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2025年IPSOS世界調査が示す、アジア太平洋地域における気候変動への関心の二極化

update:
特定非営利活動法人日本森林管理協議会
2022年と2025年の両年に調査した国々では、日本とタイで関心が大きく上昇した一方、他の国々では低下しました。また、韓国は世界で最も高い関心度を記録しました。

2025年10月28日(香港発) - 本日、パナマで開催中の総会で発表されたForest Stewardship Council(R)(FSC(R)、森林管理協議会)の報告によると、観測史上最も暑かった年を経験してもなお、アジア太平洋地域における気候変動に対する一般の関心にばらつきが見られることがわかりました。IPSOSと共同で50カ国、40,000人以上の回答者を対象に実施された「2025年世界消費者意識調査」では、現在、戦争と紛争(52%)が一般の懸念事項のトップとなり、気候変動(31%)はそれに続いていることが判明しました。
アジア太平洋地域で二極化する気候変動への関心
2025年の調査は、ベトナムとニュージーランドが初めて加わり、同地域内で対象国が10か国に拡大されました。結果として、関心の度合いにばらつきが見られました。韓国は調査対象50か国の中で最も高い気候変動への関心を示し、日本はアジア太平洋地域で最も関心が上昇した国となりました。これに次いでタイでも上昇が見られました。一方で、オーストラリアと中国では関心が大きく低下しました(それぞれ−8.5ポイント、−7ポイント)。

関心が上昇した国
- 日本:+9.5ポイント
- タイ:+7ポイント

関心が低下した国
- オーストラリア:−8.5ポイント
- 中国:−7ポイント


地域内では半数の国で上昇、残る半数で低下が見られ、気候リスクの高まりと人々の意識との間にズレが生じつつあることが示唆されました。森林関連の設問においては、日本(41%)とインド(40%)で森林減少への懸念が高く、オーストラリアでは植物・動物種の喪失への懸念(46%)が最も高くなりました。ベトナムとインドネシアでは干ばつや洪水への懸念(41%、40%)が際立って高く、インドの約2倍に達しています。また、中国(37%)とインド(26%)では、国主導の啓発活動を背景に土壌劣化への懸念が上昇しており、消費者の優先課題として浮上しています。

「アジア太平洋地域のメッセージは明確です。人々が森林火災、水資源の逼迫、生物多様性の喪失といった具体的な森林リスクを認識している場所では、関心が高く、行動も伴っています。企業にとっての道筋は実践的なものです。独立した第三者による検証を受けた森林破壊ゼロのサプライチェーン、地域社会との関わりにおける自由意思による事前の同意(FPIC)の尊重、リスクの高い地域でのバッファーや保全区域の設置。これらこそが人々を守り、供給リスクを低減し、気候変動への方針を測定可能な成果へと変える方法です。」とFSC国際事務局長 スブラ・バッタチャルジーは述べています。
森林は、気候リスクが最も直接的に現れる場所であり続ける
50市場を対象にした主要設問では「気候変動」は抽象的な地球規模の課題としての順位は低いものの、林業に関連する設問(林業モジュール)に回答した国々では、種の喪失、森林破壊、森林の消失に伴う気候影響といった項目が依然として主要な懸念として挙がりました。

日本と韓国は「森林の消失に伴う気候影響」への懸念が世界平均を約10ポイント上回る結果となりました。

また、2022年から2025年の比較では、両国で森林火災に対する懸念が顕著に増加しています。しかし「自然の原風景の喪失」については2025年に韓国では42% 、 日本では15%と大きく異なる結果となりました。

これらの結果は、森林とそれに依存する人々を守ることが、気候変動対策であると同時にサプライチェーン上の必須課題であることを示しています。
消費者は依然として購買時に行動している
29市場のうち、72%の消費者が植物や動物に害を及ぼさない製品を選びたいと回答しており、購買時における信頼できる根拠の重要性を裏付けています。

「世界の消費者の約3分の2が、サステナビリティに関する情報は独立した機関によって認証されるべきだと考えています。この傾向は特に中国、ベトナム、インドネシアで顕著です。ブランドにとってのチャンスは、こうした需要を『信頼できる調達』に変えること。日常の購買が森林と地域社会を支えることを消費者が確信できるようにすることです。」と FSCアジア太平洋支局長のシンディ・チェンは述べています。

アジア太平洋の消費者は、購買の場面でも気候意識を行動に移しています。FSCラベルの認知率は、ベトナム(63%)、タイ(61%)、中国(60%)、インド(59%)、インドネシア(54%)で世界平均(52%)を上回り、特にタイとインドネシアでは2022年比で大幅な上昇が見られました。
この結果が示す意義
戦争、パンデミック、インフレが世論を支配する中で、気候変動リスクが政治や消費者の関心から外れるおそれがあります。しかし同時に、人々は依然として持続可能な製品を求め、企業に対して自社製品が森林破壊に加担していないことを保証する責任を期待しています。特に植物・動物種の喪失は、最も大きな森林関連の懸念として挙げられました。

FSCは、直面する危機の影で気候変動対策が後回しにされることがないよう、環境対策と社会・経済の安定を同時に考慮する統合的な戦略を呼びかけています。

これらの結果は、現在開催中のFSC総会でも議論されており、責任ある森林管理の未来と気候危機に対するその役割の創出に向けて世界各国からステークホルダーが集まっています。
編集者向け補足(対象と調査概要)
- 対象地域: 2025年はアジア太平洋地域で10市場に拡大した(新規追加:ベトナム、ニュージーランド)。
- トレンド分析: 気候変動への関心度の推移(日本 +9.5、タイ +7、オーストラリア −8.5、中国 −7)は、2022年と2025年の両年で調査を実施した国のみが対象。
- 主要結果(50市場・約4万人): 最大の関心事は「戦争・紛争(52%)」、次いで「気候変動(31%)」であった。
- 世界ランキング:2025年は韓国が世界最高の気候変動への関心度を記録した。
- 林業モジュール:林業関連の懸念事項は林業関連の設問(林業モジュール)の対象となった29カ国のみを集計した(50市場全体への設問とは母数が異なる)。
- 消費者の嗜好: 「72%」の数値は29市場の回答結果に基づく。


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調査概要:「FSC × IPSOS グローバル消費者調査2025」は、FSCがIPSOSに委託し、IPSOSの自社モニターおよび提携パネルの50市場40,800人を対象に、2025年5月から7月にかけてオンラインで実施されました。2022年・2025年の両方で調査を行った32市場のデータをもとに、過去との比較分析を行っています。

Forest Stewardship Council (FSC、森林管理協議会)について
FSCは、責任ある森林管理のための実証済みのソリューションを提供する国際的な非営利組織です。現在、世界で1億5,000万ヘクタール以上の森林がFSCの規格に基づいて認証されています。FSCは、NGO・消費者・企業から最も信頼される森林認証制度として、森林破壊・気候変動・生物多様性の課題に取り組んでいます。その森林管理規格は、環境・社会・経済の幅広い要素を網羅する10の原則に基づいており、FSCの「チェックツリーマーク」は世界中の森林由来製品に表示され、持続可能な調達の証明となっています。
詳細はこちら:https://jp.fsc.org/jp-ja

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