった赤穂浪士で、これまでに山形勲、佐藤允、千葉眞一、岩城滉一、杉本哲太、寺島進といったワイルドな俳優が演じてきたポジションです。野性味溢れる荒っぽさを表現できる声優が求められます。

    ☆岡野金右衛門
    赤穂浪士のラブストーリー要員。これまでに鶴田浩二、夏木陽介、葛山信吾、要潤といった色男が演じています。アニメ化した場合、ラブストーリーを得意とする声優を起用すべきでしょう。

    ☆吉良上野介
    史実でどうだったかは別として、『忠臣蔵』では憎まれ役。これまでに月形龍之介、滝沢修、新藤英太郎、市川中車、山形勲、小澤榮太郎、金子信雄、森繁久彌、伊東四朗、西田敏行といったベテラン俳優が演じてきたポジションです。アニメ化した場合、ストーリーにもよるでしょうが、意地悪さをどぎつく印象付けられる声優を起用する必要があります。

    ☆上杉家家老
    作品によって千坂兵部が登場したり色部又四郎が登場したり両方が登場したりします。千坂はこれまでに小澤榮太郎、山村聰、市川右太衞門、丹波哲郎、森繁久彌、夏八木勲ら、色部はこれまでに芦田伸介、丹波哲郎、松平健らが演じており、いずれも大物俳優が演じるポジションとなっています。上杉家家老の最大の見せ場は赤穂浪士討ち入りの時に主君を諫めるシーンであり、気概を持った語り口のできる声優が求められます。

    ☆柳沢吉保
    5代将軍・徳川綱吉の側用人。これまでに宇佐美淳也、三島雅夫、山茶花究、河津淸三郎、山形勲、橋爪淳、石橋蓮司、神山繁、石坂浩二、丹波哲郎、村上弘明、伊武雅刀といった強烈な個性の持ち主が演じてきたポジションであり、テレビドラマ『元禄太平記』では主人公となっています。柳沢は陰謀を張り巡らす役柄ですので、演じる声優は冷酷な口調に徹することが求められます。

    ☆俵星玄蕃
    これまでに三船敏郎、長門勇、勝新太郎といった大物俳優が演じてきたポジションです。豪快な演技や、大酒呑みの演技ができる声優が求められます。

    ☆脇坂淡路守
    これまでに市川右太衞門、萬屋錦之介、小林桂樹、村上弘明といった大物俳優が演じてきたポジションです。演じる声優は「家紋を不浄な血で汚すとは無礼者めが!」と一喝する場面では迫力が求められ、赤穂城明け渡しの場面では大石内蔵助の心中を見抜く洞察力を表現することが求められます。

    ☆土屋主税
    これまでに池部良、三船敏郎、松方弘樹、北大路欣也、松平健といった大物俳優が演じてきたポジションです。演じる声優は「我が邸内に逃げ込む者はたとえ吉良殿と雖も容赦はせぬ!」と力強く宣言する場面でビシッとその場を引き締めることが求められます。


    以上、時代劇についてのお話でありました。

    (文・コートク)

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