「深海のゴジラ」とも呼ばれる幻の深海ザメ「ヨロイザメ」を釣り上げ、世界記録に認定。
この快挙を成し遂げたのは、深海魚ハンターとして知られる西野勇馬(にしの ゆうま)さん。国際ゲームフィッシュ協会(IGFA)により世界記録として正式に認定され、西野さんにとって通算48冠目の記録となりました。
■ 相模湾の海底で出会った“深海の王者”
今回の釣果は、いつものように相模湾での深海釣査中の出来事。水深は250メートルほどで、これまで釣り上げてきた「エドアブラザメ」や「フトツノザメ」などが生息する比較的浅めの深海帯だったといいます。
ヒットから釣り上げまでは、わずか10分ほど。強烈な引きと首の振りから、最初はいつも通りの深海ザメだと思っていたそうです。ところが、海面にその姿が現れた瞬間、西野さんは息をのんだと振り返ります。
顔つきが明らかにこれまでのどのサメとも違っていたのです。船に上げた瞬間、「間違いない、ヨロイザメだ」と確信。「ずっと狙っていた種類だったので、釣れたあとはかなりテンションが上がりました!」と笑顔を見せます。
■ 全長120.5cm、重量9.85kg 幻のサメが世界記録に
ヨロイザメはその名の通りザラザラとした皮膚が鎧のように硬く、まさに“ヨロイ(鎧)”をまとったかのような姿をしています。その重厚な見た目から「深海のゴジラ」とも呼ばれ、太平洋の水深200〜600メートルに生息。釣り上げ例は極めて少なく、研究者の間でも貴重な存在です。
今回釣り上げられたヨロイザメは、全長120.5センチ、重量9.85キロという個体。約9年にわたる深海調査の中でも、西野さんにとってヨロイザメとの遭遇は初めてでした。
過去には電動リールでより大型の個体が捕獲された例もあり、「記録として認定されるか少し不安もあった」といいます。それだけに、今回のIGFAによる正式認定は感慨深いものに。「今後も国際ルールに沿った手巻き釣法で、さらなるサイズ更新を狙いたい」と意気込みを語ります。
■ 深海魚ハンターは“食レポ”も欠かさない
興味深いのは、西野さんが釣り上げた魚を観察・記録するだけでなく、味まで確かめていること。今回も同行した知人が釣り上げたもう1匹を昆布締めにして試食したそうです。
誰もが気になるそのお味については、「これまで食べたモミジザメやタロウザメは、昆布締めにすると身が固く締まるのですが、ヨロイザメはほどよい柔らかさで、旨みや甘みが強く感じられました」と話します。“深海のゴジラ”の肉は、意外にも上品でまろやかな味わいだったようです。
■ 目標は48冠のさらにその先へ
IGFAの認定証を手にした西野さんのXには、「おめでとうございます!」「ついにヨロイザメまで!」と祝福のコメントが相次いでいます。48冠という圧倒的な実績を誇りながらも、西野さんの目線はすでに“その先”を見据えています。
「50冠へ向けて、引き続き手巻き一筋でやっていきますので、応援の程よろしくお願いいたします」
“深海魚ハンター”として記録と探究を重ねてきた西野勇馬さん。その挑戦の先には、まだ誰も知らない深海の物語が広がっています。
【🦈世界記録認定のご報告🦈】
🥇🥇🥇48冠目‼️🥇🥇🥇
この度、4月に国際ルールに則り深海約250mから手巻きで釣り上げ世界記録に申請していた深海魚『ヨロイザメ』が公式の世界記録として認められてアメリカから認定証が届きました✨📷… pic.twitter.com/b4KbrN5taR
— 西野勇馬【深海魚ハンター】 (@nanukazame1) October 3, 2025
<記事化協力>
西野勇馬【深海魚ハンター】さん(@nanukazame1)
(山口弘剛)