2018年8月12日、不滅の大記録と言われていた鉄人・佐々木竹見さん(川崎)の地方競馬通算勝利数7151勝を17年ぶりに更新し、7152勝を獲得した「大井の帝王」こと的場文男騎手(大井・東京都騎手会所属)。現在61歳と、大井競馬所属の最年長ジョッキーでもあります。

 東京シティ競馬(大井競馬場)では、2018年8月27日から始まる第10回開催で、的場文男騎手の大記録達成記念プロモーションを展開していきます。そのひとつとして、様々な職種の若者が的場文男騎手に人生の悩みをぶつけるWEBムービー「的場文男の人生の勝算」が8月27日に公開。なんと全員、あの乗馬フィットネス機器に乗って悩み相談をする光景が繰り広げられています。

 1956年9月7日、福岡県大川市出身の的場文男騎手。1973年10月に大井の名門、小暮嘉久厩舎からデビュー以来、積み重ねた勝ち鞍(勝利)は2017年5月17日の川崎競馬11R、川崎マイラーズ(S III)のリアライズリンクス号(浦和・小久保智厩舎)で7000の大台に達しました。佐々木竹見さん(川崎)以来史上2人目、これで佐々木さんが2001年の引退まで足掛け42年にわたって積み上げた、7151勝という日本記録が目に見えるところにまでやってきたのです。

 そして2018年8月6日の第5回浦和競馬第2日、10Rのサードニクス特別でタマモサーティーン(浦和・小久保智厩舎)に騎乗した的場騎手は1着となり、ついに佐々木竹見さんの通算7151勝に並びます。続く第5回船橋競馬の開催を挟んで、迎えた第9回大井競馬初日となる2018年8月12日。5Rでシルヴェーヌ(大井・櫻木英喜厩舎)に騎乗した的場文男騎手はスタートから先手を取り、直線後続を寄せ付けず2着のヤマショウバトルに3馬身半差をつけてゴール。通算7152勝目を挙げ、日本歴代トップの座に就いたのでした。その後も勝利を積み重ね、通算勝利数は4万605戦・7157勝(8月22日川崎競馬終了時点)にまで伸びています。

 筆者の的場文男騎手に対する個人的な印象は、とにかく「追える」ことと強靭な下半身。俗に「的場ダンス」と呼ばれる、大きく体を上下させながら水車ムチを振るう姿が有名ですが、その時も騎座は全くぶれておらず、両脚の扶助と足首の柔軟さが印象的です。馬でいうならボンネビルレコードとの名コンビが印象に残っています。前記録保持者、川崎の佐々木竹見さんが着ていた騎手服のデザイン(赤・黄山形一文字)は功績を記念して永久欠番になっていますが、的場文男騎手もそうなるかもしれません。なんとか引退までに、悲願の東京ダービー制覇を成しとげてもらいたいと思っています。

 日本競馬最多の勝利数をあげ、9月に62歳を迎えようという現在でもなお進み続ける、そんな的場文男騎手の豊富な人生経験から生きるヒントを得ようと、様々な職種で活動する若者が悩みをぶつけるのが、WEBムービー「的場文男の人生の勝算」です。登場するのは、声優の桜咲千依(おうさき・ちよ)さん、コンビ芸人きつねのお2人、シンガーソングライターの前野健太さん、そして大井競馬の後輩ジョッキーである瀬川将輝騎手(月岡健二厩舎・2014年デビュー)と藤本現暉騎手(蛯名雄太厩舎・2015年デビュー)。

 アップで始まる動画は、なぜか微妙な機械音とともに、登場する全員がユラユラと揺れています。カメラが引いていくと、全員があの乗馬フィットネス器具に乗っているじゃありませんか。しかしその中でも、騎座が全くブレない的場文男騎手、すごいです。

 それぞれの悩みに答えていく的場文男騎手の言葉は、短いながらも味のある感じでいいですね。特に後輩である瀬川騎手と藤本騎手の「憧れの先輩に追い付きたい!」に対して「その人のいいところを沢山見つけよう。そしたらいっぱい盗めるからさ」と答える姿は、確かに「騎乗技術は教えられるより見て、乗って盗め」の鉄則に沿っていて、重みを感じます。南関東には、的場文男騎手と同じ1956年生まれの石崎隆之騎手(船橋・通算6269勝)をはじめとして、経験豊富な騎手が揃っていますから、お手本はいっぱいいますね。そんな真面目な回答ながらも最後には両手をあげて「勝ったらたのしいよ!」とぴょんぴょん跳ねてはっちゃける場面も。レースとは違うこの一面に「的場騎手かわいい……」と感じるのは筆者だけではないハズ。




 この他にも、8月27日から8月30日までの第10回大井競馬では、的場文男騎手の偉業達成を記念した「祝#7152勝キャンペーン」を行います。開催期間中に場内各投票所で発券する勝馬投票券は、的場騎手の騎手服(赤・胴白星散)柄のロゴと7152の文字が入った、特別仕様の「的バ券」となります。


 場内では、新記録達成まで勝利数をカウントし続けてきた、場内の「MATO-METER2」が、記録達成記念フォトスポットとして引き続き登場するほか、L-WING1階の特設会場では「的場メモリアル展」を開催。場内の各飲食店でも様々な祝賀キャンペーンが展開され、正門入ってすぐにある「うまかった広場」では、ビールが的場オリジナルカッップで提供されます。また、開催期間中は的場文男選手の生まれ故郷であり、ふるさと大使に就任している福岡県大川市による記録達成物産展が開催されます。京浜急行「立会川」駅から大井競馬場へ向かうルート上にある商店街、立会川龍馬通り繁栄会では、的場騎手の名前にちなんだ「230(フミオ)円セール」も開催します。

 8月28日は「的場DAY」として、当日は入場料が無料。記念デザインの入場券2種類を各7152枚限定で販売(1枚100円)するほか、当日行われる的場文男騎手の表彰式でメッセージフラッグを贈呈する権利や、記念フォトセッション参加権などが当たる抽選会をはじめとする、様々なイベントも実施される予定です。

情報提供:東京シティ競馬(特別区競馬組合)

(咲村珠樹)