ミリタリーな話題をマニア目線でお届けしている、鉄砲蔵の「ミリタリー魂」。今回は秋葉原のガンショップ「ガンスミス・バトン」主催、創立一周年記念ゲームに突撃!
【関連:第42戦 モデルガンショップ「むげん」蒲田店の創立30周年記念サバゲーに突撃!】
いつものように秋葉原の街を散歩し、電動ガンの整備、改良に使う部品を買い物して回っている時、ふと銃に使う予備のねじを買いに「ガンスミス・バトン」に立ち寄りました。レジで精算していたとき、そしてそのレジ脇に「ガンスミス・バトン一周年記念サバイバルゲーム大会開催」の貼り紙を発見。
最近色々なサバゲーチームで記念サバゲーが相次いでいます。
今回の一周年記念サバゲーを開催する「ガンスミス・バトン」、香港、台湾から輸入されたエアガンを、元々は日本では扱いづらい状態のものを使えるように改良して販売する仕事を主に行っております。
扱いづらいというのは、香港、台湾製の銃。持っている人の話では元々の状態では歯車の組付けが悪いのか、音がうるさい、中身で使用している電線のコネクターが焼ける、銃身の精度が日本製のものより悪く、命中精度が良くない、などの欠点があり、海外製の銃が輸入されてきたばかりの頃はナチスドイツの自動小銃など日本のメーカーが発売していない種類の銃を輸入し、日本メーカー製の中身を丸ごと移植して使用する方が多くおられました。
中身だけソックリ交換というと無駄な出費をしているように考える方もいると思いますが、日本製品では鉄や木材のボディも同じ色のプラスチックで済ませるところを香港や台湾の銃の場合、本物の鉄や木材を使用しており、また日本メーカーが発売していないデザインの銃も製造しているため、その外観、本物っぽい質感、頑丈なボディを目的に購入して自力で改良して使用される方が多くいます。
今回はその手直し改良を済ませた状態で海外製の銃を販売するビジネスを得意とするガンスミス・バトン主催のサバイバルゲーム。
中国内陸部や香港、台湾の銃を持った方が多く来られると考え、取材に行ってみることにしました。
東京駅から高速バスのアクシー号で最寄りの富崎神社バス停まで1時間ほど。そこから無料の送迎車を電話で頼んで1kmほど走ると今回の会場となる千葉県VISIONに到着。
7千坪のフィールドを備え、着替えや銃の準備をするセーフティーゾーンには女子更衣室や浴室、カップラーメン販売コーナーなども備えています。
現地に到着してみると60人~70人は入れそうなセーフティーエリアに27人ほど。降水確率が午前9時~正午12時までで20%。正午~午後3時までで20%、午後3時~午後6時が50%という微妙な天気だった為、今回の参加人数は少な目でした。
もう1990年~2000年代のサバゲーみたいに雨の中、ジャングル戦の気分で撃ち合う人は少なくなってきているようですね。やはり最近のサバゲーがそれだけレジャー化し、根性でゲームしなくなってきているということでしょう。
そんな中、中国とネパールの留学生の方々もいらしていました。やはり外国の方々、ゲーム中はかなり興奮されており、旗を取り合うフラッグ戦でも何度も旗を取る活躍を見せておられました。
スイスの実銃メーカー、SIG社の銃や台湾のエアガンメーカー、ICS社のロゴをデザインしたTシャツが今回の景品となります。オシャレなデザインが勝利の喜びをより引き立ててくれました。
さて、今回は今にも降り出しそうな雨模様の中のため、期待したほど人が集まらず、中国、香港、台湾製エアガンのバトン製改良銃をお持ちの方は多くは見かけできませんでした。複数のバトン製改良銃をお持ちの方がおられたのでこの方の銃を中心にご紹介。
まずはイギリスのリー・エンフィールド。これの本物は1895年~1958年にわたって第一次、第二次世界大戦、朝鮮戦争と長きにわたりイギリス軍で使用された名銃。一発撃つごとにボルトを引かねばならないボルトアクション銃ながら引く長さが短くて作動もスムーズ、熟練した兵士ならオートマチック銃なみの速さで撃ちまくれるのが特徴。
香港のエアガンメーカー、アイアン・エアソフト社はその操作性をいかんなく再現、持ち主の方は最もお気に入りの様子でした。
日本の多くのメーカーが木製ストックの外観を同じ色のプラスチックで再現する中、この銃は元々本物の木で再現してあり、持ち主の方は赤みがかかった色だったその木製ストックをイギリス宮殿の衛兵が持つ銃のように艶のある写真のような色に塗装し直したそうです。その際には本当に衛兵の銃の塗装を手がける方に指導を受けたそうです。
しかしながらバトンの方によるとこのエンフィールド、輸入したままの状態では発射できず、バトンの改造を受けて初めてその機能を発揮できたそうです。
この銃は台湾のLCTというメーカーが発売しているAKMSU。1947年にソ連軍に正式採用されたAK47の短縮改良版。この外観の銃は日本では発売されておらず、このLCT製でないと手に入らないそうです。これも銃前方のグリップが元々本物の木で出来ているのが特徴。木製って使い古すごとに独特の質感、色合いがでて美しく、僕も一部の銃を木製に改造しています。
海外製エアガンのガンスミス・バトン主催となればこれを持っていかないわけにいかない!とばかりに持っていったのは写真の香港のキングアームズ製、「16インチスナイパー・フリーフロート・ヘビーバレル」です。今回の会場となったフィールドVISIONにて昨年2012年正月、初サバゲー大会があり、その中のジャンケン大会で景品として獲得しました。
僕はこれを自宅近くのガンショップ「むげん」の指導や手助けを受ける形で改良。
内容は、
・銃身を「むげん」店長に磨いてもらい、高精度銃身に仕上げてもらった。
・発射直前のBB弾を保持するラバーチャンバーというゴム部品を、より柔軟な東京マルイ製のものに交換。
・エアーの通り道になる部品を「むげん」で製作してもらい、エアーの流れる速度を上げてもらった。
・輸入した状態で塗布されていた潤滑油を洗い流し、「むげん」で1890円で購入したオイルスプレーを内部に塗布。これにより、気温0℃の寒さの中でも部品が円滑に作動するようになりました。
・本体止めネジが元のままでは使用されている金属が柔らかすぎてすぐ頭が潰れて回せなくなるため、日本で買った機械ネジに交換。
・モーターを回すための電気配線が元のままだと普通に使っていて熱を持ってしまうため、ラジコンショップにて定価420円で購入した銀コードに交換。引き金連動のスイッチも大電流による焼けから守るために定価3765円の半導体スイッチを組み込む。
・元の状態では弾のパワーが弱すぎるため、内蔵ポンプ内のピストンを押しているメインスプリングを合法的な範囲で強いものに交換。
自分で手直し改造をやってみて上記のように香港製の銃は直すべきところが一杯。しかし中身の構造も多くが東京マルイ製電動ガンと同じで、東京マルイ用の改造パーツがそのまま使えることわかりました。
しかしながら手直しした後は命中精度が15m地点で40cmから5cmに改善、元々のデザインが優れているため、全体の重心がグリップ部分に来ており、長さの割には軽くて振り回しやすい。など元々の設計が優れていて手直し後は一流の銃に変化したことがわかります。現在では一番のお気に入りとなっております。
▼射撃動画⇒http://www.nicovideo.jp/watch/1366086372
この動画ではわかりにくいかもしれませんが、画面の中央付近、目測で25mほどのところでヒットされた敵が手を挙げていることがわかります。
▼ヘルメットカメラ動画1⇒http://www.nicovideo.jp/watch/1366086248
▼ヘルメットカメラ動画2⇒http://www.nicovideo.jp/watch/1366086318
サバゲー上の様子の分かりやすいヘルメットカメラの動画はこちら。20m~30mの距離で撃ち合いの始まりやすいフィールドとわかります。
このフィールドの環境では改造後射程距離の伸びるようになった16インチスナイパーの方が有利となり、このフィールドに来るときはなるべくこの銃と決めています。
自慢しているような論調となりましたが、昨年頂いたキングアームズ製の銃内部を見てみて思ったのは、設計は優れているのに製造段階で損ねてしまっているな、という感想です。他の中国、香港、台湾製エアガンも改善が進んだとはいえまだまだ手直し改造しないと使いものにならないものも多く、感想を一言でいえば「惜しい!」です。
45歳の僕と同年代以上の古いガンマニアは購入した銃を自分で整備、改造するのが当たり前だから海外製の銃を改良して使っていますが、新しくこの世界に入った若い世代には分解組立も苦手な人が多くいらっしゃいます。
惜しい所まで来ている海外製の銃、今後の改善を期待します。
▼ガンスミス・バトン
http://www.gunsmithbaton.com/
▼千葉県VISION
http://www.sgf-vision.jp/
(文・写真:鉄砲蔵)
※動画の日付の一部が設定の誤りにより、実際の取材日とは異なる日付が表示されています。