
JOGMECは、2025年6月20日に開催されたLNG Producer-Consumer Conference 2025(LNG産消会議2025)において、LNGサプライチェーンからのメタン排出抑制を加速するための共同声明と、排出データの透明性を高めるための技術協力に関する共同声明を発表いたしました。また、CLEANイニシアティブに新たなメンバーを加え、日本及び韓国のLNG購入者合計27社からなる枠組みに拡大しました。
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JOGMECと国連環境計画国際メタン排出観測所ほかとの共同声明発表(左から 武藤経済産業大臣、高原JOGMEC理事長、村瀬資源エネルギー庁長官、ダヴィドGIIGNL事務局長、タイボッシュMiQ CEO、白川EDF日本代表、貞森IEAエネルギー市場・安全保障局長、オブライエン カナダ天然資源省次官補)
JOGMECは経済産業省(METI)・国際エネルギー機関(IEA)共催のLNG産消会議2025において、LNGサプライチェーンからのメタン排出抑制を加速するための共同声明と、排出データの透明性を高めるための技術協力に関する共同声明をそれぞれ発表いたしました。これらの共同声明は、国連環境計画国際メタン排出観測所(UNEP-IMEO)などとともに、JOGMECが事務局として推進するCLEANイニシアティブが目指すLNGサプライチェーンのクリーン化に必要な取組を技術面から強化するものです。
さらに、日本とマレーシア国営石油会社ペトロナスとの間のLNG分野における協力の枠組みを拡大し、戦略的なLNG取決めを通じてLNGの安定供給を強化することを目的とする協力覚書(MoC)を締結したことを発表しました。本覚書は、我が国への有数のLNG供給企業であるペトロナスとの関係を強化するとともに、緊急時におけるLNGの供給確保に寄与するものとなります。
LNGサプライチェーンからの排出抑制を加速するための共同声明
METI及びJOGMECがUNEP-IMEO、IEA、LNG輸入者国際グループ(International Group of Liquefied Natural Gas Importers:GIIGNL)、環境防衛基金(Environmental Defense Fund:EDF)並びにメタン排出の認証体であるMiQ(注)とともに、カナダ政府の支援のもと、以下の点を発表いたしました。- LNGサプライチェーン全体において排出量を削減する機会があることを認識し、この分野における協力の重要性を再確認
- METI及びIEAが2024年に開始したLNGからの排出量を削減するためのロードマップの作成について協力し、そのロードマップが利用可能になった時点でそれを参照しながら、排出削減技術の開発の実現可能性を評価
- LNGサプライチェーンにおける既存のグローバル基準及びプロトコルを活用し、排出削減の検証メカニズムの開発に、共同の関心を表明
注:MiQ(エムアイキュー) 2020年12月に米国コンサルティング会社ロッキーマウンテン研究所と英国コンサルティング会社SYSTEMIQによって、メタンに関する第三者監査機関として設立される。メタン排出量に基づいてガス設備を格付けする世界初の認証システム、MiQ 認証システムを設計。
メタン排出データの透明性を高めるための技術協力に関する共同声明
METI、環境省(MOE)、JOGMEC、国立環境研究所(National Institute for Environmental Studies:NIES)は、UNEP-IMEOとの協力のもと、メタン排出データの透明性を高めるための技術協力に関する共同声明を発表いたしました。協力する分野は以下のとおりです。- CLEANイニシアティブにおけるIMEOの協力:METI、JOGMEC及びUNEP-IMEOは、LNGバリューチェーンからのメタン排出に関して、プロジェクトごとのデータ開示を行う意向を含め、調和された方法で、より透明性の高いデータを提供する努力を共同で追求する。
- CLEAN Annual Report発行へのIMEOの貢献:UNEP-IMEOは、データ、情報、その他の関連支援を提供することにより、CLEAN Annual Reportの発行に貢献する。
- Southeast Asia METECにおける協力:JOGMECとUNEP-IMEOは、JOGMECがペトロナスと推進する東南アジアメタン排出技術検証設備(METEC:Methane Emissions Technology Evaluation Centre)におけるメタンのコントロール・リリースに関する研究を通じて、アジア太平洋地域のLNG施設からのメタン排出検知に関連する技術の検証について協力する。
- GOSAT-GWデータの統合:MOE、NIES、UNEP-IMEOは、温室効果ガス・水循環観測技術衛星GOSAT-GWからのデータが利用可能になった場合の利用について協力し、UNEP-IMEOはGOSAT-GWからのデータをIMEOのメタン警報・対応システム(MARS)に統合する。
CLEANイニシアティブの拡大
2023年7月に発足したCLEANイニシアティブは、LNG購入者がLNG生産者とともに一丸となってLNGバリューチェーンにおけるメタン排出の削減と透明性の確保を目的として、その輪を広げています。日韓の大規模LNG購入者2社とJOGMECで発足し、2024年10月に22社が参加。さらにLNG産消会議2025において、石油資源開発株式会社、ENEOS株式会社及び伊藤忠商事株式会社が参加し、27社となりました。また、LNG生産者や国際機関などもCLEANイニシアティブに対する重要性を認識しており、アラブ首長国連邦アブダビ国営石油会社(ADNOC)や天然ガスバリューチェーンにおける温室効果ガス排出の認証を実施するMiQも加わり、19の国際機関・団体・企業等がCLEANイニシアティブへの賛同を表明しております。
戦略的なLNG取決めを通じてLNGの安定供給を強化することを目的とする協力覚書(MoC)
JOGMECはこれまで世界のLNGプロジェクトに対して技術・金融面での支援を行い、マレーシア国営石油会社であるペトロナスは、マレーシアを中心にLNGのアセットを有しLNGの安定供給に取り組んできました。今次両者は、日本とペトロナスとの間のLNG分野における協力の枠組みを拡大し、戦略的なLNG取決めを通じてLNGの安定供給を強化することを目的とした協力覚書の締結に合意し、2025年6月17日、Energy Asia 2025にて署名しました。今回のペトロナスとの協力は、ペトロナスによる日本へのLNG供給機会や、マレーシアにおけるペトロナスのLNGタンクの活用も含む、平常時におけるガス安定供給の向上や突発的なLNGの供給途絶事態への対応を念頭に置いたもので、我が国の政策実施機関であるJOGMECと、LNGの安定供給に取り組んできたペトロナスとの対話を加速させるものとなります。
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