日本のある片田舎に住み着いたフランス人が、その土地についてフランス語で淡々と紹介するオシャレな動画だと思ってみていたら、実は最初から最後まで彼は宮崎県小林市の西諸弁を喋っていた……。こんな仕掛けを施した、2015年公開の動画「宮崎県小林市 移住促進PRムービー “ンダモシタン小林”」は、当時大きな話題をよびテレビも各局こぞって紹介。人口約4万6千人という小さな市が、一躍全国から注目されるきっかけとなりました。
その話題の動画から約3年、今度は、宮崎県小林市の市長自らYouTuberデビューを果たし、ゲーム実況動画「市長YouTuber:小林市をシムシティで再現してみた。」を公開しました。
小林市では「今までにない地域創生プロジェクト」として、エレクトロニック・アーツ社の街づくりシミュレーションゲーム「シムシティビルドイット」協力のもと、2018年10月に「シムシティ課」を設立。その好評をうけて今回の動画が制作されたそうです。宮原義久市長も「小林市役所に立ち上げました「シムシティ課」が、多方面からご好評いただいていることを大変喜んでおります」と、ほくほくしたコメントを発表しています。
動画には、新YouTuberのよしひさしちょー(小林市市長)と、あんらく課長(小林市地方創生課)がコンビで登場。「小林市役所の中に「シムシティ課」を作ってみた」と言うしちょーの説明から、実際に「シムシティ ビルドイット」に再現した小林市のまちをプレイしていきます。途中、市民から寄せられる不満や感謝の声に一問一答形式で回答。ゲームを通して、親しみやすいまちづくりに挑戦する「シムシティ課」らしさ溢れる内容となっています。
が!!しかし、他の地域の人にとっては徐々にヒアリングの難易度が高くなっていきます。冒頭は割と聞き取れるのですが、二人の会話が進むごとに素の言葉となり、「訛りが強すぎてフランス語に聞こえる」と市自ら自虐動画を出した通りの、西諸弁まる出しとなっています。おかげで途中から、字幕たっぷり。
小林市は、2014年に日本創成会議・人口減少問題検討分科会が発表した「消滅可能性都市」に指定されています。さらに宮崎県全体を見ても、2016年卒、2017年卒の高校生の県外流出率が47都道府県中最下位になるなど、人口流出への取り組みは市にとって大きな課題。「シムシティ課」は、その取り組みの一つとして、若い世代にまちづくりを親しみやすい形式で考えて貰おうと設立されました。このため「シムシティ課」の職員は、小林市職員および、宮崎県立小林秀峰高等学校の有志たち。小林秀峰高校では、総合学習の時間を活用した正規の学習プログラムとして、シムシティを教材に活用しています。生徒それぞれが理想とするまちの創造と、それに伴い発生してくるであろう課題の検証や解決方法を模索し、バーチャル世界でまちづくりに参加する面白さや意義を学んでいるそうです。
これら活動の成果は12月中旬に「活動報告会」が開催され、市長をはじめ、市職員や、市民たちに対して、自分たちが考えた小林市の将来構想をプレゼンテーションする予定です。活動報告は随時、特設WEBサイトで行われます。
情報提供:宮崎県小林市/エレクトロニック・アーツ株式会社
(宮崎美和子)